先日の日記で触れたように初日のレイトショーで観てきました。初日ということもあってか、レイトショーにも拘わらず、そこそこ観客が入っていて吃驚。定位置の最後列ド真ん中はGETできず。残念。次の機会には定位置で見てこようと思います。そう、取り敢えずはもう一回見てもいいかなと思える内容でした。劇場版コナンは殆どがビミョーな作品なので、これは珍しい。
面白かった要因としては、タイトル通りにガチで某国のスパイが暗躍していたこと。一応、子供向けアニメなので生臭い話題に走らず、スパイの仕業に見せかけて、実は……みたいな展開を予想していた分、新鮮な驚きがありました。その一方で肝心の殺人事件の犯人はスパイの仕業に偽装した内部犯というオチ。このマクロな謀略のコアにあるのがミクロな犯罪という構図。何処かで見慣れた印象を受けますが、それも当然。今回の脚本家は『相棒』でお馴染みの櫻井武晴さん（『サザンカの咲く頃』『複眼の法廷』『ボーダーライン』『劇場版相棒 X DAY』etc...）なんですね。これは事前に得ていた情報なので、物語の構造も先読みしやすく、真犯人の正体も登場した段階で判りました。慣れって怖い。更に事件の構図と同様に、登場人物の配置や役割を『相棒』に置き換えても何の違和感もありませんでした。具体的には、
江戸川コナン＝杉下右京
毛利小五郎＝角田六郎
服部平次＝伊丹憲一
阿笠博士＝米沢守
灰原哀＝岩月彬
毛利蘭＝甲斐享
鈴木園子＝笛吹悦子
少年探偵団＝陣川公平
この設定で『相棒』を舞台に撮り直しても充分に通用するレベル。顔認証システムを使ったリアルタイムでの犯人追跡とか、完全に『相棒』やん。その分、物語中盤のイージス艦の情報漏洩に関する遣り取りや警察、海自、海保、それぞれの縄張り意識が衝突する場面は『相棒』の世界観丸出しで小さなお友達置いてけぼりだと思いました。まぁ、これらのいい意味でウダウダした場面のおかげで殺人事件の真相がうまい具合に観客の目から遠ざけられた印象があったので結果オーライ＆実際に『相棒』の世界で撮り直すとしたら、あんなに簡単に和解せずに終盤近くまで角突きあわせているとも思います。特に刑事部長。その点ではうまく毒抜きできていたかなぁ。取り敢えず、歴代の劇場版の中ではベスト３に入る出来だと思います。尚、最優秀作品は『探偵たちの鎮魂歌』。ベストオリジナルキャラクターは『旋律の楽譜』の秋庭怜子。作品のほうは異論は認めますが、キャラクターのほうは断固として譲らねェ。
残りは雑感です。
１．江戸川コナン
物語中盤までのゴタゴタの原因は間違いなくコイツ。私的な通信機器持ち込み禁止のイージス艦から小型衛星電話で外部と連絡を取り、艦長室に無断で侵入した挙句、そこでギッた情報の解析を灰原に頼むとか、冗談抜きで何考えてんだ、コイツ。結果として日本を救ったといえなくもないですが、逆にスパイに通信機器を奪われていたら、日本終わっていたよな。よい子は絶対にマネしちゃいけません！ でも、杉下でも同じことをするに決まっているな。名探偵とは何と傍迷惑な存在なのでしょうか。
２．MVP
円谷光彦。
異論は認めない。
序盤で蘭に電波時計を渡した段階でラストシーンの情景が目に浮かぶほどのベッタベタな展開でしたが、それでも、光彦の時計が蘭を救った事実に変わりなし。つーかさ、コナンや灰原は中の人（？）が殆ど大人なのでアレですが、光彦はリアル小学一年生なのに、恐ろしいほどのハイスペックさを誇っているよね。同年齢時の新一よりも才能あるんじゃね？ まぁ、十で神童、十五で才子、二十歳過ぎたらタダの人というパターンになる可能性も捨てきれませんが。
３．毛利蘭
何故、劇場版の蘭は勝率が低いのか。これは劇場版ドラえもんで『ジャイアンがいい奴になる』＆劇場版クレしんで『ひろしが頼もしく見える』のと同じくらいに定番の疑問。『漆黒の追跡者』のように拳銃の弾丸見切れる反射神経があるなら、今回の敵には勝てたよな。ガチ＆ソロで真犯人をノしたのって『瞳の中の暗殺者』くらいじゃね？ 毛利蘭のガチバトルと小五郎メインのストーリー。共に劇場版で見てみたいです。
４．藤井七海
今回のゲストキャラクター。如何にもスパイっていう言動で序盤から画面を彷徨いていましたが、実際はスパイではなく、スパイを取り締まるほう。要するに綺麗なラムネさんでしょうか？ コナンたちに役職を聞かれた答えが『艦の調理士』でしたが、それは一等海佐の仕事とは思えない。他人の嘘を見破る仕事なのに自分の嘘が拙劣。大丈夫か、自衛隊？
CVは柴咲コウさん。でも、事前情報がなければ柴咲さんと気づかなかったと思います。演技もまずまず。まぁ、前日の金曜ロードショーで、
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という台詞を聞いていれば大抵は許容できると思います。遠藤選手は犠牲になったのだ……。いや、私は頑張ったと思いますよ。何よりも、あの台詞は本物のJリーガーの言葉でないと、クライマックスで犯人を説得する力にならなかったですしね。むしろ、遠藤選手は上記の棒読みで嫌でも観客の記憶に残る存在でしたが、柴咲さんは微妙。彼女の演技に問題はなかったですが、別に彼女じゃなくても問題なかったよな。艦内放送のおねぇさん役でマリーダさんが出演していた（と思います）が、甲斐田裕子さんのほうがキチンとした演技をしてくれたと思います。
５．舞台は海上自衛隊
でも、舞鶴港近辺は絶海とは呼ばないと思うんだ。軽いサブタイ詐欺。それは兎も角、昨年のJリーグ全面協力に続いて、今年は海上自衛隊全面協力。近いうちにJAXA全面協力の元、宇宙に飛び出すコナンが見られるかも知れません。
しかし、子供向けのアニメの舞台に自衛隊が選ばれる日が来るとは……時代は変わったなぁ。ヒーローものの王道って反体制じゃないですか。私の少年期は体制側の権力機構は物語の中では告発されたり、批判されたりする存在でしたが、本作では不用意に持て囃すでもなく、徒に貶めるでもなく、自分の責任の中で一生懸命任務を果たす姿が描かれていました。流石は職業もの漫画のサンデー掲載作品。
６．クリスマスプレゼント
毎年、最期の最期に来年の劇場版が告知されるのがパターンですが、今年は更に年末映画の発表アリ。しかも、
と来たもんだ！ やばい、これは見たい。TV放送分の先作は対抗戦というよりも交流戦の印象が強かったですが、今回はそれなりにガチで対決してくれそうな予感。できれば、TV版を引き継いで、既に面識アリの設定でやって欲しいっス。登場キャラはルパン側は相変わらずの５人でOKですが、コナン側はTV版よりも増えそうな予感。少なくとも『ルパンが初恋の人』という佐藤刑事は絶対に出すべき。
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