~ Literacy Bar ~

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ここはイマイチ社会性のない自称・のんぽりマスターの管理人が、
時事、徒然、歴史、ドラマ、アニメ、映画、小説、漫画の感想などをスナック感覚の気軽さで書き綴るブログです。
※基本、ネタバレ有となっていますので、ご注意下さい。

羽柴長秀「何とか説き伏せることは出来んかのう。わしはこの戦、一滴の血も流さずに終わらせたいのじゃ……まだ、はっきりとした策は浮かばぬが……やりたいのじゃ」

 

ノープランッ! ノープランだッ!

 

他の登場人物がコツコツと積みあげたクオリティを、主人公のゴミのような一言一句で切り崩してゆくことに定評がある今年の大河ドラマ。今週初登場のクロカンとか、コイツは如何にも才気が勝ち過ぎて、己の舌を過信して年単位で地下牢にブチ込まれて、晩年は猿の形をした猜疑心になった秀吉に警戒されて、関ケ原の戦いの結果を聞いて『弓も引かずにただ待つだけで天下取ったか家康よ&十万の兵士率いて敗れた石田三成愚か者』と武田鉄矢の歌声で愚痴りそうな雰囲気マンマンで、ヘタすると2014年の大河ドラマの『ぼんくら』よりもクロカンっぽくてワクワクするのですが、残念なことに今年の主人公はクロカンではなく、小一郎とかいうジェネリック『天地人』の偽善者なんだよなぁ。

そもそも、竹田城を無血開城させたいとか言われましても、そらぁ、誰でも戦争は血を見ずに終わるに越したことはないと思っている訳で、その前提が通じない時代の作品で、それを敢えてやりたいとしたら『何のために?』をキチンと言明するのが筋でしょう。国衆の懐柔とか、戦後統治を見据えた展望とか、銀山の労働力確保とか、何らかの理由を提示したうえで、更に通常の攻城戦とのリスクの差異を解説して頂かないことには、前線の将兵も後方のノッブも納得しないのではないでしょうか。これを見た視聴者が無条件で、

 

「キャー! 不殺を掲げる小一郎さんカッコイー! あげちゃうわッ、わたしのパンティー!」

 

と狂喜乱舞すると思っているのでしたら、そいつぁ随分とオカドチガイな考えと評さざるを得ません。そのうえ、無血開城のノウハウはノープランとか戦争をナメ腐っとるにも程があります。『何のために?』と『どうやって?』が欠落した主将の命令に誰が喜んで生命を預けたがるのでしょうか。

最終的には地味な持久戦&小手先の詭計の合わせ技一本で勝利した小一郎ですが、如何せん敵将の描写が余りにゲス雑魚過ぎて、これが仮に史実や巷説通りであったとしても、

 

こんな相手に勝ったところで小一郎の株があがる訳では全くない

 

という致命的な作劇ミスには言葉もありません。挙句にゲッスい太田垣を殴って、

 

小一郎「あ、血が流れちゃった、メンゴメンゴ(・ω<) テヘペロ

 

とか悪い意味での漫画の主人公のような軽い物言い、ホンマ薄っぺらい。

実際、本作の小一郎って欠点は乙女心に鈍いだけといういつの時代の少年漫画の主人公だよというレベルのくっさいキャラクター設定なんよね。近年の大河ドラマの主人公は『まーちゃんは意外と嫌われている』『メンヘラマジレスニート』『美化されたのは顔面だけの下半身モンスター』『キノコ』『ヘタレ白兎』『KY托卵女』『絶対フンドシコケにするマン』といった具合にキッチリと欠点も設定されていたし、本作も小一郎以外は冒頭で触れたクロカンのように短所を踏まえたキャラクター設定が出来ているのよ。それが小一郎に関しちゃあ、ラノベや転生もののでも滅多にいないレベルの薄気味悪い人格のっぺらぼうで、ノッブとか十兵衛とか権六とか高虎とか三成とかが必死に面白くしていたストーリーが、主人公が出てくるとオリジナリティも史実へのリスペクトの欠片もなく、歴史劇ですらないストーリーの連打に変わるの、ホンマどういうことなの? それこそ、先々週の嫁の過去編もそうでしたけど、いっこも面白くない創作を延々と見せられる苦痛といったら、基本的にドラマは役者の『間』を見るためにも通常速度で見ている私が、前々回と今回は倍速視聴に切り替えたくらいでしたからね。『耳障り』という言葉をドラマ化したら前々回&今回になると思う。

先日、旧Twitter界隈で『どうする家康』と『豊臣兄弟!』のどっちがマシかという議論が囁かれていましたけど、私的には『どうする家康』のほうがマシだと思います。『どうする家康』もハズした時のクソつまらなさは『豊臣兄弟!』とどっこいですけど、ツボるにせよ、スベるにせよ、そこに主人公がキチンと関わっていましたからね。この辺は、

 

同じ料理人でもシェフ大泉の料理とピストル大泉の料理くらい違う

 

のではないかと思います、思えない?

 

 

 

 

 

 

 

 

装鉄城さん主催の沼田ツアーに参加致しました。

 

詳細は装鉄城さんのレポートを御一読頂くに若くはないとして、一つ付け足すとしたらロックハート城でライヴをしていたケリー・ペティットのCDがメチャクチャよかった。若い頃に聴いていた古き善きニューミュージック感満載で、すっかりマイカー通勤の御供。調べてみると群馬県在住らしい。うーん、これは上州のポップスター! CDにサイン貰ってよかったぜ。

ツアー翌日は横浜まで足を延ばしてもう一泊。午前中に立ち寄った上野恩賜公園ではイマイチ歴史記事のネタが集まらなかったとか、30年ぶりに向かったハマスタでは到着した瞬間にダメ押しのタイムリーを食らうとか、色々と悔いが残る二日目でしたが、それでも半年ぶりのY氏とのサシの飲み会を楽しみ、帰着したホテルの個室の夜景がこれ。

 

 

人生最高のパーシャルオーシャンビュー。翌日、チェックアウト後に旧Twitterに画像をUPしたら『結婚式の夜ですか?』とのレスが……すまんな、一人旅なんやで(血涙)

ともあれ、装鉄城さん、御同道の皆さん、当日は大変お世話になりました。

 

さて、上記のツアーは『真田丸』放送10周年記念と銘打たれたこともあり、当日も大河ドラマが話題のド真ん中。そんな訳で今回は当日のツアートーク&現在の大河ドラマに関する話題を軽めに書き出していこうと思います。

 

まずは装鉄城さんの記事にもあった明石のタコさんによる『大河ドラマ・新九郎、奔る!』のキャスティング予想勝負。御手製とは思えない60人以上のキャラクターのガチンコ過ぎる相関図に、

 

 

と本気予想したものです。ありがたかったのは、

 

1.主人公の伊勢新九郎は中川大志

2.足利義政・日野富子はAB蔵&松たか子のヤング『花の乱』ペア

 

という基準点があったことかな。流石にノーヒントでは何処に照準を合わせるべきか判らないので。とはいえ、全員の予想は時間的に困難でしたので、恐らくは2番手クレジットになるであろう伊都(新九郎の姉)&ぬい(新九郎の妻)、物語中盤の中トメクレジットが予想される小鹿範満&福島修理亮、同じく物語中盤のトメクレ最有力候補の太田道灌、オリジナルキャラクターの左近次に絞りました。

 

伊都……飯豊まりえ

ぬい……伊藤沙莉

小鹿範満……横田栄司

福島修理亮……野間口徹

太田道灌……中村梅雀

左近次……石田彰(声のみ)

 

伊都に関しちゃウザさを愛嬌に出来る女優さんということで、京香ちゃんしかいないだろうと。『岸辺露伴は動かない』でNHKでの実績もしっかりあるからね。ぬいは原作初登場時から伊藤さんで脳内キャスティングしていました。太眉狸顔系で最も認知度が高い女優さん(主観)。『善人のマクベス』とも言うべき範満はシェークスピアの舞台劇の経験豊富&むさ苦しいヒゲの似合う知的で篤実な俳優で、横田さん一択。和田別当は例外やぞ。福島は範満に向かう筈のヘイトを一身に受けて貰わなきゃならないので、ダーク系バイプレイヤーの野間口さんかな。太田道灌は腹黒系丸顔なら何でもこなせる梅雀さん。左近次は……ハイ、反則と判っています。でも、コイツ、どんなに考えても石田の他には一人しか思い浮かばなかったんだけど、それはもっと反則臭いので、敢えて却下しました。

石田を除く予想は結構自信があって、特にぬいは問題用紙を配られた瞬間から『外す訳がない』とタカを括って、自分に解答の順番が回って来た時は、

 

「ふっふっふ、ガチで当てにいきますよ!」

 

と大口を叩いた挙句、伊藤さんの名前を挙げた際に明石のタコさんから『ん? 誰でしたっけ?』と真顔で返された気まずさといったら……装鉄城さんはツアーレポート記事で『与力さんがなかなかあと一歩!というくらいに近い配役をされていたのは内心驚嘆の念を禁じ得なかった』と懸命にフォローして下さいましたが、

 

 

とパイ生地をムダにされた大泉並みに大荒れの心境になったのはナイショだ。

ちなみに私が挙げたキャラクターの明石のタコさんの配役は、

 

伊都……長澤まさみ

ぬい……上白石萌歌

小鹿範満……田中美央

福島修理亮……小市慢太郎

太田道灌……伊藤淳史

左近次……イッセー高橋

 

でした。伊都は凄く納得した! 私が挙げた『ウザさを愛嬌に出来る女優』の先駆者で、中川大志との年齢差も好適。何よりも『サービスサービスゥ!』の台詞からも判るように伊都のCVは確実に三石琴乃さんだけど、三石さんの声を実写化したら長澤さんになるよな。ぬいは『俺はまだまだエンタメを判っていない』と自省した。確かに伊藤さんはガチ過ぎるんだよな。あと、こちらも中川大志の年齢を考えたら上白石妹のほうが向いている筈ですし。範満の田中さんも『いい人系』に振ると有り得る。福島の小市さんは伊都に次ぐ納得感。これが思い浮かばなかったのは『波よ聞いてくれ』での『いい人系』のキャラクターが印象に残っていたからかも。道灌は丸顔よりも童顔になりそう。『どうかん』だけに(エアグルーヴのやる気が下がった!)。左近次のイッセー高橋はさぁ……いや、それは俺も考えたよ! 考えたけど! 流石に年齢的に難しいと思って外したんだよ! ただ、明石のタコさんの左近次は年齢不詳のキャラクターだからセーフ理論も一理ある。そもそも、石田のほうが現実味の欠片もないキャスティングなので、強く反論出来なかったッス。

他の配役で印象に残っているのは、

 

今川義忠……片岡愛之助

足利義視……大沢たかお

伊勢貞宗……野間口徹

 

の三人かな。ハイテンション義忠は『鎌倉殿』の三郎兄貴のイメージがピッタリ。足利義視の大沢さんは『花の乱』リスペクトの極致でジワジワきた。私が福島に推した野間口さんが貞宗なのは驚いた。いや、貞宗は確かに政治面では腹黒いけど、実務面や家庭面ではキチンとしたタイプで、私の脳内ではノイエ版のキャゼルヌのイメージなのよ。野間口さんは『相棒』のサイコパスの役柄の印象が強くて、こちらは思い浮かばなかったなぁ。

ホント、このキャスティング表はよく出来ていて、ツアー終了後、東京に向かう新幹線の中でも隣に座った明石のタコさんとあれこれ話が弾みました。御労作感謝致します。

 

 

ところで、当日は今年の大河ドラマも話題になりましたが、私的にはテンションは低め。主人公兄弟に対してイマイチ乗り切れない旨を表明しました。ここからは私の個人的意見になるけど、秀長と秀吉は長所短所が歯車のように噛み合っていなければいけないのに、二人とも全く無個性のままで話が進んでしまっているのよね。如何に信長や義昭や十兵衛のようなデカいカラクリを仕掛けていても、物語の一番の大本になるゼンマイの歯車がツルッツルでは動きようがない。そもそも、バディものである以上、

 

小一郎藤吉郎「1+1は2じゃないぞ! 俺たちは1+1で200だ! 10倍だぞ、10倍!」

 

になって然るべきなのに半人前の小一郎と半人前の藤吉郎で辛うじて一人前の羽柴秀吉にしかなっていないじゃん。百歩譲って秀吉大河でしたらまだアリかも知れないけど、秀長を主人公に据えたからにはコイツが退場したら間違いなく豊臣家が詰むじゃんと視聴者に思わせてナンボでしょう。要するに小一郎と藤吉郎のキャラクターや役割分担が全く出来ていないのよ。

この辺は『まだ物語前半だから』との見解もあるかもですが、往年の『おんな太閤記』や『黄金の日日』の秀吉って、よく見ると実は秀吉は序盤から気が●っとるのよ。周囲に寧々や小一郎や大政所がいるから制御出来ているだけで、それらが居なくなるにつれて徐々にストッパーが外れて、色々と取り返しのつかない事件がボコボコ起こる訳で、そういう描き方は序盤からでもやれるのよ。況してや、秀吉の老害化が顕著になるのは秀長没後である以上、せめて序盤から暴走する藤吉郎と制止する小一郎の構図を視聴者に示さないでどうするのよ。これは当日のツアーでも出た話ですが、主人公を最終回直前に退場させてラスト1話で御家滅亡をダイジェストで描く『平清盛』スタイルでも用いないかぎり、本気で秀吉晩年のアレやコレやを描く気があるのかという疑問を禁じ得ないんですよね。

いや、本当に主人公兄弟以外はいいんですよ。先々週の秀次を人質に出すか出さないかで苦悩する宮澤エマさんの芝居は本当によかったし、先週までの浅井長政も『もうコイツが主人公でいいだろ』レベルの仕上がりでしたし。ただ、そこに主人公が絡むと途端に嫌ぁな空気が流れるのよね。この二人の件でも小一郎は姉に人質を出させる時には『わしらはサムライになったんじゃ!』と言い、その翌週に長政を説得する時には『サムライの誇りが何じゃ!』と言う。何だ、この薄っぺらいキャラクター。御市相手に三谷幸喜の赤い洗面器の女ネタのように話の続きを語る場面も、ただただ結論も出ないままにダラダラと続いて、

 

「その話、ラブファントムの前奏より長い?」

 

とイライラしてしまいましたので。比叡山焼き討ちの件も身内の説得で終わった小一郎よりも、義昭のためにノッブに取り入ろうと必死で汚れ仕事を果たしたのに、当の義昭に『お前、何してくれてんの?』と難詰されて『お前のためにやったんやで!』と静かにブチギレる十兵衛のほうが、よっぽど好感度高かったし、主人公っぽさがあったわ。

 

うーん、今年の大河ドラマに対する数週間分のストレスを一気に吐き出してしまいましたけど、あくまでも私個人の感想でツアー参加者の皆さんの意見とは別個のものですので、念のため。それと最新回の信玄の退場は上記の案件に輪をかけた絶許事案ですが、ネット界隈で語られる『史実と違う』という批判には同調出来ないですね。史実じゃあなくても面白けりゃあいいんだよ。今回は大物俳優を起用してまで登場させる必然性があったとは到底思えないキャラクターを何の前フリも伏線もなく、呆気なく退場させたことが批判されるべきであって、史実云々はカンケーない。大河ドラマでウソ(創作)をやりたきゃ、キチンと手順を踏まなきゃアカンというだけのこと。昨年の総評でも書いたように『べらぼう』の写楽パートは好きではなかったけど、あれはウソ(創作)を描くためのプロセスは全うしていたから許容出来た訳で、あれと『出さなくてもいい信玄』でやらかした今年の大河ドラマは比較するのはナンセンスの極みです。単純にシャケの切り身にたいして美味くもねぇ自家製オーロラソースをかけるくらいだったらパパッと塩コショウふって焼いて出せという類の話。

 

あ、大河ドラマでは他にも2028年の、

 

 

も当日の話題になりました。私自身、このニュースを旧Twitterで知った時は『逆賊の幕臣』は追加キャストも豪華だなと新作大河の話とは夢にも思わず、結構長い間放置していました。いや、ジョン万次郎は『いつかはやって欲しい題材』ではあっても『今やる題材』ではないかなぁ。人物云々の話ではなく、流石に来年の題材と時代が丸被りするのはマズいでしょ。あ、でも、どうせなら他の大河ドラマとの差別化を図る意味でも、こちらは史実に忠実に、

 

無人島サバイバルを3ヵ月間やる

 

というのはどうでしょう?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

前回の『密漁海岸』が原作と事前の期待値の高さの割にイマイチな出来栄え&『密漁海岸』と同じく小林靖子姐さんが脚本に携わらない&流石に京香ちゃんを主人公に据えるのは悪乗りが過ぎるのではないかということで、結構な不安を抱いていたのですが、蓋を開けてみたらドラマ版でも屈指の秀作になっていました。どのくらい気に入ったかというと先週の旅行の疲れがまるで抜けていない&それ関連の記事の執筆中にも拘わらず、それらをブン投げて今すぐに感想を書きたいと思えたレベル。見所は数多あれども根本的なテーマは一つに集約出来そうです。それは、

 

『岸辺露伴は動かない』シリーズの原点回帰

 

でしょう。ポイントは3つ。

 

 

1.露伴の立ち位置

 

岸辺露伴「君は担当編集として、この作品のアンバランスさに何の違和感も覚えないのか? 確かに台詞回しはリアリティに溢れ、突出している。そして、会話劇に強力な魅力がある。だが、それ以外はまるでサッパリだ。画も画面構成も凡庸で、どこかで見たような表現ばかりが並んでいる。台詞回しをこんなに追及出来る漫画家が何故、他はこんなにも鈍感でいられるのかが僕には判らない」

 

今回は序盤とラストにチョロッと顔を出して、物語の導入と総括を担った露伴センセ。今までさんざっぱらヒドい目に遭いながら文字通り『命懸け』でネタを掴んできたことを鑑みると露伴センセに似つかわしくない美味しいとこ取りの役回りでしたが、思い返すと『岸辺露伴は動かない』シリーズの第一作『懺悔室』での露伴センセはまさにこういうスタンス。荒木センセが『この作品(懺悔室)から露伴の出番をカットしたら香りのない食事になってしまう』と述べたように、本来、露伴は物語の本道ではなく、観察者・実況者・見聞者のポジション。スピンオフからのシリーズ化の過程で『動かない』という枠を自ら取っ払ってきたのですが、そうした『動きすぎる』きらいのあった近年の傾向に対して、敢えて露伴ではなく、京香ちゃんを動かしたのは原点回帰の意味で大正解でした。そもそも、最強クラスの対人スタンドを有する露伴センセを窮地に追い込むのは並大抵のことではないですからね。その意味でも人格以外はパンピーの京香ちゃんに『見るなのタブー』を冒させることで、物語の危機感もいつも以上にマシマシに仕上がったと思います。

一つ、露伴センセに難があるとしたら台詞だけが面白いマンガなんか幾らでもあるということでしょうか。例えばk【自主規制です】

 

 

2.西恩ミカ

 

西恩ミカ「その人の舌を食べるとその人の声を奪い、永遠に支配することが出来る。私は兄の舌を食べて……声を奪った」

 

『クラッシュ』と『トーキングヘッド』を足して『ヘブンズドアー』で割ったようなスタンド使い(?)の西恩ミカ。何気にイッセー高橋主演の漫画原作ドラマでは二作品目の共演になるのかな。『ブラックジャック』とかいう素人目にも明らかなドクターキリコの解釈違いでブッ叩かれた作品。あれはしゃーない。弁明の余地がなかったわ。

さて、常日頃は露伴センセの『腐ったものでも食べてみる』トチ狂った言動に慣らされている筈の京香ちゃんもドン引きするレベルのアレな漫画家であった西恩ミカ。まぁ、スタンド能力や漫画家の才能云々以前にドストレートの犯罪者だからね、仕方ないね。露伴センセは何やかやあっても滅多にホーリツは踏み外さないからね。密漁以外は。

とはいえ、ドラマ版から露伴を知った方は御存知ないかも知れませんが、漫画原作……というか、JOJO本編に登場した時の露伴センセも、やっていることは西恩ミカと大差ないのも事実です。ネタにしたい人間から奪うのが舌かページの違いだけ。明確に法律で裁けない分、露伴センセのほうがタチの悪い存在ではないかと思います、思えない? そんな岸辺露伴が本来有していた筈の狂気を敢えてドラマで再現するのが凄い。これ、荒木センセが脚本協力しているから出来たネタだよね。冒頭で露伴センセが西恩ミカの漫画をクソミソに貶していたのは、画とか構成とか丸パクリとかいうテクニックよりも単なる同族嫌悪の感情なのかも知れません。

 

 

3.やっぱり京香ちゃんが嫌い

 

岸辺露伴「君、随分と大変な目に遭ったそうじゃあないか。舌切り漫画家、前代未聞、行方不明者監禁事件、狂気に満ちた創作現場……世間は大騒ぎだ」

 

京香ちゃんが酷い目に遭ったと聞いてウッキウキの露伴センセ。次いで彼氏と破局したと聞いて更にウッキウキ。中の人が夫婦と思うと実に味わい深いシーンに見えてきます。露伴センセが実在していたら『どーゆー経緯で僕があのクソ編集女と結婚しなきゃあならないんだッ!』とブチギレながらヘブンズドアーで二人のナレソメを熟読することでしょう。ワイも読みたい。

ともあれ、今回の実質的な主人公を演じた京香ちゃん。生命の危機は『富豪村』や『ホットサマー・マーサ』でもありましたが、前作2つと異なり、今回はガッツリと本人の記憶に残るタイプのピンチというのが興味深い。これまではピンチの際の意識がないか、出来事自体が【なかったこと】にされるなどのスタンド使いでないがゆえの『温情』を掛けられてきた京香ちゃんも、今回は人間の純粋な悪意と正面から向き合うハメになりました。上記のように今回は荒木センセが脚本協力しているのですが、荒木センセは(あくまでもキャラクターとしての)泉京香が大嫌いと公言しており、どれくらい嫌いかというと自身の著書でDIOや吉良や大統領と共に身上調査書を記したうえ、その中身も『名門大学 でもバカ』とか『たいした苦労もせずに大手出版社に入社した』とか『とにかく露伴を悪魔の囁きで巻き込む役割』とか、心底嫌いなのが伝わってくるのよね。そんな訳で今回は原作者の、

 

「今まで以上に酷い目に遭わせてやろう」

 

という意図を感じ取ってしまいました。実際、アポも取らずに漫画家の家に押しかけて、もう帰れと言われても勝手に家に忍び込み、面と向かって盗作疑惑をぶつけるとか、編集者以前に社会人としてどうよという言動の数々は西恩ミカがガチの犯罪者だから許されただけで、京香ちゃんのヤバさはガッツリと描かれたと思います。やったね、荒木センセ。

元々、京香ちゃんは原作では『富豪村』に登場しただけのキャラにも拘わらず、ドラマ化の際に露伴の相棒という役割を仰せつかり、しかも、それが大成功して露伴に負けず劣らずの人気キャラになってしまったのは、荒木センセには嬉しい大誤算であったかも知れません。『ホットサマー・マーサ』では『漫画家の意向を無視して勝手にデザインを変える』というロクでもなさを描いたのも、ドラマ版への対抗意識ではないでしょうか。尤も、その度にドラマ版では『京香ちゃんの新たな魅力』を再構築してきて、いい意味での相乗効果が現在の京香ちゃん人気に繋がっていると思います。今回も自身が身辺の危機に瀕したのに、自ら舌を噛み切った西恩ミカの生命を心配するとか、漫画編集者の鑑。これを受けた荒木センセが次回作で如何なる京香ちゃんの『悪の魅力』を描いてくるか楽しみですね。