~ Literacy Bar ~

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ここはイマイチ社会性のない自称・のんぽりマスターの管理人が、
時事、徒然、歴史、ドラマ、アニメ、映画、小説、漫画の感想などをスナック感覚の気軽さで書き綴るブログです。
※基本、ネタバレ有となっていますので、ご注意下さい。

 

 

 

大河ドラマや『烏は主を選ばない』の放送日程にも大きな影響を与えるオリンピック&パラリンピックですが、その開催を前に本作が放送されたのは非常に意義深いことであったと思います。国際大会への侵略国選手の参加を条件付きで認める決定を知らされた時の、被侵略国選手&コーチ陣の顔色がサァッと変わる瞬間は何とも傷ましいものがありました。将来的に有り得るとされる侵略由来のパラリンピアンの話などは、この過酷な現実を前に『スポーツは国際平和に貢献出来る』などという物言いは所詮、非当事者の自己満足とオタメゴカシの建前に過ぎないのではないかとの暗澹たる気持ちになりましたが、さりとて、その建前を取っ払ってしまうと人類社会には深く冷たい闇しか残らないのではないかとの思いもあり、番組を見ている間、ずっと我らがジゴロー・カノーだったら果たしてどうしたかなと考え込んでしまいました。現実を受け入れるか。理想に殉じるか。はたまた誰もが思いつかない極論で皆を煙に巻くか。個人的にオリンピックは様々な矛盾や問題を孕みつつも人類の大半が共有可能な一大フィクションとしての価値を認めざるを得ないとはいえ、その存在を問い直す契機になる番組でした。一先ず、今年のベスト10の最有力候補。これをオリンピック開会式の直前に再放送してくれたらNHKの本気を認めてもいい。

さて、今週の更新は大掛かりな番宣を組んだ割にはストーリーに大きな動きがなかった越前編と異なり、前回&今回と善かれ悪しかれ怒涛の展開となった『光る君へ』の寸感と、華流ドラマの感想の二本立てでお送りします。

 

 

 

 

 

まひろ「よく気の回るこの人が気づいていない筈がない。気づいていて敢えて黙っている夫に『この子は貴方の子ではない』と言うのは無礼過ぎる。さりとてこのまま黙っているのも更に罪深い」

 

 

都知事選による一週間お預け刑で溜まっていた勢いのまま焼けぼっくいにチャッカマンとなり、ついでにオメデタポンポコリンとなったまひろ。流石に罪悪感があったのか、別れましょう私から&消えましょう貴方からと大黒摩季的申し出で自ら離縁を切り出したものの、宣孝の『え? 俺は全然気にしないけど?』という器のデカさ……というよりも特殊性癖で事なきを得ました。やはりNTR……NTRは全ての性癖を超越する……が、真面目な話、これ、ホンマにアリなのか? いや、いとの『黙ったままでイケるところまで行け』というゲス托卵のススメを退けたのはよいとして、これは主人公に源氏物語オマージュをさせたい&でも、主人公の評判を落としたくないから夫公認の托卵にしたいという製作者サイドの御都合主義を宣孝の特殊性癖で片づけただけじゃあないのか? ぶっちゃけ、このエピソードは創作ベースだからギリギリ宣孝に勘づかれない妊娠時期に設定することも出来た訳で、まひろも『何とか騙せるやろ』と思い込んでいたところで宣孝が倒れて、夫の今わの際で『実は知っていたけど、ワイは気にせんかったで……ガクッ』と言い残されたほうがまひろの罪悪感が際立つと思うんですよねぇ。

 

 

ナレーション「一条天皇は一帝二后を承諾した。前代未聞の、この宣旨を聞いて反発する公卿はいなかった。『あの』ご意見番の実資さえ異を唱えなかったのである」

 

『あの』というオーベルシュタインみたいな言い方をされる黒光る君こと我らが実資。視聴者的には『あの実資が反対しなかったんだ! スゲェ!』と思えてしまうところが、本作の長所と言えるかも知れませんが、逆に言うと、

 

実資フィルターを通さないと道長による一帝二后が如何ほどの偉業であったかが視聴者に伝わらない

 

ということでもあります。このままだと本作の三郎、マジで実資に存在感を食われたままで終わるぞ。今回、藤原行成が『現在の政治的・儀礼的空白を解消するためにも一帝二后を受け入れるべき』と一条帝を諫めるシーンがあり、あれは本質的には安請け合いの責任を問われるのを恐れた自己保身から発したものとはいえ、言っていることは誠に正論という他なかったのですが、本来、ああいうことを(帝にではなく)視聴者に判るように伝えるのは三郎の役割であり、それをするのがドラマのメインキャラクターではないかと思うのよね。

 

 

明子「薬師の話では……」

倫子「薬師の話は今そこで聞きました。うちで御倒れになればいいのに……でも、大丈夫。貴方は死なないわ。私が守るもの。このような御容態では動かしてはよくないと存じます。どうぞ『我が夫』をこちらで看病願いますね」

明子「……承知致しました」

 

瀕死の夫の傍でマウントを取り合う倫子さんと明子さん。三郎、実は途中で気づいていたけど、倫子さんと明子さんの喧嘩が怖くて目を開けられなかった説、一理あると思います。或いは両名のマウント合戦が無意識に聞こえていたからこそ、幻想のまひろに逃避したのかも知れません。そのまひろの幻影が三郎を現世に引き戻したのですから、結果的に倫子さん明子さんの喧嘩は三郎のためになったと評してよいと思います。思えない? 尤も、意識を取り戻してみれば、家人全員に『うちの旦那さん、コレ(小指)の家で倒れたらしいのよ』と知れ渡っている訳で、三郎が自宅で出迎えられた際のバツの悪そうな表情は、その辺の気恥ずかしさがあるのではないかと邪推してしまいますし、更に嫁と嫁が一触即発のマウント合戦を繰り広げるわ、明子さんにはまひろの名を認知されるわと踏んだり蹴ったり。これ、将来的には明子さんの口からまひろの存在が倫子さんに伝わるかと思うと、三郎的にはここで黄泉路に旅立っていたほうがマシであったと後悔の臍を噛む日が来るかも知れません。視聴者的にはゾクゾクしますけれども。いずれにせよ、倫子VS明子の戦いは面白かったなぁ。本作って全方位にチビチビと創作のリソースを費やしている分、突き抜けた面白味に欠け、それが物語の全体像や方向性を不鮮明にしているキライがありますが、今回のマウント合戦はヒリヒリしたわ。月9風でもメロドラマ風でもいいから、ズバーンとやって欲しいのよね。そういや、今回は久しぶりのモブ女官の囀りによる状況説明パートもありましたな。あれも総じて説明不足&あとになってボンヤリと全体像が見える程度の慎み深い本作の構造を、判りやすく視聴者に伝える格好のツールなので、今からでも多用して欲しい。

 

次はこれ。

 

 

 

 

 

先日、BSでの放送を終えた華流ドラマ。ロケ、CG、VFXを駆使したド迫力の合戦シーン、故事を踏まえた格調高い台詞や会話、相手の身分に応じた折り目正しい挙措と儀礼の使い分け、etc.etc.全45話という大河ドラマに匹敵する尺を、しかし、毎週4話で視聴するのが全く苦にならない充実した内容でした。『日本の大河ドラマもこれくらいのスケールでやれよ』と言いたくならなくもありませんが、中国の歴史ドラマはどれだけ派手にしてもやり過ぎることはないけど日本の歴史ドラマはちょっとショボいくらいが実は史実に適していることを考えると、単純に比較するのもよくないのかも知れません。ただ、永楽帝の生涯を描くのに洪武帝の崩御が全45話中、33話目というのは流石に遅きに失したと思いました。Wikipediaによると元々の構想は全80話の予定であったそうなので、そのペース配分なら33話目は妥当ですが……永楽帝の生涯のメインイベントともいうべき靖難の役も、前半の北元との合戦には及ばなかったなぁ。本作の靖難の役がそれなりに楽しめたのは、

 

若き日の永楽帝と鉄鉉が肝胆相照らす仲

 

という『何を食ったらこんな悪魔みたいな発想が出てくるのか(激賞)』的な設定が大きかったと思う。『あんなに一緒だったのに』というのは万国共通の曇らせシチュエーションなんだなぁ。そういや、降伏を偽った鉄鉉に誘き出された永楽帝(当時は燕王)が、頭上に鉄板を落とされて殺されかけた逸話、幸田露伴や田中芳樹の『運命』を読んでも『鉄板って何?』とピンとこなかったのですが、本作を見て『ああ、落とし格子のことね!』と漸く得心しました。

しかし、最も印象に残ったのは、日本では『運命』の影響で叔父に帝位を簒奪された悲劇の皇帝というポジションで語られがちな建文帝が、本作では積極的に永楽帝を追い詰めるドス黒系ヤングエンペラーとして描かれていたことでしょうか。勿論、永楽帝が主人公である以上、その敵対勢力がワリを食うのはドラマの宿命ではありますが、その辺は斉泰や黄子澄に泥を被せて、建文帝は心ならずも叔父を追い込まざるを得なかったという描き方も出来た筈。実際、田中芳樹版の『運命』ではそのような描かれ方をされており、元祖・幸田露伴版では建文帝以上に彼の師父とも呼ぶべき方孝孺の高潔さに誰が主人公だよってレベルで相当の頁を費やすことで、建文帝サイドの正統性と正当性をアピールしていたのですが、本作の建文帝はシンプルに小悪党で、方孝孺も斉泰や黄子澄と同レベルの雑魚キャラ扱いでした。そういや『大明皇妃』の建文帝も中盤では憑物が落ちたように浄化されていたけど、こちらも初回は小悪党ムーブを晒しとったなぁ。

ただ、これは『日本のイメージと違うからダメ!』という話ではありません。『大明皇妃』でも描かれたように建文帝は生存説が根強く支持されている人物であり、民衆の同情を集めているのは確かだと思いますが、本作では敢えて小悪党的な描かれ方をされたのは永楽帝が主人公のドラマゆえの必然性なのかとか、或いは現代中国の史学的に建文帝はそういう人物と認識されているのかも、とか色々と考える契機になったというだけのことです。本場の歴史像に他国の創作ベースでクレームを入れるほどヤボな話はありませんからね。ちなみに『運命』を書きあげたあとに靖難の役を生き延びた建文帝が晩年に宮廷へ迎えられた逸話は正史ではないことを知った幸田露伴は『正史でも建文帝は生死不明って書かれているじゃねーか! 歴史なんてモンは嘘を束ねて出来あがっているんだよ!』とスガスガシイまでの逆ギレで応じています。そういうとこやぞ。

 

 

 

 

 

 

 

 

面白くはあったけれども、イマイチ作風が乗れなかった春アニメと比較すると『ラーメン赤猫』『逃げ若』『推しの子』『SHY』『しかのこのこのここしたんたん』『異世界スーサイドスクワッド』『2.5次元の誘惑』『キン肉マン』とほぼほぼドストライクな作品ばかりで、既にデッキの容量がヤバい夏アニメ。これで当分アニメの話題はお腹一杯かなと思っていたところに飛び込んできた『とんがり帽子のアトリエ』の予告PV。確かに本作は単なるファンタジーものというよりも『クリエイターとは何か、物を描くとは何か、描いた影響と如何に向き合うか』が主題の作品なので、アニメ化に際して作画動画で力を抜いたら主題そのものと矛盾してしまうとはいえ、

 

こんなクオリティで全話作ったら……体壊すぞ!

 

との危惧を禁じ得ません、いい意味で。しかも、PVで選ばれたのが、ココが屋根から梯子を使って一階に降りる、原作で『漫画で動きを見せるとはこういうことだ』と絶賛されたシーンなのよね。スタッフの『判っているぞ? お前ら原作ファンはこういうのが好きなんだろ?』という意志がヒシヒシと伝わってきます。悔しい……でも、アヘアヘビクンビクン。これは原作共々神作品になる予感しかしねぇ。私の脳内ではメイン4人のキャストは『よりもい』のメンバーになっているけど、ここは『逃げ若』みたいに新人を起用するのもアリかも。実際、時行クン、悪くないからね。

さて、2位とか3位とかが話題になった割に勝負自体は8時1分から大河ドラマを流せばええんちゃうとの思いを禁じ得ないワンサイドゲームに終わった都知事選特番で今週の『光る君へ』の感想はお休みですが、代わりに久しぶりの更新ということで少し長めの徒然日記。まずは夏アニメの大本命作品のレビューから。

 

 

 

 

何度も書いたようにタイムマシンで前世紀の自分に『南北朝がジャンプで連載されるぞ。好評でアニメ化されるぞ。主人公は北条時行だぞ。ちなみにラスボスは足利尊氏だぞ』と教えたら、最後の一行を除いて『俺は天命を知る前に呆けるのか』と絶&望されるであろう、南北朝アニメの第一話が遂に放送されました。足利尊氏のキャスティングがなかなか発表されなかった時点で『放送前に万策尽きたんじゃないか』と疑った者、怒らないから私と一緒に手を挙げなさい。

さて、第一話の感想ですが……いい意味でも悪い意味でもスゲェの一言ですね。いやね、深夜アニメでは珍しくOPテーマに歌詞のテロップがついていたから、てっきり『子供向けの浅い時間帯での再放送も視野に入れているのかな?』なんてノホホンとした気持ちで見ていたのですが、AパートラストからBパートに掛けて、

 

鎌倉殿も吃驚の生首カーニバル

 

じゃあないですか。むしろ、キチンと首桶に入っている分、一昨年の『鎌倉殿』のほうが配慮されていると言えると思います。兎に角、第一話から大河ドラマ『太平記』の『鎌倉炎上』を想起させるエログロショッキングなシーンのオンパレード。鎌倉に攻め入った新田軍……じゃない、足利千寿王軍(直義・談)による生首団子三兄弟とか『BASTARD!!』のホブゴブリン並みの野蛮さで草も生えない。『太平記』といえば、随所で大河ドラマへのオマージュカットがあったようで、その点でも非常に感慨深い作品になりました。個人的には屋敷の中を逃げ回る時行の傍で蔀戸を開ける武士たちは『太平記』第一話で格子番を務めていた尊氏を、そして、兄・邦時が【首チョンパ】される直前に鞠がなかなか落ちてこない(明らかに原作よりも尺を費やしている)のも、同じく第一話で尊氏が六平さん相手に『蹴鞠の名手の藤原重通が蹴った鞠は天高く昇り、落ちて来なくなった』というKYなトリビアトークを披露したシーンを思い出しました。このなかなか落ちてこない鞠も含めて、第一話は原作をストーリーではなく、動きを引き延ばして見応えのあるモノに仕上げてきたと思います。まだ平穏な頃の鎌倉の市中を駆け回る時行とか、崖から突き落とされてから頼重の元に戻るまでのアクションとか、原作にないシーンとモーションをガシガシ詰め込みまくっていて、アニメとしての見応え抜群でした。近年は小難しい理屈や設定が重視されるアニメが人気を博していますが、こういう動きで魅せるアニメこそ、子供たちに見せたいンゴねぇ……いや、生首カーニバルだから見せられないけど。

ただ、このヌルヌルのアニメが逆に今後の不安要素といいますか。初回からここまでトバしてしまうと今後のリソースがどこまで残っているか心配。冒頭で触れた『とんがり帽子のアトリエ』の話じゃあありませんが、

 

こんなクオリティで全話作ったら……体壊すぞ!

 

というのは誰の目にも明らかな訳で、動けなくなってからが本当の勝負。その意味で第一話がアニメ的に引き延ばした代償かもですが、些かリズムの悪さが気になったので、ここが後半で響かないことを祈ります。何とか万策尽きずに最終話まで逃げ上手っぷりを披露して欲しいンゴねぇ。

 

次はこれ。

 

 

 

 

現時点では私の手元に一枚も届いていませんが、如何にキャッシュレス決済が主流となった21世紀とはいえ、基本的にいつもニコニコ現金払いがモットーの私が一度も使わないままで終わることはないでしょう。出来るだけ早めに、何人か連れ立って私の財布にお越し頂くのを楽しみにしております。巷では新紙幣の肖像のチョイスについて何度目かの議論が再燃しているようですが、これに関しては私が数年前に旧Twitterに放り込んだ、

 

 

のハッシュタグが証明したように、一つの県に限定しても全ての方向から異論を挟まれない選択は絶望的である以上、国家規模の紙幣の肖像ともなると結局は『悪名に勝る実績』と『相応の知名度』の二点で手を打つのが現実的でしょう。勿論、渋沢が嫌いという感情自体は尊重しますが偉人と呼ぶに値しないというのは流石に無理筋というものです。基本的にダメ人間大好き人間の私は渋沢のような成功者タイプは好きでも嫌いでもありませんが、渋沢が近代日本経済界の偉人じゃなかったら、他の誰も偉人とは呼べません。渋沢栄一を新紙幣の肖像画にチョイスしたことに誤りがあるとしたら、それは『下半身がだらしない』だの『近隣諸国の不興を買う』だの『金儲けが日本の価値観なのかと海外に笑われる』だのよりも、

 

日本に存在して当たり前の近代産業やインフラの殆どに関わっているため、業績を判りやすく一本に絞り込めない分、逆にスゴさが伝わりにくい

 

ということではないかと思うのよね。先日、旧Twitter界隈で『人類史的な視点では血清を発見した北里のほうが渋沢よりも格上ではないか』との意見があり、確かに私も『その見方も一理ある』とは思いましたが、同時に北里の活動に資金提供をしていたのも渋沢なのですよ。渋沢の業績の多くはそうしたもので『明治維新!』とか『学問ノススメ!』とか『初代内閣総理大臣!』とか『たけくらべ!』とか『梅ちゃん先生!』とか『板垣死すとも自由は死せず!(言っていない)』とか『留学資金を渡航前に豪遊で溶かす!(どっちやろうなぁ)』とか、キャッチーなフレーズでまとめるのが難しい。何方かが仰っていたように渋沢栄一は功績が偉大過ぎると言うよりは功績がマクロ過ぎるのでしょう。この辺、2021年の大河ドラマ『青天を衝け』は主人公が美化されたのは顔面だけという良心的な作品でしたが、コロナ禍と『麒麟がくる』のスケジュールが初代帰蝶のアレでズレ込んだ煽りとはいえ、主人公が官界を辞して以降の尺が思いっきり削られたのが悔やまれますね。実業家渋沢栄一の功績(或いは功罪)を描けていれば、或いは『渋沢は偉人と呼ぶに値しない』という論調は、幾何かは減ったのかも知れません。

勿論、歴史上の人物に対する好悪の感情を否定するつもりは毛頭ありませんが、結局のところ『紙幣の肖像に私の嫌いな人物を使うのはやめろ』という発想は、数年前の改元時に囁かれた『元号に私の嫌いな政治家の名前と同じ漢字を使うのはやめろ』という主張と同じく給食に嫌いな野菜が出たと泣き喚く小学生のメンタリティと大差ありません。それでも『どうしても新紙幣の肖像画には耐えられない』と仰る方々には、

 

私も数十年間、大大大嫌いな福沢諭吉の肖像画に耐えられたから、きっとあなたも大丈夫ですよ!

 

という経験に即した激励の言葉を贈りたいと思います。

 

最後はこれ。

 

 

 

 

不死川実弥「テメェかぁ! お館さまに何しやがったぁ!」

 

珍しく無惨様は何もしていない。

 

世間は最終決戦の無限城編が劇場版三部作で描かれるとの公式発表に沸き立っていますが、本作に関してはアニメとネットミーム以外の知識を持たない私的には産屋敷ボンバーの衝撃のほうが遥かに上回りました。仮にも味方サイドの指導者が、恐らくは諄々と説いて聞かせて本人たちの了承を取り付けているとはいえ、ラスボス相手に自身の妻子を巻き込むキルトラップを発動させるとか……中の人も相俟ってキラークイーンの新能力かと思った。いいや、限界だっ! 押すねっ! これは『逃げ若』の尊氏と同じく、JOJOで演じたキャラクターを踏まえてのキャスティングの可能性が高いです。高くない?

しかも、上記の風柱さんの発言から察するに全ての事情を知っているのは悲鳴嶼さんだけで、他のメンツが『何か判らんけど無惨がやった! お館さまの仇だ!』と思い込むように誘導している訳で、自分と家族の生命と引き換えに敵ばかりか味方さえ欺く方法で自陣営の士気をガンあげするお館さま、ホンマにエゲツナイ。のちに無惨様は、

 

鬼狩りは異常者の集まり

 

と評しましたが、発言者本人がそれよりもイカれているというだけで発言自体は完全に正しいことが今回で証明されてしまった訳で、本作で一番感情移入出来るキャラクターは無惨様という私には色々な意味でドツボの回でした。イカれているといえば、今季のOP主題歌の『永遠の意味を知らぬ君に答えを示す時』というフレーズの禍々しさよ。答え=自爆とか、少年向けアニメの主題歌の域を超えているように思います。思えない? 何れにせよ、原作未読のおかげで産屋敷ボンバーの衝撃を真っ新の状態で受け止められたのはよかった。事前にネタバレを知っていたら、ここまでツボらなかったろうなぁ。好むと好まざるとに拘わらず、様々な作品のネタバレがネットミームとして耳目に入ってくる現代において僥倖でしたが、そういや、少し前にも同じような衝撃を受けたのを思い出しました。

 

 

 

 

1クール中盤辺りまではイマイチ何をやっているのか判りにくかった本作ですが、第12話&13話で全ての『?』にエゲツナイ解答が示された本作。これは是非、原作かアニメをご覧になって欲しいので具体的な名前は伏せますが、まさか、あの人物が全ての元凶で、しかも、自身は己に向けられる無知なる好意を利用するだけで全く手を汚さないで、都合が悪くなると『秘書が勘違いしたんです』レベルの物言いで心の底から同情の涙を流しつつも平然と手駒をパージして、証拠と悪意がなければ何をしても許されると本気で思い込んでいて、そのうえ、そんな自分の本性が白日の下に晒されても自分は他人に愛されていると信じて疑わないマジモンのサイコパスとは思わなかったわ。『JOJOの奇妙な冒険』では『悪』を『無知なる者を利用する者=ディアボロ』と『自分が悪だと気づいていない者=プッチ神父』と定義していますが、その両方を兼備している点で本作の当該人物は、私が誰かに『サイコパスとは何か?』と聞かれたら真っ先に名前を挙げるキャラクターになりました。サイコパスって見た目からしてヤベー奴と思われがちですが、モノホンはキチンと社会に溶け込んでいるからね。そのうえで性根が腐っているからね。

これ、原作は語り手が真犯人というミステリの一つのパターンに近い描かれ方をされているんじゃあないかと推測しますが、それをよくアニメでやれたなという感嘆を禁じ得ないのと同時に、アニメ新規組のためにTV放送の時までネット上の情報を絞ってくれていたであろう原作古参派の配慮もあったのではないかと推察します。ありがとうございます。この辺、基本的にネタバレ上等のスタイルでブログや旧Twitterをやっている私も、今後の姿勢を考える契機になったなぁ。何も知らずに沼にハマッた新兵の阿鼻叫喚からしか得られないヴェテラン兵の快感があることは、私自身も一昨年の『鎌倉殿の13人』で大いに実感しましたので。

 

 

 

 

私が『更新休みます』と宣言した週には何等かのニュースが入るという謎のジンクスが恒例になっていますが、今週もスルーしてしまうには勿体ないネタが出たので、軽めに触れておきましょう。

 

 

恐らくは今年一番期待値の高いアニメですが、来月放送開始にも拘わらず、ラスボス足利尊氏のキャスティング発表が伏せられており、一部では『本当に放送されるのか?』という疑念の声まで囁かれていた本作。実際、私も『逆に考えるんだ、ギリギリまでキャスティングを伏せるのは相当の大物を用意したサプライズプロモーションが進行しているんだ……真田広之とか』とネタに逃げることで、自身の不安を紛らわせていたものです。ちなみに事前の予想は、

 

本命・櫻井孝宏

対抗・宮野真守

大穴・神谷浩史

大物・速水奨

テラ大物・子安武人

超大物・真田広之

 

でしたが、先日、遂に公式発表がありました。

 

 

 

個人的には昨年の下半期ベスト10にも入った『オーバーテイク!』の眞賀孝哉のような草臥れたヘタレのおっさん役の巧さを推す小西さんですが、世間的には『鬼滅の刃』の宇随天元に代表されるオラオラ系の役柄で知られている方なので、第一報を聞いた時にはイマイチ、ピンとこなかったのも事実です。ただ、史実と本作の尊氏について色々と考えてみると、

 

CV:小西克幸

ラスボス

チート能力(含む未来予知)

ヘタレと帝王の二重人格

吐き気を催す邪悪(敵視点)

若気の至りで出来た隠し子に野望を阻まれる

 

 

これ、JOJOのディアボロだろ

 

と思い至り、これはディアボロを好演した小西さんをチョイスしたのは絶妙ではないかと膝を打ちました。この発想はなかった。実際問題、本命は【大人の事情】があり、超大物の真田さんは全体の予算に占めるギャラがエグいことになるのがウケアイであることを鑑みると、ディアボロ経由で尊氏をイメージさせる今回のキャスティングは好適。少なくとも私的にはボールと思って見逃した球をキャッチャーの絶妙なフレーミングでストライクを奪われた感があります、いい意味で。あとはオンエアを見て判断かな。そこら辺のカエルを捕まえて後醍醐帝とエア通話して『よし、俺は隠居する』と宣言する尊氏、見たくない?

 

ともあれ、今季春アニメは『夜のクラゲは泳げない』『ハイスピードエトワール』『怪獣8号』『戦隊大失格』『終末トレイン』と悪くはないけど何となく煮え切らない&乗り切れない作品でフラストレーションが溜まっているので、この『逃げ若』には期待しております。『夜のクラゲ~』は社会からドロップアウトしかけた女子高生4人組が社会を見返すために頑張るのが主題だったけど社会を見返すためには社会に認められなければならないというジレンマを解消出来ずに終わってしまったのがなぁ。『ハイスピード~』はレース以外が只管退屈。『怪獣8号』と『戦隊大失格』は主人公近辺に仲間を増やし過ぎてキャラクターの把握が難しい。そして『終末トレイン』は万策尽きるなよ……あ、来週こそ休みます、多分。