学校帰り、夕方のバスに乗ってきたのは
お馴染みのミキちゃんです
「なぁ、運転中やけどちょっと見て」
「何をや?」
「髪の毛下ろすんと今みたいなダンゴとどっちが良いと思う?」
「それは彼氏の好みで…」
と言いながら
ルームミラーを下げようと試みます
「今、鏡動かそうとしたけど手が短くて届かんかったんやろ」
「そや、そやねんけど解説せんでいいねん」
「黙ってられんわ、オモロいから」
「黙っとけ」
で、ミラー越しに見て
「今のが良いんちゃう?」
「ホンマ?ミキ顔大きいから似合わん思った」
「ある意味デカい顔しとるけどな」
「ある意味ってどういう意味?」
「いや、分からなんだらいいねん」
「なにそれ?キモ!」
「あ」
「今日もミキ終点まで行ってから帰るから、家帰っても誰もおらんし」
「なんで?お父さんケガしてんやろに」
「あんなんおらんのと同じやねん」
「ケガした時は心配してベソかいてたクセに」
「お前の心配なんか要らん!とか言うんやもん、心配なんかしたらへん」
「お父さんも見栄はってはるねん」
「それより自販機の近くに停めて」
「なんやまたジュース買うのか」
「うん、最近ファンタ好きやねん」
「ファンタなんてまだ売ってんか」
「は?前に買ってくれたやん、覚えてないん?ボケてんの?年寄りやから?」
「まぁそやけど…オレが買ったん?」
「ミキはボケてないから」
「マジ覚えてないわ」
そしてシッカリ折り返し地点でファンタグレープ買って
「オレンジはないのか?」
「あるよ、あとメロンも美味しいで」
「メロン?んなモンあるのか」
「美味しいねげふ!んで」
「ゲップしながら喋んなや」
「ミキみたいなカワイイ子はげふ!ゲップせんわ!」
「しとるやないか!口から屁でとんねん」
「あれ?」
そう言いながら
ファンタグレープを抱えて彼女は帰って行きました