影を見る |  ZEPHYR

 ZEPHYR

ゼファー 
― the field for the study of astrology and original novels ―
 作家として
 占星術研究家として
 家族を持つ一人の男として
 心の泉から溢れ出るものを書き綴っています。

何ら先入観のない目で見る、というのはとても難しいことです。

人間の脳には、もう埋もれてしまって、思い出すことが難しいものも含め、過去の体験が集積しています。
意識できるものも、無意識のものも。

昨日の記憶、一か月前の記憶、一年前の記憶。

じつはこの記憶が、常にものを見るときに顔を出しています。

道を歩いているときに、過去の記憶と照合します。
あ、前にある断道だ、とか、いつもの通勤路だとか。

人と話すときにも。

自分に対して口うるさい上司としての記憶があれば、話しかけられたとき、
「あ、また何か言われるんだろうか」と怯えます。

いつもにこやかな会話ができている人なら、
「あ、何の話だろう」と心が浮き立ちます。

これらの感情は、じつはその多くが過去の体験と記憶から出てきています。

つまり人は、誰かと接するときにでも、同時に自分の中にメモリーされているその人とも接しているのです。
そして、ほとんど自動的にその人に対して抱いている感情を惹起させています。

もしその人との関係が良好なら、その感情は人間関係をさらに良いものにも発展されるかもしれません。

しかし、問題のある関係の場合、その感情はさらにその人との関係を悪化させることもあります。

もしかするとその人は、今日は機嫌が良いかもしれません。
あるいは、昨日きついことを言ったのを済まないと思っているかもしれません。

もしそうだとしても、過去の記憶に縛られていると、その人に対する態度や顔つきも堅く、あるいは拒否的なものになり、その人の友好的なものの芽をつぶしてしまうかもしれません。

これは過去の記憶に存在するその人のを、今のその人の中に見ているということです。


あるいは違った影もあります。

過去、裏切られ、非常に傷つくような別れをしてしまうと、異性のことを信じられなくなってしまうことがあります。

その人物のを、他の異性の中に見てしまうからです。

しかし、現実にはあなたを裏切ったその人物はその人物個人であり、他の人間にまで当てはめてしまうのは、本当はナンセンスです。

世の中にはいろんな人間が存在しているので、人を裏切ったり、陥れたり、そんな人間ばかりではありません。

仕事上でも、ある業界の中の人間のことは信じられない、というのは、よくある話です。

それらも実は、すべて自分が体験し、自分が見聞きした記憶が背景にあります。


また人は、時に自分のを相手に見ることがあります。

自分が普段こうしている、このように考えている。

欲望があれば相手にも同じ欲望があると考える。

敵意があれば敵意があると考える。

その自分の記憶が、「相手もそうではないのか」と疑わせることがあります。

自分が人を信じられないとすれば、他人もまた自分のことを信じらないと考える。

これは自動的にそのようになってしまいます。

信じたいけれど、信じられないということも起きてきます。


もちろん、なんでもむやみやたらに信じればよいわけでもないし、無防備に相手に接することが良いわけでもありません。

ケース・バイ・ケースというものがあります。
不審な人物を警戒できる機能というのは、記憶や知識があればこそで、それを捨てるのが良いわけではありません。

そういった事例のお話ではありませんが。


自分が向き合っている人物、特定の人間関係を良くしていくためには、自分が人の中に見ているを意識するとよいでしょう。

なぜ自分はそう考えているのか、その人がそういう人だと思っているのか。

自分の中の何がそう感じさせているのか。

人間関係は、自分の中のとして現れてくることがあります。

逆に言えば、を解消すれば、問題のある人間関係の解消にも役立ち、より良い人間関係を呼び寄せることにもつながるでしょう。




一期一会という言葉があります。

今その瞬間のその人との出会い、交流は、この瞬間にしかない。

じつはその人との交流は、過去のものではなく、今この瞬間にしかありません。

それを少しでも意識できたら、人間関係の改善に役立つことがあります。

記憶の忘却ではなく、記憶は持ったまま。

それでも今この瞬間に出会っていく。

そんな叡智と勇気を。



ポチしてくださると、とても励みになります。ありがとうございます。

人気ブログランキングへ

9月札幌出張鑑定についてはこちらへ。

このブログの執筆者であるzephyrが、占星術鑑定の窓口を設けているのはFC2ブログにある<占星術鑑定に関して>の記事のみです。