三年という歳月には意味がある |  ZEPHYR

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― the field for the study of astrology and original novels ―
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 占星術研究家として
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 心の泉から溢れ出るものを書き綴っています。

「石の上にも三年」

という言葉がありますよね。

辛いとき苦しいときでも辛抱して耐えていれば……という、今後の希望を含めたことわざですね。

この場合の三年というのは、観念的な数字で、ある程度の長い期間という意味合いだとは思うのですが。

じつは占星術では、三年という歳月にははっきりとした意味があります。

たとえば進行図の太陽が取るアスペクトですが、たとえばこれが出生の土星とスクエアというハードアスペクトだとします。

太陽は1日1年法では、まあ、だいたい出生後の人生で、一年間に約一度、星座を移動します。

進行運の許容角の取り方にもよりますが、私の見るところ、この太陽が出生天体に取るアスペクトの効力が、約三年なのです。

つまりこの場合、土星の示す苦難、逆境に関しても、効力が三年ということになります。

ホロスコープを日常的に眺めている身にとっては、これは非常にリアルな感覚で、自分自身でも痛感することはありますし、たとえばご依頼されて行う鑑定でも、ある特定の問題の発生が、まさにそのアスペクトが始まった頃で、顕著になったのがそれが強まった頃、そのアスペクトの消滅と共にその問題が解消していたりと、まあ、こんなにもお星様は正直者なんだと、あきれるほどです。

これはじつは、太陽の運行だけではなかったりします。

たとえばソーラーアーク・ダイレクションという進行運の手法を適応すると、太陽以外の天体もすべて、太陽の進行度数と同じだけの数値を、出生度数に加えることになります。

たとえば太陽が牡羊座10度で出生した人は、20年後の誕生日には、だいたい太陽が20度進むことになりますが、ほかの水星や土星や冥王星なども、その太陽の進んだ度数だけ進行させることができます。

これは、「どうしてそうなるのよ?」「そんな法則ができたわけがわからない」と思われる方がいても不思議はない考え方なのですが、太陽は言うまでもなく太陽系の中心的な星で、その運行状況が他の天体にも反映されると考えることは自然です。

なぜなら太陽は、すべての天体が集約的に表現されたもの、だからです。

逆にその太陽の分身たる他天体にも、その周期性が適用されるのも、そう無理な論理飛躍ではありません。

そのように考えると、ソーラーアーク・ダイレクションで太陽と同じだけ進行する天体が作るアスペクトの効力も、太陽と同じように約三年なのです。


三年経過すれば、かならず状況が好転するわけではりません。

その後もハードアスペクトは、他の天体と続いていくかも。

しかし、ある特定天体とのハードアスペクトは、だいたい三年で終わります。

そうすると、次にまたハードアスペクトがあったとしても、体験的なもの、感覚的なものは変化してゆきます。

「以前とは違っているぞ」と感じられるはずなのです。

苦境が続いたとしても、その中身は前と違っている。


じつは、このような経験が、「石の上にも三年」なのではないか、と思える節もあります。

ある状況は三年をめどに変化する。

古人はこれを知っていたのではないでしょうか?

私は占星術は高校生の頃からやっていましたが、プロとしてやり始めたのは、太陽に進行海王星が合になるときでした。わりと最近の話です(海王星には占いという意味がある)。

普通ならこれは続きにくいアスペクトです。

実際、揺さぶりを受けてやめてしまおうとしたこともありました。

が、そうはならなかった。

この仕事は私の生活の中で、非常に大きなものとなっており、そして多くの人との関わりの中で、すごく実り大きなものともなってもいます。

三年どころか、もっと長い歳月が流れるうちに、進行海王星の太陽へのハードアスペクトも生じましたが、努力して研鑽を続け、やめず、あきらめず続けるうちに、このハードアスペクト時に、むしろ占星術は大きく伸びました。

人との関わりの中でも同様なことを述べたことはありますが、たとえば仕事とか趣味にしても、一つのことは最低三年を目安に続けてみる価値が、ここにあると思います。
星のアスペクトを乗り越えるたびに、それは本人の蓄積となっていく。
ハードでもソフトでも。

その結果、大きな飛躍を迎えるときも、やがて巡ってくる。

すべてが三年とおう歳月で解決するわけではないけれど、それは一つの判断基準となり得ます。

一つのことが三年持続できるなら、そのときあるものがハードアスペクトであっても、それは本人の蓄積となり、力となる。

そんなことも感じるzephyrです。