サンショウウオの話70/礼子 |  ZEPHYR

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― the field for the study of astrology and original novels ―
 作家として
 占星術研究家として
 家族を持つ一人の男として
 心の泉から溢れ出るものを書き綴っています。

橋本紡「九つの、物語」
部屋で本を読んでいたゆきなはびっくり。勝手に俺の部屋に入るなと兄が入って来たから。そこは確かに兄の部屋。しかし兄は2年前に亡くなっていました。
それから死んだ兄との奇妙な二人の暮らしが続き、ゆきなの読んでいる物語がかかわって来ます。兄の部屋にあった古い本。九つの本と九つの物語。そのうち二つが井伏鱒二の「山椒魚」です。改編前と改編後。ここでは改編前と改編後とどっちがいいかと話していて意見がわかれていました。改編後を支持する人もいるんだなと新鮮に思いました。作品は発表された時点で読者の物だ。作者と言えど変えるべきでないとか、作品はやはり作者のものだとか。ミニ改編論争。私は怖くて改編後を読んでいませんが読んでみるべきでしょうか。ちょっと改編論争に参加してみたくなりました(サンショウウオの話30参照)。
今年「スターウォーズ」のブルーレイ版が出たのですが、ジョージ・ルーカスの改編にファンが激怒。不買運動までおきました。作者は作品を直す権利があるかもしれないが、読者はオリジナルを見る権利があるとか。いずこも売れた作品と言うのはもう一人歩きしてしまうんだなと思いました。