得たかったら、捨てろ! part.2 |  ZEPHYR

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ゼファー 
― the field for the study of astrology and original novels ―
 作家として
 占星術研究家として
 家族を持つ一人の男として
 心の泉から溢れ出るものを書き綴っています。

「じゃ、もうあきらめてください」

私はK子さんに言いました。

「あきらめる?」
K子さん、目をぱちくり。

「はい。出会うとか結婚とか、そういうのをあきらめてください」

「…………」

K子さん、しばらく沈黙。

ありゃ~、さすがにこれはきつかったか?
その瞬間、

「わかりましたビックリマーク

え( ̄□ ̄;)!!
も、もう?

「あきらめます。すっぱりあきらめます」

は、はやっ!

あきらめるの、めちゃ早い。

いや、普通、そんなに簡単に気持ちの切り替えできんだろうあせる

と、思うのですが、やはりそこは神経が普通の人と違っているところに通っているK子さん。

これから、あきらめることの効能を説明しようと思っている先手を打たれてしまった。

「じつは運命の転換法というのがあって、あることに執着していると、かえってそのことが実現しにくくなるんです。
愛がほしいとか、お金がほしいとか、そういうことにこだわって『ほしいほしい』と言っている人間に限って、逆にお金や愛も寄りつかなくなってしまうってことがあるでしょう?」

「あ~、あります」

「『お金がほしい』って言うのは、詰まるところ自分がお金がないって、宣言するのと同じなんですよ。
人間には思うところを実現させる力があります。
ほしい、というスタイルの想いというのは、じつは『ない』と言っているのと同じで、ほしいと思っているものがいつまでもないという状況を作り出してしまうんです」

「へ~」

「占星術の法則でも、一つの星座やハウスにたくさんの星が集中したりすると、そこの力が強まる一方、逆にうまく機能しなくなるということも起こってくるんです。
だから、逆にそこに対する執着やこだわりを手放してやると、風通しが良くなってうまく機能し始めることがあるんです」

「そのためにあきらめるんですか」

「まあ、良くなると思ってやるのは、すっぱりあきらめるのとはちょっと違いますから、ここはすっぱりあきらめてみましょう。
いいじゃないですか、この太陽と月のトラインの時期に出会わなくても。
そこだけがチャンスじゃないし」

「そうなんですよ。もう今がチャンスなんだと思うと、よけいに余裕がなくなってしまって」

「ノストラダムスという中世の予言者がいて、この人が相談に来た人に対して、このような逆転発想を勧めていたらしいです。
私はこれは占星術的に見ても、本当に効果があると思っています。

こだわるとうまく行かない。
だから、執着を捨てて、もううまく行っても行かなくてもいい、むしろそんなことはまったく期待せずに、あきらめてみてください」

「わかりましたビックリマーク なんか、そう思うと、気持ちがとっても楽になりました」

まあ、多少の脚色はあるものの、このようなやりとりをしたのが半年ほど前。

K子さんの太陽と月のトラインの時は去ってゆきました。

実際、K子さんみたいな人は珍しいです。

もともと結婚願望とか、あまりない人なのでしょう。

チャートも水のエレメントの星がほとんどなく、きわめてドライな性格構成のものとなっていて、だからこそ理性的に簡単に気持ちの切り替えができる。

もともとそこにあまりこだわっていなかったはず。

しかし、まわりの状況とか、そんな中でいろいろと思い悩んでいたのでしょう。

それが外れたので、彼女は見事なくらいにさばさばしていました。

彼女は、本当に執着を捨てて、すっきりしてしまっていました。


すると。

何が起きたのか?


続く。