12星座間にある相性の秘密(というほどのものではないけれど) |  ZEPHYR

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 心の泉から溢れ出るものを書き綴っています。

よく鑑定で、つきあっている異性との相性を見てほしいと要望されることがあります。

が、この相性という言葉ほど、ニュアンスが曖昧な占いも他にないといえます。

「相性を見てください」

と希望される方のほとんどは、相手と自分の相性がいいのか悪いのかを知りたがっていて、そしてその背景にはたいてい

「相性が良ければうまく行く」→「幸せになれる」

という考えがあることが多いようです。


しかし、これまでの経験から言わせてもらえば、相性が最高に近いくらい良くても別れに終わるケースが珍しくないのです。

つまり「相性の良さ」は、イコール、「良い結末」につながらない。

もちろんつながることもあるのですが、つながらないことも多い。


「相性」と一口に言っても、その実態は非常に多様で、簡単に12星座別の相性などで類別できるものではない。
(同じエレメント星座か、風と火、地と水のエレメント同士が良いとか)

基礎理論としてはそれはあるのですが、太陽星座であるいわゆる12星座占いの星座だけではなく、感情を司る月や、愛情の金星、あるいは人生を構成するであろう対人関係運や家庭運の関連性、星々のグループアスペクトの共通性など、いくつも着眼点があります。

それにいわゆる同じエレメントの星座が良いと言っても、かならずそれが相性の良さを保証するかというと、そうでもなかったりします。


たとえば牡羊座5度に月を持つAさんと、獅子座5度に月を持つBさんの組み合わせは、当然良いはずです。

同じ火のエレメントで、度数も同じ。
完全なトライン(120度、幸運のアスペクト)の関係になります。

この二人の場合、たとえばトランシットの木星が射手座5度付近に来たときに、相互の月に対してそれぞれトラインが生じるわけで、二人は同じように幸運な体験を共有しやすくなります。

「楽しい出来事」
「ラッキーな出来事」

Aさん、Bさん、それぞれがある特定の出来事で同じ思いをすることができる。
それだけ想いも重ねられる。

これが相性の良さにつながるわけです。

この二人の場合だと、たとえば双子座5度に木星が来ても、それぞれにセクスタイルというソフトアスペクトができ、同じような働き方をします。

ところが。

この関係が絶対によく働くかというと、そうでもないのです。

たとえば天秤座5度に土星が巡ってくると、どうなるか?

Bさんにとっては月は、この土星とセクスタイルで、生活の中に安定感や安心感が生じ、考えや感性も堅実になったりまじめになったりという効果が期待できますが、Aさんにとっては月に土星はオポジション(180度のハードアスペクト)です。
Aさんはこの時期に気鬱になったり、対人関係、上司や目上の人間との問題で悩んだり、責任や重圧といったものに苦しむということも考えられます。

この時期に、同じ一つの星から生じる体験は、AさんとBさんでは、まったく受け取り方が違ってくる可能性があるのです。

もしこの土星の時期に二人が旅行に出かけたら、この旅行体験でAさんはストレスを多く感じ、Bさんは安心感を感じているかもしれず、それが二人の間の意見の食い違い、けんかの種になることも普通に考えられます。


また牡羊座5度の月のCさんと、双子座5度の月のDさんの場合。

火と風の組み合わせで、良いとされる相性です。

これでも獅子座5度、水瓶座5度などに星が巡ってくるときは、同じように良い思いを共有しやすくなりますが、天秤座5度、射手座5度などだと、片方がハードで片方がソフトになり、一つの出来事から違った思いを感じやすくなります。

もし思いの共有度ということを相性の条件にするのなら、対向星座の同じ度数か、同じ星座の同じ度数に星があることの方が、シンクロ率は高い。

牡羊座5度の月と天秤座5度の月は、出生図の中で月と月が対向しているので、未熟な状態だと反発にもつながりますが、互いの関係を補完するという意味においては最高です。

また他の星座の5度に星が巡ってきたときでも、同じような働きをする率が高く、想いを共有しやすい。

同じ星座の同じ度数の月というのは、この点で完全です。

対向型は、それでも違った体験になる可能性はあります。

その観点では、同じ星座であることが、もっとも相手を理解しやすく、想いも共有しやすく、対向星座がそれに次ぐものということになり、いわゆる異性関係の場合は、真反対の星座も強く引かれ合うというのが、一般法則で言われているのですが、このように考えると、それも筋が通っていることになります。

しかし、同じ星座というのはあまりにも発展性がない。

要するに似たもの同士でくっついているわけで、同じ想いは共有しているかもしれないけれど、そこに新しい要因は入ってこないことになります。

発展性のない良好な関係(おかしな言い方ですが)。

そうしてみると、対向星座というのはもともと真反対の要因を持っているし、その後の人生の星々の巡りでも、同じ想いも共有しやすいというメリットがあり、これが占星術で

1ハウス=自分
7ハウス=配偶者

という表示に定まっている最大の根拠だろうと思います。
1と7は対向です。

しかし、このように考えてくると、いわゆる良い星座間でも、違った感じ方をすることがかならずあり、そのときに生じる「差」をどのように埋めるかが、人間関係では大事なのだと分かります。

自分と同じ人間は一人としていない。

だから、違った考え方や感じ方をして当たり前。

じつはこのような前提に立つと、いわゆる相性の悪い星座とされる、火と水、風と地といった組み合わせでも、互いに理解して乗り越えていける余地は広がることになります。

ただ、これらがなぜ相性が悪いとされているかと言えば、トランシットでどこかの星座に星が巡ってきたときに、ハードアスペクトは共有することがあるのに、ソフトアスペクトを共有することはあまりないのです。

つまり一つの体験で苦しい想いは共有できるが、良い想いを共有しにくく、そのために片方が良いときは片方が悪いという、はっきりとした落差になりやすい。

そのため、
「あたしがこんなに苦しんでいるのに、なに楽しそうにしてんのよ!」
みたいなことになりやすい。

これが12星座間の相性のからくりです。


逆に言えば、ここまでのことを理解してしまえば、互いに歩み寄ることもできる。

一般的に言われている相性の善し悪し以上の関係を築く可能性も広がる。

好きな人と、良い関係を築くか、けんかばかりして過ごすか。

そのあたりも、本当は本人次第。

ちゃんとした思いやりがあれば、どんな星座間にもちゃんと橋は架けられます。