かくして破滅は回避される |  ZEPHYR

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ゼファー 
― the field for the study of astrology and original novels ―
 作家として
 占星術研究家として
 家族を持つ一人の男として
 心の泉から溢れ出るものを書き綴っています。

今日は休みで、自宅で仕事をしているzephyrです。

<未来を変える対処法>の続編です。
未来を変えるために、というテーマのこの記事における「未来」とは、人類全体の未来と私たち個人の未来の二つの意味があります。
そして、占星学上の理論を突き詰めていくと、それは無関係ではないということです。
個人の幸せの先に、人類の幸福もある。
地球全体が幸福になれば、当然、個人にもその恩恵がある。
当たり前のことなのですが、今のこの世界の状況を見ていると、私たちはともすれば希望を失いがちになります。自分になんの力もなく、国家とか社会とか、大きな枠組みの中で理不尽な物事が進められたり、勝手に戦争が行われたり(少なくとも勝手に行われているように感じる)、大きな地震や災害、事故といったものに翻弄されて生きるしかないように思えてしまいます。
まして、前世紀末のように「世界が終わる」的なことをいう人間もいる。
これだけ不安な世の中ですから、私たちも怖くなってきます。

前回、トランスサタニアン(土星外惑星)の力を使いこなすことが、個人にとっても世界にとっても重要だということをお話ししました。
その人個人がどのような使い方をすればいいのか、どのトランスサタニアンと相性が良かったり、縁が深かったりするのかということは、個人のチャートを調べなければ、はっきりと見定めることはできません。
しかし、そう悩まなくてもいいように、世の中はできています。
こういう言い方をすると、自分の商売の一部を否定しているようなものですが、実際は「占い」などなくても人は生きていけるし、自分の道を見つけられます。
ただ占星術は、なんらかの道しるべとなる可能性があるし、その人の意識を補完したり、背中を押したり、といった機能を持っているというだけです。

実際は多くの人が、たとえば「適職」や「縁のある職」に就いているものです。
ホロスコープ・チャート上に示されている、もっとも良好な星や強く機能しそうな星、星座の職業上の意味をいくつか指摘すると、「ええ、それやっています」と言われる場合がほとんどです。
というのは、結局、皆さん、無意識にその星の示す方向へ動かれるからです。
それは自分にとってやりやすいこと、馴染みやすいこと、また縁のある環境だったなどの理由に拠っていて、そういった現実とチャートは決して無関係ではないという証明なのです。

これは何も仕事に限りません。
全体的なことを言えば、ただ愛に生きる人もいます。自分だけの研究に没頭する人も(仕事でなくても)。
しかし、人は社会的な生き物ですから、どうしても人や環境との関わりの中で、喜びを見出していくことが多いのです。その結果、職業というのは星を使うときの大きなキイワードとなっていくのです。

もちろん不本意な職場で働いているとお感じになる方もいらっしゃるでしょう。仕事自体が好きでないと感じる方も。
むしろ仕事の多くはストレスを伴い、喜びを見出しににくいという側面が強いものです。
何事もすいすいと事が運び、次々に成果が上がれば、最初は面白いと感じるかも知れません。
しかし、飽きてくるのも早いでしょう。
それでは私たちがこの世に生まれた意味がありません。

困難さというプロセスを通じてこそ、真の喜びがあるということは言えるのではないでしょうか。

ともあれ星を使いこなすこと、それもできればトランスサタニアンを使うことなのですが、どうやってそれを見つければよいか、ということです。
自然にそうなっている場合もあります。
しかし、どうしても自分のおかれている環境に納得できなかったり、今やっていること(仕事に限らず)に満足感が得られないのだとしたら、次のようなことに敏感になって下さい。

自分が好きと感じること。
時間を忘れてのめり込めること。
子供の頃、抱いていた夢。
繰り返し、自分の前に現れる人のタイプ、あるいは人以外の現象。
シンクロニシティ(意味のある偶然の一致)。

これらの中にこそ、手がかりがあります。
最後のシンクロニシティというのは、たとえば自分がある人のことを考えていたら、その人と街角で偶然にばったり会うとか、何年も音信がなかったのに急に連絡があるとか、そのような現象のことです。
自分が興味を抱いているものがあるときに、たまたま訪問した取引先の机の上に、そのことが書いてある雑誌があるとか。
唯物論的には偶然としかいいようがないのに、その出来事が起きた背景に、なんらかの見えないつながりが感じられるような出来事。それがシンクロニシティです。
シンクロニシティは鈍感になってぼやーっと過ごしていると見過ごしてしまうことが多いのです。本当に「不思議な偶然だな」ぐらいに考えて、スルーしてしまう。
しかし、それはあなたに示されているサインであることが多く、シンクロニシティはあなたの人生を良い方向へ導くために起きていることがほとんです。

ただ、シンクロニシティはそれが起きやすいコンディションというのがあるようです。
気落ちして、暗い気持ちで過ごしていると発生しにくいという報告があります。
逆に積極的、前向きな気持ち、明るい気分で楽々とすごそうとしているとき(逆境の中でも)、それらは起きやすいようです。
全身に力を込め、こめかみに血管を浮き上がらせて気張っているような状態でも起きにくいようです。
リラックスしていることが、重要なのです。
そんなコンディションで世界と向き合っているとき、シンクロニシティがあなたを導いてくれます。

そうして、皆さんが自分の喜びとできる生き方を見つけたとき、星々はかならず生き生きと輝きを増し、使いこなされていくでしょう。

トランスサタニアンは、人の人生の中では「不幸」な出来事として現れやすい星です。
冥王星なら「破滅」「すべてをゼロに」といった出来事、海王星なら「雲散霧消」「流れる」「不安定」といった出来事、天王星なら「別離」「アクシデント」など。
しかし、これはこれらの星の資源を有効利用できないために起きてくる現象と考えられます。
トランスサタニアンは大出力のダイナモみたいなものです。
発電量が多すぎて、普通の家電製品は壊れたり、使えなかったりします。
この場合の普通の家電製品は、土星内惑星たちです(太陽は例外)。
水星や金星、火星の機能というのは、実に個人的で使用範囲が限られています。

イージーアスペクトならいいのですが、ハードアスペクトでトランスサタニアンが関わってくると、たいがいの内惑星はオーバーフローして破綻します。
受け皿がないからです。
これが結果的に「不幸」な出来事として現れる理由です。受け止めきれないのです。

では、先の記事にも登場して頂いた大先輩、松本清張はなぜトランスサタニアンを使いこなせたのでしょうか? あれほどハードアスペクトだらけの出生チャートなのに。
簡単です。
清張氏は受け皿を持っていたのです。でも、それは先天的に持っていたのでは、決してありません。
彼の場合、水星(作家)の力を鍛えに鍛え上げたゆえに、あれだけのトランスサタニアンを受け止めきったのです。

そう。
ここからも重要なことが分かってきます。
星の力というのは、筋力と同じだということなのです。筋肉も付けようとすれば、ある量の運動をこなさなければなりません。ましてはっきり増強しようとすれば、かなり負荷のかかる運動をしなければ(つまり、しんどい)、付きませんよね? これは道理です。

内惑星はトランスサタニアンの巨大な力を変換するアダプターでもあり、コンデンサーでもあります。
こいつの性能をいいものにしておけば、より大出力のエネルギーをも受け止めきれるのです。

ということは?
そう。
現実的な言い方をすれば、私たち1人1人がより生き生きと、輝いて生きていけば良いということになってくるのです。
やりたいこと夢中になれることを見つけて、努力をして星々の力を使いこなしていけば。
かくして、占星学上の推考は、きわめてまっとうな現実のアドバイスと重なってくるのです。

なんとも、つまらん結論だなー、と言われるかも知れません。
もっと神秘的で、御利益がありそうな結論を期待していたのに。
そう思われるかも知れません。

しかし、結局はそれが幸せにつながるのは、誰の目にも明らかでしょう。
1人1人がより創造的な人生を、喜びを持って送ること。
そうすれば、トランスサタニアンは個人の中で十分に発露し、世界を滅ぼすこともなくなる。

長くなってきたので、もう一回続編を書きます。