世代にも運気がある |  ZEPHYR

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 心の泉から溢れ出るものを書き綴っています。

世代が持つ性格というのか、おおざっぱな傾向があることは、誰もがお認めになるでしょう。たとえば昭和の戦前、戦後、高度経済成長期、バブル期、そしてバブル後の平成の今の時代……。

なんとなく時代を覆っている雰囲気、その時代で中心的な役割を演じた世代が持つ性情みたいなものは、たしかにあるように思えます。
非常にわかりやすい例で申し上げると、今、次々と定年というものをお迎えになっている「団塊の世代」ですね。ご苦労様です<(_ _)> 今まで日本という国、経済を引っ張ってきて頂きました。ありがとうございます。
団塊の世代というのは、戦後の第一次ベビー・ブーム時、だいたい1949~50年にかけて誕生した世代の方々のことを指すようですが、場合によっては55年生まれくらいまでを含めることもあるようです。
そして、この世代は「全共闘世代」とも重複しています。これは60年代末から70年代の安保闘争の時代に青春時代を送った世代のことを指すのですが、ちょうど団塊の世代がまさにこれに該当します。
といっても、団塊の世代のすべてが全共闘運動に参加していたはずもありませんが、当時の学生の15%がこれに関わっていたというデータもありますから、これは相当、大きなムーブメントだったことはご理解頂けるでしょう。そして、それだけの若者が動けば、単なる社会現象という以上のものがあるということも。

この49~50年にかけて、土星は乙女座にありました。乙女座は厳しい論戦を張ったり批判精神を発露させたりするサインで、ここに土星が入宮すると、この要素が抑制させたり、過激に発揮されたりします(とくにネガティブな形で)。どちらにしても「批判」「論争」まさに全共闘運動を象徴するかのような要素です。
さらにその背後には、獅子座に入宮していた冥王星の影も見えてきます。冥王星は破壊と再生の星ですから、そのサイン(星座)の意味を根底から刷新しようとします。
冥王星は37年10月に獅子座にイングレス(侵入)、19年間をかけて56年10月に次の乙女座にイングレスしています。
太陽を支配星とする獅子座は、皇帝、王、権力者、支配者などの意味があり、冥王星効果はこの世の現実的に支配しているものへ反逆、そのものの破壊行為へとつながっていくというのが、きわめて短絡的な読み方です。短絡的なのですが、この期間に誕生した人間が成長し、若者になったときにビートルズに熱狂し、ベトナム戦争に反対してヒッピーになり、そして日本では安保闘争という歴史を刻んでいったことを振り返るとき、あなどれないスター・エフェクトだということがおわかり頂けると思います。

こう考えて頂いたら、わかりやすいと思います。
いわゆる12星座占いは、1年のうちの約30日ずつを一つの星座に割り振っています。それは太陽がほぼ1日1度の割合で進行していくからです。私は蠍座、あなたは水瓶座というような言い方をするとき、それは太陽の背景のみに注目しているのです。
1年のうち、30日ほど、そのサインの性格・性質が強調され、太陽という絵筆で表現される期間がある。それが○○座というものなのです。
大きなカンバスに、30日分のカラーを着色するのが、太陽の役割なのです。
しかし、太陽が着色した30日分のさらに背景には、たとえば木星は一つのサインを、約1年弱ほどでよぎっていきますから、木星というより大きな絵筆ですでに着けられている1年分のカラーがあるのです。
さらのその背景には、6~7年でサインを通過する天王星のカラーが、さらにその背景には13~4年の海王星という絵筆が着けたカラーが……。

絵を描くとき、背景から着色していくように、現時点の占星術では、冥王星やエッジワースカイパーベルト天体が、まずカンバスにもっとも広範な色を着けていきます。そしてその上に、さらに色が足されていくのです。段階的に。

プリンタがそうであるように、マゼンタ、イエロー、シアンの三色があれば、全部の色彩が表現可能になります。想像してみて下さい。
たとえば、赤という色で描いた2000年から2010年までのエリアがあるとします。そのエリアに重複する形で、2005年から2012年までを青で塗ったとします。すると、2005年から2010年までは、二つの色が混ぜ合わさった紫のエリアができます。
占星学上の天体とサインの解釈は、深いところではこのように最も広いエリアから徐々に輪を狭めて、そのカラーの配合を解読していくものでないといけません。ところが、プロでも実際はあまりそこまで踏み込んではやっていないはずです。その必要があまりないからです。
というのは、冥王星→海王星→天王星といった、トランスサタニアン(土星外惑星)の影響はかなり世代的に発揮されていて、あれこれ考えなくても、私たちは経験的に「団塊の世代はこんな感じ」「今時の若い奴らはこんなふう」といったことを、肌身で感じて知っているからです。
つまり、大枠から解読していく必要があまりないのですね。個人の運勢を単純に読む場合、実際、トランスサタニアンはあまり必要ないという意見すらあります。

しかし、松本清張のような大文豪の命運を解読するときには、山羊座の天王星、蟹座の海王星、双子座の冥王星といった背景まで読み解かないと、完全解明まで行かないものです。
大清張のような作家は、まさに時代という大きな電磁波の中で、その磁場をひときわ強く受信し、現実世界へと向けて放電した(絵を描いた=小説を書いた)と言える存在だからです。
ちなみに、きわめて単純な読み方をすると、知的活動である文学(双子座)の根底的刷新(冥王星)、流動的であいまいになった家庭環境、家族(蟹座の海王星)、権威や権力への反逆(山羊座の天王星)といった背景すべてを、清張文学は見事に備えています。清張はそれまで格下に見られていた推理小説というジャンルを、名実と共に文学として高め、人々の認識さえ改めさせ、高度成長時代に家族も顧みることなく働き続けた男たちが、この社会構造の中で生み出してしまった歪み、権力やそこに癒着する闇といったものを小説という形で浮き彫りにするという偉業を成し遂げたのです。

こうした傾向が個人の中で表現されることは、どちらかというと希です。
大多数の人が、トランスサタニアンの力は使わないで生きています。そして、使用されないまま、宙に浮いたそれらの天体の影響力が、なんとなくその時代を覆っている雰囲気として、拡散して広がっているのです。
そうして、時代の空気、世代の雰囲気というものが形成されていきます。

その影響力というのは、ある世代グループが活動力を増す頃、とくに社会に出て活動する頃になると、明白になっていく傾向があります。
たとえば私は1962年の生まれですが、同時期に誕生した世代は、天王星と冥王星を乙女座に持ちます。乙女座には純潔性、潔癖性などという意味もありますが、同世代のアイドルがテレビに登場し始めた頃、まだアイドルたちはこうしたものを保っていなければならないという風潮がありました。これはアイドルというものを商品として作り上げている当時の大人たち(乙女座に冥王星や天王星が入る前の世代)が、そのような固定観念を持っていたためですが、現実的には私たちの世代以降、こうした純潔性というものは根本から崩れ去っていくのです。
今、アイドルが恋愛しようが結婚しようが、はたまた婚前にできちゃっても、世間は非常に寛容です。普通です。それどころか祝福したりします。そうなったのは、私たちの世代が純潔性という幻想を破壊し、根底から刷新してしまったためです。ややお下劣に言うと、「アイドルだって恋もするし、セックスもするし、ものを食べれば大小便だってするんだ」っていうような認識ですね(スミマセンあせる)。

冥王星に絞って話を進めると、非常に話が分かりやすいのですが、冥王星は1971年の秋には次の天秤座に入宮します。そして83年の秋、蠍座にイングレスします(その後、ちょっと天秤座に後退する時期があるのですが)。
71年生まれの方は、今年37才ですね。83年生まれの方は、25才。
女性で言えば、結婚ということがもっとも起きやすい年齢域と言えます。
ところが、この世代の女性たちは、ほかの世代よりも「離婚」ということを経験しやすいはずなのです。もちろん、これは全体的傾向であって、個人の命運には大きな違いがあります。
これは何を根拠に言うのかというと、天秤座にはそもそも「契約」とか「共同作業」とか、そこから発展して「結婚」という意味合いがあるからです。この世代は、結婚という概念やスタイルに大きな変革をもたらすはずで、現在25才のもっとも若いグループが、結婚という出来事から縁遠くなる頃には、世間の結婚というものの認識を大きく変えてしまっている可能性があります。
つまり、「離婚は人生上の失敗なんかじゃない。1回や2回の離婚くらい当たり前。より良い人との出逢いを求めていくのが人生」みたいな認識の変化が起きる可能性があるのです(いや、すでにそうなってきているように思います)。

そしてその次の蠍座・冥王星グループは?
彼らが世の中に台頭する頃、いったいどのような変化が社会に起きるのか?
こういった流れが、2012年問題とも、どこかでつながっていくと思われるのですが、それはまた次回に。