北斗の星はやはり強かった |  ZEPHYR

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最近、カイゴウ星の人間の占いをすることが、何度か連続してありました。
カイゴウ? なんじゃ、そら。どこの星や? 宇宙人か?
そう思われる方も多いと思うので、簡単に説明しますね(かつてこのブログ上で解説したこともあるので、記憶されている方は飛ばして読んで下さい)。

カイゴウ星というのは、難しい漢字で、魁罡と書きますが、「さきがけ」に「四方が正しい」です。字面を見てもらっただけで分かるでしょうが、西洋占星術に関する何かの星ではありません。私は鑑定を行うときに、東洋の占術である四柱推命も補足的に役立てています。たとえば運気の強弱や、ざっくり見た感じの性格、気質などは、四柱推命の方が端的な表現を取っています。
西洋占星術と四柱推命は、それぞれに長所を持ち、補完的な側面もありますが、基本的には1人の人間を占うと、だいたい同じ結論に達します(そうでないとおかしいのですが)。

四柱推命は干支の組み合わせが基本です。
甲子からはじまって癸亥で終わる六十干支を、それぞれ年月日時に配当することから解読がはじまります。すべてはその相関関係、煎じ詰めれば陰陽五行の関連性によって性格や運気を解読していくのが四柱推命です。
その中でも、生まれ日だけである傾向を見ることができるものがいくつかあって、その中でも日刃(にちじん)と魁罡は白眉です。いや、正確には必ずしも優れているという意味ではないのですが、非情に特徴的です。それらの日に生まれた人は、ぱっと見ても、だいたいの人生の経緯を聞いても、納得できるものが多いからです。
たとえば青いピーマンの山の中に紛れ込んだ赤ピーマンのようなものです。歴然としているのです。

さて、魁罡星というのは四柱推命の吉凶星(神殺などとも呼ぶ)の一つで、先ほど申しましたように主に生まれ日を見ます。具体的には庚辰、庚戌、戊戌、壬辰の四種類の日の生まれが、これに該当します。
魁罡星とは、北斗七星の先端の星を指します。ひしゃく型の北斗。その水を溜める杓の部分ではなく、柄の方の先端の星です。七つ星の中ではもっとも北極星から遠い位置関係になります。
天空の中心に位置する北極星。その周囲を守護するように回転する北斗の内、先端を行くもっとも勢いの強い星。つまりかなり戦闘的で、周囲を平らげてしまうような星で、別名を破軍星ともいいます。

機会があれば四柱推命の本を書店で手に取ってみて下さい。どんな本にも、かならず魁罡星は以下のようなことが書かれています。
頭脳明晰で文章をよくする。性格は果断で激烈。人を制圧する力があるが、時に暴力や殺生を好むなど、冷酷さや非情さにも傾きやすい。吉凶いずれの面で現れても強烈。英傑、天才、もしくは異常者の神殺。女性はとくに美貌の持ち主か、そうでなくても独特の魅力を持つ。また夫を圧倒してしまう運気。
まあ、極端だということはおわかり頂けると思います。

芥川龍之介、川端康成、太宰治、三島由紀夫という名前を並べたら、そうそうたる文豪の名前だと思われるでしょう。彼らがすべて魁罡星だといったら驚かれるでしょうか? 占術の世界では有名な話ですが。
しかも、例外なく彼らが「自殺」していることが物語っているでしょう。いかに激烈な星であるか。

しかし、六十干支の内の四つですから、15分の1の確率(つまり15人に1人)で魁罡星の生まれは存在している計算になります。なら、そうありふれた星でもないことになりますが、魁罡星を使いこなすには条件があります。まだまだ研究の余地がありますが、その条件は主に二つあると言われます。まず運気が強いこと。四柱の中に他に魁罡があること(生まれ日以外に)。
ここ一ヶ月ちょっとほどの間に、私は三人の魁罡星の女性と出会いました(正確には既知の間柄で、はじめて鑑定を行ったら判明したという人もいます)。

35才独身。霊感的な才能があり、性格的にエキセントリックなMさん。
35才独身で、身体が不自由になってしまった親の面倒を見ているHさん。
40才既婚。旦那さんがどうも頼りなく、兄弟やその家族のことで悩みが多いOさん。

いずれもが、ぱっと見ても「ああ、なるほどな」と感じさせるものがある女性たちです。
皆さん、大変な運気です。実際、現実に起きていること、また当人のコンディションなどを確認すると、まあ、本当にハードだよなあ、という感じです。
ところが、です。
普通だったらめげてしまうような逆境の中にあっても、じつは彼女たちは例外なくケロリとしているのです。Mさんは「これが私」という感じだし、Hさんは親の面倒を見ながらも全然めげておらず、明るく今後の結婚願望や「子供は三人は欲しい」という夢を語り、Oさんはなんだか「ぼやー」としていて、いろいろと大変なこと、心配なことがありながら、なんとなくそれをこなしてしまっているといった印象。

魁罡星は逆境に対して異常に強いらしい、という印象を抱きました。
普通なら他の人間を恨んだりしそうなところ、比較的平然としている。これくらいどういうことはない、まあ、こんなもんかな、みたいな感覚で生きていっている。これはすごいことです。
これには、彼女たちが上記の魁罡星を使いこなす条件を満たしていることも関係があると思われます。魁罡星でもただそれを持っているだけで、運気が弱かったりすると、さして強い影響は出ないものです。まあ、ちょっと普通とは違った色気がある人だな、くらいで。

皆さんの中にも魁罡星をお持ちの方は、結構いらっしゃると思います。
見た目にも独特の魅力があり、逆境をものともしない人間がいたら、その人は北斗の星の下に生まれた人かも知れません。もしかすると、あなたも?
私の比較的身辺に存在する魁罡星は、先のOさんと、それから娘の友だちのSちゃんくらいでしょうか。
おっと、忘れてた。
自分もそうでした。まあ、もっとも私の場合、ある人に言わせると「見た目はイマイチ」だそうですから、魅力的かどうかという問題はさておき、作家であること、逆境に強いことなどは、該当していると思います。
おいおい、でもさっきの作家たちはみんな、自殺してるじゃないか。
逆境に強いはずなのに、なんでだよ、という指摘を受けそうですね。
そう、魁罡星はファイターですから、外圧には非常に強いのです。
しかし、内部崩壊は別です。生来、強力な創造と破壊のエネルギーがあるわけですから、それが自分自身に向けられるとエゴの崩壊が生じると考えられます。つまり自己の完全否定ですね。あるいは「死」による、昇華。
魁罡星というのは、どこか冥王星に似ています。

あ、私は死にませんので、ご安心を。
予定としては96才の天寿を全うしたいと考えております(あと、50年かあ~、長えなあ)。