3年目を迎えた、ボランティア・プロフェッサーの仕事。
大学の教壇に、久々に立った。
2月3月は、まったく講義がなかった。何事もしばらく現場を離れていると、ちょっとした不安を感じるようになるものだ。
「大丈夫か?」「できるのか?」みたいな感覚は、私も持つことがある。
たいていいざ教壇に立ってみると、そんな不安は雲散霧消して、いつもの自分の調子で喋っているものなのだが、今日は違った。
午前中に自分が不安を感じる部分を洗い出し、さっさと処理してしまった。
不安になるのは、理由なり原因なりがある。
何事も。
それを抱えて教壇に立つのではなく、さっさと解決してしまって臨んだ方がいいに決まっている。
果たして今日の講義は?
じつは薄気味悪いほど上出来だった。
生徒数は去年より少なかったが、まだ履修は確定していない。
最初から教室には、ある種の雰囲気があり、静かにするように指示するまでもなく、すっと入っていった。
私の目線が、声が、少なくともこちらを向いている生徒たちの目と意識の中に、はっきりと入っていくのが分かった。
話は筋道など考えていなくとも、次々にきれいな脈絡を維持したまま紡がれ、最後につながっていった。
不思議なもので、こういうときがたまにある。
終始、教室は静かで、まさに静聴という雰囲気だった。
最後に配って回収したプリントには、話の内容が難しかったという意見もあったが、おおむね反応は良好だった。
講義後には、「小説を書いてみたい」という生徒さんや、すでに昨年、私の講義を履修して単位を取っている生徒さんとも話をした(また聴きに来てくれている)。
また一年。
この生徒さんたちとキャッチボールしていこう。
昨日の雨降りにもかかわらず、花もあまり散らさず、笹ヶ瀬川に沿った土手に咲く桜も満開だった。