話さずにはいられない人たち |  ZEPHYR

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― the field for the study of astrology and original novels ―
 作家として
 占星術研究家として
 家族を持つ一人の男として
 心の泉から溢れ出るものを書き綴っています。

人にはそれぞれ才能があるものだなと感じます。
最近、とくに目についた才能に「話す才」というのがあります。
現在は京都の方へ修行に出ている元K配ぜんのN君。そしてもう一人、K配ぜんのHさん。
N君は、話し言葉はオネエ言葉なのですが、♂(オス)です。Hさんは♀(メス)。

まったくタイプは違うのですが、この二人には話す才があるなと感じさせられます。
N君はとにかく話を面白く面白くします。話の抑揚から身振り手振り、表情まで、使えるものはフルに使ってとにかく人を笑わせます。
またこういう人は、日常の中にも面白さを貪欲に見つけ出す癖がついているようで、たぶん日頃からいずれ(あるいはすぐに)自分が話すべき材料として引き出しにストックしていると思われます(たぶん無意識に)。
機関銃のように喋るN君。とりあえず止まらない。次から次へと引き出しを開けまくる。
私はだいたい聞き役に回るタイプの人間なので、そばにいると時折、横やりを入れるくらいしか能がない。果てしなく広がるN君ワールド。話はとにかく面白くて笑えるのだが、時にだんだんむつごゆくなってくることさえある。
それでも喋らせておいたら、いつまでもハイテンションで弾丸を発射し続けられるのだからすごい。
やはり才能だなと思います。

またHさんは、ちょっと違った話し上手。
彼女の場合、ただの日常が、彼女が話すと面白くなる。N君は日常の中に面白いところを見つけ出していくように思えるのですが、Hさんはただの日常を面白くする人。
聴いていると、夜遅く、帰宅してからなにを食べようか迷いに迷って、○○にしたという話。
私が文章にすると、たった1行になってしまうこの出来事が、彼女が話すと30分、1時間の長編小説に変わってしまう。
最初は××を食べようとしたが、量が少なかったとか、レトルトの△△にしようとしたら賞味期限がどうのこうの、最終的に○○にしたがどうだった……というような、実にくだらない話が、そのとき時の自分の迷い、悩み、金銭感覚や腹具合など、様々なコンディションを織り交ぜながら延々と面白く語られていく。
聴いているまわりの女性たちも、あーだこーだ言いながら、彼女の話を面白く感じているようだ。これがすごい。
たった一行を、長編小説にしてしまえる才能。
ただ晩ご飯を食べようとして悩んだという物語が、聴いている人間には面白く思えてしまうキャラ。

素晴らしい。
私には正直なところ、N君やHさんのような口先の才はありません。正直、ちょっとキャラが違うような気もするし。
しかし、人にはそれぞれに才能があるもの。
話す才能すばらしさは、やはり人を楽しませることにつきるでしょう。
そういう意味でも、やはりなくてはならない存在なのです。