前に書いたように、私は運転中、ラジオをたいてい聞いています。
しばらく前にラジオに寄せられたお便りをパーソナリティが読んでいるのを聞いて、感銘を受けたので紹介致します。
「20年間、夫に恋し続けています」
そんな書き出しで始まるお便りでした。
その女性(手紙の中では「私」です)は、今年で結婚20年になります。
彼女の夫は、毎年、結婚記念日なるとラブレターを彼女に書きます。20年間、ずっと。
そして彼女は、今年、たまには夫をびっくりさせてやろうと思い、自分もラブレターをこっそり書きました。かなり苦労しながら、それでもやっと。
20年間の感謝や思い出を綴り。
記念日が近づくと、夫は言いました。
「今年は初めてデートした丘で会おう」と。
その日、彼女はタクシーでその丘へ行きました。夫は仕事が終わってからやってくるはず。
けれど、約束の時刻が来ても夫はやってきません。
時計の針はどんどん進んでいきます。
心配になってきた頃、夫が現れました。
なんと自転車をこいで。
やられたと彼女は思いました。自分はタクシーで来たが、夫は初めてデーとしたそのときのままの交通手段で駆けつけたのです。
体力の衰えを笑う夫に、彼女は自分のラブレターを渡しました。
夫はそれを喜んで受け取り、読み、「ありがとう」と言いました。
二人は学生時代に戻り、しばしその丘で時を過ごし、町の灯りや星空と共に過ごしました。
そしていいおじさんおばさんになっている二人が、昔のように自転車の二人乗りで坂道を下っていったのです……。
そのお便りの最後には、彼女の夫への愛と感謝の言葉が添えられていました。
とまあ、ざっとそのようなお話です。
いい話ですよね。こんな夫婦がこの世にいるんだ、と驚きました。
このお話、ちょっと私の記憶が怪しいところもあるので、間違っている部分があるかも知れませんし、私の脚色も多少は入ってしまったかも知れません。しかし、大筋はこの通りのお話でした。
ご本人のお手紙は、この何倍も感動的でしたよ。
さて、数日後には、じつは私と妻の結婚記念日がやって来ます。
このご夫婦の、ご立派な旦那さんのように、私は良い夫ではないかも知れませんが、それでも毎年かならずしていることがあります。
記念日に花をとか?
それともプレゼント?
いえ、違います。そういうことをするときもないことはないですが、それはもっと単純なことです。
「一年間ありがとう。また次の一年もよろしくお願いします」
という言葉を伝えること。
これは結婚前に、ある夫婦のそういう話を聞いたので、それをまるごとパクリました。
でも、いいことはすぐにパクリましょう。
別に恥ずかしいことじゃないです。
嘘を言っているわけじゃないし、本当にそう思っているわけだから。
世の男性たちよ。
せめて結婚記念日と奥さんの誕生日ぐらいは忘れずに。
高価なプレゼントよりも何よりも、「ありがとう」の言葉が大事です。
女性が求めているのは、本当は心です。