朝青龍と角界に見る、スター・エフェクト |  ZEPHYR

 ZEPHYR

ゼファー 
― the field for the study of astrology and original novels ―
 作家として
 占星術研究家として
 家族を持つ一人の男として
 心の泉から溢れ出るものを書き綴っています。

私はスポーツというもの全般に、興味が薄い。
野球にしてもサッカーにしてもバレーにしてもゴルフにしても、また相撲にしても。
どういう選手が活躍しているのかとか、あまり知らない。
相撲も力士のことなど、普段意識の中にない。
ただこれだけしつこくニュースでやられたら、嫌でも覚えさせられてしまうし、朝青龍や最近の角界のことは、まったく別な観点から注目していた。

今年は「権威の失墜」が顕著に起こると予言した。
この「権威の失墜」とは、どのような占星術解読から生じた予測だったかというと、それは土星と海王星の対立配置からだった。
土星には伝統とか古風とか、権威、格式、削減、抑圧といった意味合いがある。
これを海王星の曖昧な雰囲気が呑み込み、ぐしゃぐしゃにしてしまう印象を持ったのだ。
海王星には、薬、液体(石油やありとあらゆる水、海)、ガス、無意識、病院、芸術などといった意味があるし、人間的な言動としては優柔不断、不明瞭、嘘偽り、詐欺、不正といったものとして現れやすい。
これらから総合的に判断して、「海を震源とする地震」や「石油の減産による価格の高騰」「数々の不正事件」などを予測していたわけだが、同時に土星的な伝統的権威を持つ組織や人物も、たぶん失墜してしまうに違いないと読んでいたわけだ。
要するに「威張っているやつ」が落ちる時だったのだ。

相撲は日本の国技であり、日本でもっとも伝統的権威に充ち満ちたスポーツであることは間違いないだろう。最近では外国人力士も招き入れているが、基本的に古風であり、閉鎖的である。
この角界で、今年はやはり権威の失墜が生じた。
時津風部屋の暴行致死事件。
朝青龍問題。

朝青龍の行動の是非などを判定する基準は私にはない。
巡業を休んで治療していなければいけないはずの人間が、母国でサッカーをするに至った経緯や真相など、誰の言葉を信用したらいいのか分からない。また彼が本当に解離性障害になり、それを治癒したのか、などというのも同様。
ただ彼がこの問題を起こす以前、傲慢な言動に傾いていたのは事実のようだし、なによりも彼は強い横綱だった。
それも、とてつもなく強い。
この伝統的世界で、もっとも強い男が、海王星というあやふやなものに呑み込まれた。
これが占星術的な力の、現実世界への反映であったのだろうと思う。

また時津風部屋での暴行致死事件も、このもっとも悲惨な現れ方だったろう。
事件は、まさに土星と海王星の悪しき部分だけが露出したようなもので、隠蔽工作や嘘、伝統世界での悪習などが世間にさらされることとなった。
じつに嫌な事件だ。
朝青龍問題などよりも、実はこっちの方がはるかに重要だ。人が死んでいるのだから。
朝青龍も後輩との稽古のやり方について非難されたことがあったように思うが、これは時津風部屋だけの問題なのだろうかという疑問が、どうしても残る。
相撲協会は、人の品格云々をいう前に、自分たち全員、相撲界全体の品格について真面目に考えた方が良い。
親が口汚く人のことをののしっておきながら、子供に「悪い言葉遣いはいけません」などと言っても、まったく説得力がない。

朝青龍を横綱としてふさわしくない、彼は不要だ、彼はすでに過去の人だ。
そんなことを声高に訴える人間もまた醜悪だ。
そんなニュースを見たくもないのに見せられるのも苦痛である(見なきゃいいんだけど、他のニュースも見たいからつい目に入ってしまう)。

権威の失墜配置は、すでに弱まっているが、今後は権威の中での変革が起きる流れになると思う。そのためにおそらく、今年だけに留まらず、この占星術的影響はまだ残ると考えられる。
この後も、この日本国技の世界の膿は、まだまだ出てくるかも知れない。