「由加山へ行かない?」と、家内が誘ってくれた。
昨日のことだ。
久々に二人の休日が合致していたこともあったのだろうが、由加大権現では今、99年ぶりになるという秘仏がご開扉されているとのこと。
家内が言い出さなければ、出かけていくこともなかったかも知れない。
由加大権現は厄除けの総本山としても有名だが、四国の金比羅山と両参りする風習が、江戸期よりあったようだ(あるいはそれ以前から?)。
私にとっては子供の頃から初詣といえば由加山で、もっともなじみの深い神社仏閣だ(権現なので、神仏習合)。
さて出かけていくと、お寺の方で秘仏が公開されていた。
十一面観音である。
脇侍に多聞天と持国天を置き、慈悲深いお顔で下界を俯瞰しているようなお姿だった。
本来、この十一面観音像は、33年ごとのご開扉という周期だったらしい。
しかし、太平洋戦争などを間に挟み、二回ほどとんでしまったとのこと。
今回は99年ぶりのご登場ということだ。
年齢的に言って、33年後、この秘仏のご尊顔を再び拝することができるかどうか……。
100年前、私はこの世に存在しなかった。父母でさえ。
歴史というものは、あるところには固定したかのように保持されていくものだなと感じた。
前にも書いたことがあるが、33という数字は私には縁がある。
乱歩賞を受賞したのも、第33回だった。
家内は3月3日生まれである。
ほかにも3という数字は、人生の折々にメッセージのように現れる。
封印されていた秘仏が世に現れたのを見ることができたのも、なにかのサインであろうか。