ナイト・ウェディングを終えて by怪人 |  ZEPHYR

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― the field for the study of astrology and original novels ―
 作家として
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 家族を持つ一人の男として
 心の泉から溢れ出るものを書き綴っています。

長年勤めているホテルで、ナイト・ウエディングがあり、サーヴィスに入った。
たぶん、自分が関われる最後の婚礼サーヴィスになるだろう。

新郎新婦はいたって気さくな人柄のようだ。
面白おかしい演出もあって、キャンドル・サーヴィスに入る頃、ふと19年前のことを思い出した。
私たち夫婦の結婚式を。
やはりいくつかのセレモニーがあり、キャンドル・サーヴィスもした。
祝福されて結婚した。

私はどういうのか、あまり細かいことを覚えられない人間だ。
たぶん式場で事前にいろんな打ち合わせをして、いろんなセレモニーのやり方を決めたはずなのだが、私の中ではちゃんとそういう記憶が残されていない。
なにをどう話したのか。
結婚式当日の行動も、じつは怪しい。

つねに空想世界に半分足をつっこんでいるからだろうか。

しかし、今日、自分が携わる最後になるかもしれない婚礼サーヴィスに当たって、ふといろんなことを思い出した。
19年。
来年には、当然のことだが、20年。

新郎新婦が笑顔で祝福されている舞台裏で、それを支えている人がいる。
プログラムを実現するために走りまわっている人間がいる。
ただ客席に座って料理を食べ、ビールを飲んでいては想像は付かないが、今の私には
そういうことまで見えるようになっている。

大きな大きな変化だと思う。
なぜなら、それが世界のすべてだからだ。

変わり続ける。それが生きている証拠だと思う。
19年前から今も隣にいる女性。
変わらない部分ももちろんある。
しかし、本当は変わってきている。19年の歳月が、一つの愛でさえ、形や大きさを変えていくものだ。

結婚した当初からは、想像も付かないほど深く、自分はやはりその人を大事に思っているのだと。