素晴らしい本たち |  ZEPHYR

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ゼファー 
― the field for the study of astrology and original novels ―
 作家として
 占星術研究家として
 家族を持つ一人の男として
 心の泉から溢れ出るものを書き綴っています。

振り返ってみると、自分の人生の節目には、かならず出会いがあった。

もちろん一般的にいって、誰にでもいえることなのだとは思うが、変わっているのはやはりその出会いの中に「本」が含まれているということだ。

人との出会い、出来事との出会い、本との出会い。


中でもやはり「人」と「本」は大きい(あくまでも自分のケース)。

本は時に人に決定的な影響力を与えることがある。

一冊の本、小説がその人の人生を変えてしまうことがある。


物語を作るということは、とても素晴らしいことだ。


以下、私が衝撃を受け、自分の人生を確実に変えたと思われる本を挙げてみる。

誤解されるのを恐れず、本当のところを告白しよう。

もしかするとこれらの本が、誰か他の人の人生を変えることだってあるかもしれない。


「奇岩城」 モーリス・ルブラン

 いうまでもなくアルセーヌ・ルパンの冒険譚。謎を中心とした物語の面白さと、ラストの悲劇。少年だった私は感激し、それ以来、ミステリーにのめり込んでいった。


「横溝正史・全著」

 ごめんなさい。この人に関してはどれとはいえません。どの作品もきら星のごとき最良のミステリー群。私が最初に読んだのは、たぶん「呪いの塔」だったと思う。「獄門島」「本陣殺人事件」「悪魔が来たりて笛を吹く」「八つ墓村」「悪魔の手毬唄」「仮面舞踏会」・・・・あーっ、もう! とにかくむさぼり読みました。

 フーダニット形式のミステリーの醍醐味。私のミステリーのエッセンスそのものです。


「ウルフガイ・シリーズ」「アダルト・ウルフガイ・シリーズ」「幻魔大戦」「真・幻魔大戦」 平井和正

 どの作品もシリーズもの。主人公をはじめ、登場人物がとにかく魅力的。特に少年ウルフガイのかっこよさといったら、もう。また作品の圧倒的なエネルギー、質量で読者を呑み込んでしまうその力業に痺れました。私が本格的に自分で書くという行為を始めたのは、横溝正史と平井和正の二人の巨人のおかげです。


「秘密」 東野圭吾

 感動しました。その感動が私の人生を豊かにしてくれました。この作品との出会いがなければ、私の人生は今のようになっていないと思われます。


「神との対話」 ニール・ドナルド・ウォルシュ

 著者ウォルシュ氏が、奇妙な形で始まった神との対話を記録したもの。私は宗教的な事柄や神話伝承も非常に心惹かれるものがあり、古事記や聖書や、リグヴェーダだの、北欧神話だの、ギリシア神話だの、とにかく読みあさってきました。宗教的なものも数多く読みました(しかし、これといった宗旨はない)が、そうした探求活動の果てに漠然と形成されていた考え、疑問にこの本が明確な光を当ててくれました。

 私はこの本を最初に読んだとき、くすくす笑ってばかりいました。それほどユーモラスで、「そうそう、そうなんだよ」と膝を打ちたくなる本です。


「いま、会いにゆきます」 市川拓司

 感動したということでは、筆頭にあげられます。人の心を優しくし、愛するものをさらに愛したくなる本です。今後の小説家としてのあり方、小説で何ができるのかということを、明確に示してくれた一冊。


以上です。もちろん、個別には良書、珍書、挙げたいものが数多くありますが、私個人の人生に大きな影響を与えたと断言できるのはこれらに限られるといっていいでしょう。

私がミステリー・ファンとかいう枠をはずして、一般的にも薦めたい本は問われたら、上記の中から「神との対話」「いま、会いにゆきます」の二冊を挙げます。

「いま、会いにゆきます」については映画、テレビと、内容は比較的知られているのでいうまでもないでしょう。「神との対話」はあらゆる人種、職業、年齢、階層の人々が手にとって読むべき書だと思っています。苦しんでいる人、あえいでいる人にこそ、救いとなる本です。


「神との対話」は一見、非常識で考えられないような出来事の記録です。私も最初書店で見かけたときは、「神との対話? またいかがわしい宗教本だろう。どこかの新興宗教の教祖が出したものなんじゃないのか」と訝しみました。

が、ある時、幾度目かの時に、ふいに一度手に取って、中を見るだけ見てみようという気になり、立ち読みを始めたらもう夢中になっていました。そこに展開される会話の面白さ、現代科学に照らしても通用する、そうでなければおかしい、それが真実だろうと納得させられる世界観。

この本のおかげで、私は「占いは良くない行為なのではないか。ましてやそれでお金をもらうのはいけないことなのではないか」という馬鹿げた考えから脱却できました。

そればかりでなく、自由を得ました。

生きてこの世にあるうちに、なんでもやってやるさ、という気分。


「ホイール・オブ・フォーチュン」という占い研究会、そして「ZEPHYR」という小説創作集団の発足は、この本との出会いがなければ実現していなかったでしょう。


本たちよ、ありがとう。

君たちのおかげで今の自分がある。

本は素晴らしい。

そして、

人生は素晴らしい。