スター・ウォーズ神話論 |  ZEPHYR

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― the field for the study of astrology and original novels ―
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 心の泉から溢れ出るものを書き綴っています。

スター・ウォーズ神話論






まずこのサイトは物語を愛好する全ての人々のサイトという前提ですが、そもそも物語とはなんぞや? という定義に関して。


「物語」とは、おとぎ話から最新の小説、映画までありとあらゆるものを含みます。純愛小説もミステリーも、娯楽小説も私小説も、創造されたストーリーはすべて「物語」です。






で、この前提に立って、今日の日記。






先日、スター・ウォーズ「エピソード3」を観に行った。


単純に「面白かった」


これに尽きる。






映画鑑賞の少し前、ジョージ・ルーカスがテレビのインタヴューに答え、スター・ウォーズの制作に先立って、世界中の神話を研究したと答えているのを目にした。


そこで私見ですが、スター・ウォーズにいかなる神話が反映されているのかを考察。






まず物語のバックグラウンドとして存在する、「光と闇の戦い」。


これはゾロアスター教以来の教義で、ユダヤ、キリスト、イスラムなどの宗教の根幹に存在する二元論である。


またアンドロメダ型神話に代表される英雄譚(美しい姫を勇者が救うという設定)も全編に渡って濃厚である(ペルセウスやスサノヲのような)。


またエディプス・コンプレックス(男子が母親に愛着し、父親を競争相手と見なして憎むという潜在的心理)は、アナキンとルークの親子に分散して描かれているが、ルークはその闇を克服した結果となっている。


またアナキンの生誕に関しては、イエス・キリストの処女懐胎も反映されている。もっとも処女懐胎はマリアだけの専売特許ではない。


恐るべきは処女懐胎で誕生し、世界を救うはずだったアナキンが闇に堕ちるという構図となっていることで、ここにジョージ・ルーカスが単なるユダヤ・キリスト教圏の文化人として、「スター・ウォーズ」を制作したわけではないという、はっきりとした意思表明を感じ取ることができると思う。


処女懐胎で誕生した息子が世界を救うのなら、やはりそれはキリスト神話の焼き直しと受け取られかねないからである。






また「フォース」なる力の存在は、易教などの中国思想に代表される「気」がもっとも意味合いとして近い。サンスクリット語の「プラーナ」もほぼ似た性質を持つ。


その「気」を使ってライトサーベルで戦う騎士達は、武道に通じた東洋の武術家たちそのものでもある。






等々。「スター・ウォーズ」は神話の曼荼羅。世界中の神話の中でももっとも普遍的で、力強い要素をいくつも取り入れ、しかもジョージ・ルーカス独自の手法で味付けを行いながら再構成された、新しい壮大な神話。


それが「スター・ウォーズ」シリーズであったかな、と。






神話大好き人間でした。