さて、後半戦であります。


財布を落として意気消沈、虎の子の三万某のお金を無くして明後日からひもじい単身赴任生活が待っているのか、免許証やマイナンバーカードなんかも入っておりましたから紛失手続きに免許センターや区役所なんかも行かなければと、大事なお休みも台無しだ、それより何より息子が誕生日にプレゼントしてくれたお気に入りの財布だけに、そちらの方がショックが大きく、中身はともかく財布だけでも捨て置かれてないモノだろうかと、明日にもまた行ってみてそれでも無ければ警察に届出しようと思いました。


翌朝、起きて一服、娘を耳鼻科に、さて出かけましょうかと思った矢先、昨日の薬局から電話が入りまして、財布を拾った方から隣町の警察署に届出されたとの事、感謝しきりにお礼を述べて娘ひっ捕まえて耳鼻科へGO!その足で隣町の警察署にGO!大事な財布とご対面であります。中身も無事そのままに返って参りました。


警察の方から拾い主の方は謝礼は辞退されたと聞き、ただ連絡先とお名前だけは教えて頂きました。


電話でお礼を伝えようか迷いましたが、感謝の気持ちが上手く言葉にならない気もしまして、メールにてお伝えさせて頂きました所、返信がすぐに返って参りました。


仕事帰りに拾われた事、子供達がお腹を空かせて待っているので、自宅近くの隣町の警察署に届けてしまいご迷惑をかけてしまったと思った事、ただ当たり前のように財布を警察に届けただけなのにこんなに感謝して頂けた事にこちらこそ嬉しく思うとの事、日頃良いことがないかな、と思っているけれど今日は気持ちよく眠れそうですと締めてありました。


なんて素敵な人なのでしょう。

真っ直ぐな温かい心に触れた気がしました。

どうせ戻りっこない、戻ったとしても中味は空っぽだろうと当たり前のように世間を見限っていた自分が恥ずかしくも思います。


どうやってこの恩をお返しすべきか考えましたが、それはこの方から頂けた心が温かくなるような気持ちを別の人にも分けてあげることなのだろうと思います。

慈善事業のような大きな事をする訳ではありません。

自分もこの人のように真っ直ぐで正直な人であろうと思います。


外国人が日本に来て、財布が無傷で帰って来て驚くなど日本の治安の良さを紹介する動画をよく見かけますが、身を持って経験すると治安の良さと言う言葉の本質は心が温かくなって、嬉しくなって、人にやさしくなる事なのかもしれないなと思います。