一人で残業中に不審者が入ってきた。
警察官を名乗るが、名を名乗らず、身分証の提示はない。
最初に身分証の提示を求めなかった当方にも過失はある。
ヘルメットをかぶり、マスクを着用している。
相手の顔はほとんどわからない。
「駅前の交番から来ました。」
「この事業所はいつからやっていますか?」
「夜間の警備体制はどうなっていますか?」
「何時まで仕事をされていますか?」
「貴重品の管理はどうされていますか?」
「アホ、アホ、ドアホ!」
警察にしてはアホな質問を繰り返す。
この時、新たな情報入手の手法だと小生は認識した。
近年の特殊詐欺グループの一員は銀行員や行政機関等の職員に扮して被害者に接触する。
詐欺師は現金やキャッシュカードを受け取り、即座に現金を引き出す。
ついに小生の前に詐欺師が現れたと確信した。
夜間に警備状況や、勤務時間等を聞き出し、詐欺グループへ情報を提供するに違いない。
目の前にいる御仁は詐欺グループが手配したのかもしれない。
50代のオッサンに警察官風のの制服を着せると、中年警察官に見える。
巧妙な情報入手の手法である。
そのような御仁に情報提供をするほど小生はアホではない。
質問に対し、小生はのらりくらりと敵意を表し返答する。
全く情報を得られないと判断したのか「後日また来ます」と言って立ち去った。
あれから数日が経過するが、あの御仁は来ていない。
警察官を装って、事業所の情報を聞き出すとんでもない野郎である。