見返り | 抑鬱亭日乗

抑鬱亭日乗

複数の精神疾患を抱える者の独言を忌憚なく収録する
傾いた視線からこの世はどのように見えるのか

 地方紙を購読している。

 火曜日から日曜日まで毎日、読者の投稿が掲載されている。

 興味深いものもあれば、どうでも良い投稿がある。

 なぜか毎日読んでしまう。

 

 数日前に掲載されていた投稿にため息がでた。

 

 70代の御仁が道端で財布を拾い、警察へ届け出た。

 ここで権利を放棄すると、いい気分でいられる。

 だが、この御仁は権利を主張してしまった。

 

 財布を拾い、警察へ届けた御仁は財布の持ち主から礼をもらう権利がある。

 民法でこの権利が規定されている。

 財布を届けた御仁へのお礼のようなものである。

 届けた御仁はその権利を放棄することができる。

 投稿者は警察で自分の名前と電話番号を明らかにし、落とし主からの返事を首を長くして待っていた。

 

 だが、待てど暮らせど落とし主から何の連絡もない。

 業を煮やした落とし主は新聞で礼もなく、カネを貰えない不平不満を投稿した。

 

 小生も財布を拾い、届け出たことはある。

 だが、カネを貰える権利を放棄した。

 見返りを期待すると、不満が生じるためである。

 小生は財布を届けた時に「ワシってゴッドやわぁ」というプライスレスな対価を受けている。

 この対価は精神的に大きな満足を得られる。

 届け出た時点で大きな対価を得ている。

 

 「親切に見返りを求めない」のが小生のポリシーである。

 だが、小生が人から助けてもらったら、最大限のお礼をする。

 人からしてもらったことは忘れてはならない。