焼失 | 抑鬱亭日乗

抑鬱亭日乗

複数の精神疾患を抱える者の独言を忌憚なく収録する
傾いた視線からこの世はどのように見えるのか

 残念である。

 誠に残念である。

 万物は流転するとわかっていても、残念である。

 沖縄の首里城が焼けてしまった。

 小生は意気消沈している。

 

 大学生の頃に親族に運転手兼荷物持ちを命じられ、沖縄を初めて訪れた。

 8月の初旬から中旬だったように思う。

 「暑い時に暑い場所になんで行かんなんねん」と不満をもらした。

 

 沖縄を訪れた初日。

 首里城を訪れた。

 赤くて大きな建物を観て驚いた。

 壮大で美しい。

 

 その日の夜、沖縄料理を喰い、初めて泡盛を呑んだ。

 それから沖縄音楽を演奏しているライブハウスへ行った。

 沖縄の音楽はTHE BOOMの「島唄」しか知らなかった。

 沖縄音楽の音階やリズムが好きになり、その後沖縄音楽に傾倒し、現在に至る。

 

 精神疾患を発症する前は毎年夏に沖縄を訪れていた。

 沖縄の文化に魅了されたのだ。

 だが、精神疾患を発症して10年以上、沖縄を訪れていない。

 

 久しぶりに見た首里城が炎に包まれて倒壊するとは思ってもみなかった。

 誠に残念である。