悪戯 | 抑鬱亭日乗

抑鬱亭日乗

複数の精神疾患を抱える者の独言を忌憚なく収録する
傾いた視線からこの世はどのように見えるのか

 犬を一匹飼っている。

 5歳、メス、ビーグル。

 たまにオイタが過ぎる。


 帰宅し、部屋に入るといつも以上に尻尾を振ってうれしがる。

 こちらもうれしくなり、頭撫でてじゃれあう。

 

 犬用の布団の上に薄汚い紙片が散っている。

 段ボールをかじったのだろうと思い、紙片をつまむと血の気が引いた。


 テーブルの上に置かれていたはずの野口英世君が八つ裂きにされている。


 犬の口をよく見ると、英世君の欠片をこちらに見えるようにくわえている。

 こちらが「アッ」というと、急いでテーブルの下へ逃げ込む。


 どうにか紙片を取り上げた。

 ジグソーパズルのように紙片を一枚一枚置いてみると、ビリビリであるが千円札を復元できた。

 

 銀行で新券とかえてもらおうと思っているが、果たして銀行はかえてくれるのか。