池袋駅構内大学生殺人事件 | 全曜日の考察魔~引越し版

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1996年4月11日に東京都豊島区の東日本旅客鉄道(JR東日本)池袋駅構内で発生した殺人事件。警視庁による正式名称は「JR池袋駅山手線ホーム上立教大生殺人事件」。

この事件では被害者の父親が賞金を懸け情報を収集するなどしていたが、未解決事件となった。また事件は大勢に目撃されており、現場となった池袋駅には目撃者の証言などを基に作成された犯人の似顔絵が貼られていた。

事件の概要

1996年4月11日午後11時30分頃、池袋駅の山手線外回り7・8番線ホームで当時立教大学の学生であった小林悟さん(当時21歳)が会社員風の男に絡まれ、顎を殴られ転倒した際に後頭部を強打し、5日後に入院先の病院で死亡した(のちに病院側の処置に落ち度があったとして損害賠償請求訴訟を起こし、病院側が約6500万円を支払うことで和解した)。男は事件直後、男性を介抱する別の乗客の背後に無言で立っていたが、現場に留まるよう求めた別の乗客を恫喝すると、23時37分発の山手線で日暮里駅方面に向かったという。男のその後の足取りは不明となっている(同駅までの乗車は目撃されているが、この駅で降車したのかどうかは不明)。
目撃者の証言によると、犯人は7番線、8番線ホームに上がる階段(4番階段)の下で、小林さんに何らかの因縁をつけていたという。被害者男性はいったんホームへ上がっていったが、男につきまとわれ、再び階段を降りようとした。しかし男に捕まってしまい、人混みのホームで口論となり、胸ぐらを掴まれる。二人の後方にいた何者かが「喧嘩はやめたら」と言い、小林さんが振り返ったところで突然男が胸ぐらを掴んだ手を離し、平手で殴りかかったという。
当初は傷害致死事件として扱われていたが、2002年7月に小林さんの父親の邦三郎さんが3万5000人分の署名と公訴時効延長を求める嘆願書を法務省に提出した。その結果、傷害致死罪の公訴時効(当時7年)成立直前の2003年3月に容疑が殺人罪(当時15年)に切り替えられた。
2010年4月に殺人罪の時効が撤廃されると同時に警察庁の捜査特別報奨金制度対象事件となった(遺族の希望で2012年度より指定を辞退)。

犯人の特徴と似顔絵の作成

事件は池袋駅の山手線ホーム上で起きたこともあって近くで数十人に目撃されている。目撃者の証言により分かっている犯人の特徴は以下の通りである。またこれらの情報などを基に犯人の似顔絵が作成され、現場となった池袋駅などにも貼られている。

  • 24歳~38歳、身長は170~180cmでがっしりとした体格。
  • 右の目尻に3つの古傷があり、目つきは据わっている。また、二重あごである。
  • 黒っぽいグレーのスーツを着たサラリーマン風。

似顔絵とよく似た男の目撃

事件から2ヶ月後、邦三郎さんは北千住駅で似顔絵によく似た男を目撃した。
その男は駅前のパチンコ店に入って行った。父親が男の隣に座ると、右目尻に古傷があるのが見えたという。午後10時頃、店を出た男を父親が尾行。男は常磐線の改札口に入ったが、電車に乗る前に公衆電話で「馬鹿野郎!知るかよ!」と怒鳴っていた。男と邦三郎さんは快速に乗り、千葉県の柏駅で降りた。男はそごう寄りの改札口から外に出ると、売店でビールを買ってそこで飲んでいた。そして再び定期券で改札口に入り、我孫子方面のホームに下ったところで、電車の乗客が大勢降りてきたために男を見失っている。
なお柏駅は、男が最後に目撃された日暮里駅から常磐線(快速)で5駅目である。

捜査打ち切り

池袋駅構内大学生殺人事件は現在、容疑者不詳のまま書類送検されて、捜査は終了しています。

現在は殺人罪は時効が撤廃されていますので、殺人事件として捜査する限り、犯人が逮捕されるまで捜査は続けられることになります。

しかし、遺族が捜査の打ち切りを求め、2020年12月11日に捜査は打ち切りとなりました。

捜査の打ち切りを求めた理由については、被害者の父親である邦三郎さんは、次のように話していました。

「うちの事件だけじゃないから。警察の職務を増やすだけで、永久に捜査できるかと言ったらそれはできない。(犯人が)捕まる可能性のあるものにもっと人を投入してほしい」

「施行前に時効を迎えた遺族もいることなどを考えると法の下の平等に反する。息子の魂を犠牲にしても法の再改正を求める決断をした」

「後から法律を変えてよいことになれば、法を守る意識も薄れてしまう。被害者感情が法を歪めてしまうことへの疑問もある」

なかなかできる決断ではありません。誰だって、自分の息子を理不尽に殺されたら、どんな手を尽くしても、逮捕してもらいたいと思うはずですから。

上記のコメントを見ると、被害者の父親はとてもまじめで、様々な角度から物事を考えられる冷静な方であることが分かります。