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今回も懐かしい空手にまつわる映画をご紹介させて頂きます。
今回の作品は、極真会館総本部師範代を務められ、後に真樹道場、更には俳優や作家としてもご活躍された真樹日佐夫氏が自ら主演された『カラテ大戦争』です。
地上最強の空手と恐れられている極限流空手の大神達也は、総師である東坊徹源の娘である礼子に無礼をしたプロレスラーを殴り、瀕死の重傷を負わせてしまう。責任を感じた大神は姿を消した。それから三年後、日本空手協会の荒木会長と政治家の相馬勇人の2人は、日本空手の香港やタイ進出をたくらんでいた…
謳い文句ではドキュメンタリーとしていますが、基本的にはストーリーがあり役者が演じているので、一連の極真ドキュメンタリーとは大きく路線が違うエンターテイメント作品となっています…が、実際にはその極真ドキュメンタリーシリーズの第三弾となっておりますww。
ただ、実際後日談として真樹先生はクランクイン後は慣れない撮影で人間嫌いになりかけていたらしく、それでもスタッフ等に支えられて徐々に感を掴み、プロレスラーとの戦いのシーンあたりでは随分とノッてきたらしいですね。ちなみにこのレスラーはアントニオ猪木氏経由にて出演の運びとなったらしいですね。
まず驚くのが!!…真樹先生がご自分の声ではなく、吹き替えになっていますww。真樹先生の代名詞の一つでもあるあの声が聴けないのはかなり残念ですが、ド迫力のドスの利いた声は映画のセリフには適していなかったという事でしょうか。90年代に入って出演されたVシネマ等では真樹先生の地声が聴けますよ。
ちなみに原作は真樹氏の実兄である梶原一騎氏原作の『空手戦争』なんですが、この作品は当然ある意味極真会館プレゼンツな訳で共同原作者として大山倍達総裁の名前もクレジットされてます。
また、劇中歌である『カンフーエレジー』を歌っている台湾の歌手・白氷氷(パイ・ピンピン)は、この作品の後に梶原一騎氏と結婚されています。
香港のカンフーと戦い、今度はタイでムエタイと死闘を演じますが、特にタイのムエタイ選手”キングコブラ”役のダーム・ダサゴーンは元とはいえムエタイのチャンピオンという肩書ですが…ちょっと…いや、かなり迫力に欠けて残念!ディーゼルノイやチャンプアといった大型のムエタイ選手であれば、ゾッとする様な膝蹴りやミドルを想像するだけに、ん~という感じです。
いや、カンフーの方もかなり残念で、ある程度ドキュメンタリーを前面に押し出していたのであれば、もう少しリアルな相手をチョイスした方が、真樹先生や極真空手の魅力や強さがもっと引き出されたのではないかと思います。あ、でも香港カンフー使いの白竜を演じた陳耀林は、ジャッキー・チェンの『スネーキーモンキー蛇拳』なんかにも出演してましたね。
恐らく今発売されているDVD版は、VHS版と若干内容が違う(カット部分がある)とは思いますが、あえて!今!この作品を見て欲しいと思いますww
ただ、個人的には70年代に世界各国にて大量に製作されたアクション映画の持つ“味”といいますか、今の様に技術やスピード感が確実にましたアクションシーンを凄いと思うだけでなく、70年代当時の色や味をあえて今、楽しむ事もまた乙なものだと思います。当時の時代背景や流行等、その映画から感じ取れる事は沢山あります。もっと言えば、今見ればかなり残念な要素であってもそれはそれで”語れる”ネタと出来る…それもまた空手アクション映画ファンとしては至福のひと時になる訳です。