映画紹介『風のファイター』 | 全日本武道具 空手道『道場訪問記』

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全日本武道具空手道ブログ『道場訪問記』、今回も空手にまつわる映画をご紹介させて頂きます。


今回は2004年に公開され、地元韓国では240万人を動員したヒット作、『風のファイター』です。




1971年から週刊マガジンにて連載がスタートし、1977年まで人気を維持したスポコン格闘漫画の金字塔である梶原一騎原作の『空手バカ一代』。1972年生まれのボクにとって、決して直撃世代とは言えないにしても、小学校4年生から空手を始め、当然この漫画を遡って読む事になり、今でも部屋には全巻揃っています。


そんな空手バカ一代の終了から約10年以上も年月が起ち、韓国のスポーツ紙に連載されると同時に大きな話題となり、こうして映画化までされる運びとなったのが『風のファイター』です。



何故前述に空手バカ一代を引き合いに出したのか…それはこの『風のファイター』が空手バカ一代と同様に、国際空手道連盟極真会館の創始者である大山倍達氏の波乱万丈な空手人生を題材にし、“韓国版空手バカ一代”とも評されるからです。



流石に韓国版の『風のファイター』の漫画は所持していませんが、この映画を見る限り、ストーリー展開だけでなく主人公の風貌等も空手バカ一代に大きくインスパイアされている部分は大きく感じました。



日本併合時代の朝鮮半島に生まれたチェ・ペダル(崔倍達、최배달)は韓国の格闘技であるテッキョンを学び育った。やがてパイロットになる為に日本へ密入国するが、終戦を迎えた混乱の日本でその夢も破れ、周囲からの差別と、自分自身の無力さに絶望する。行方不明だった師匠ボムスと再会したペダルは、自分の目指す本来の姿を取り戻そうと武術修行を再開するが、更なる悲劇と試練を迎える。最強の空手を完成させる為、大山倍達(おおやま・ますたつ)と名乗り、武者修行の旅に出る…




山での過酷な武者修行の後、自分の力を試すべく道場破りを続け、最終的には日本軍の空手の達人との死闘や、師匠であるボムズの存在等、オリジナルな部分も見られますが、基本的には我々が知っている“空手バカ一代”…もっと言えば千葉真一主演の映画『空手バカ一代』と同様の路線を描いていたと思います。



あくまで韓国映画という事もあり、やはり大山倍達氏を“朝鮮人”として強く主張している部分や、日本という国、そして日本人が完全なヒールとして扱われている部分もあるものの、いち“空手映画”として見た場合非常にリアルな描写も多く、思わずDVDを買ってしまった経緯もありますww



主人公であるチェ・ペダルを演じたヤン・ドングンは俳優としてだけでなく、音楽のジャンルでも活躍しているらしいんですが、彼のプロフィールを見る限り、本格的に空手を学んだ経歴もなく、その割には見事なアクションシーンをこなしていたなという印象があります。特に、役者がその役の為に一定期間空手を学んだ…といった結果、いかにもな振り付け空手の様な残念なシーンに仕上がったなんて事、よくある話ですが、山籠もりから下山し、道場破りのシーンなど、その空手は荒々しさ剥き出しで、本当に“一撃必殺”とはこういう空手なんじゃないか…といった幻想を抱かせてくれる様な、妙に形にハマらない、妙なリアリティを感じるクオリティでした。



空手バカ一代世代の方も、そうでない方も、韓国側から描く“空手バカ一代”を是非ご覧いただきたいと思います。