太田裕美さんの「木綿のハンカチーフ」
すごくいい歌だと思っていた。
「恋人よ」で始まるけれど、「僕は旅立つ」
彼は、「東」おそらく東京へ行ってしまったのだ。
華やいだ街で、「君への贈り物を探すつもり」と。
愛する彼女への贈り物もぱっと見つからないほどに、
東京は華やかだったのだろうか。
彼女は気づいたのか。
「いいえ、欲しいものなどない」
と答えた。う~ん。
ネットなどない時代。
彼は手紙を書いて来た。
手紙には、スーツを着た自分の写真を入れて。
「恋人よ」と。「スーツ着た僕の写真を見てくれ」と。
けれども彼女は、またもや「いいえ」と。
そして「木枯らしのビル街、体に気をつけてね」と。
若いころの私は「都会とはなんと味気なく厳しいところなのだろう、
そんなところにいずに、彼女と田舎で暮らせばいいのに」
と無邪気に考えていた。
そうじゃあないのだ。
都会は本当に楽しい。
たかが池袋(に勤めています)であっても、本当に楽しいのだ。
今日は昼、どこかの新入社員が「先輩俺アイス買っちゃった」と、
騒いでいた。
(そういう楽しさじゃないかもしれないが)
彼は、「すごいね」と、言ってもほしかっただろう。
彼女の田舎に何があるのか。親とか学校の友達とか。
だけどそんなのより、「彼」の方が大事じゃないのか。
「やっぱ東京来ちゃった」
でよかったのではないか。
彼のお部屋に飛び込んでよかったのではないか。
「つもり」が気にはなるけれども…。