https://mainichi.jp/articles/20191121/k00/00m/040/134000c
集金のバイトをしていたころ、
苦手な集金先がありました。
そこは、崩れ落ちそうなアパートの一室で、
玄関に日の丸が飾ってあり、
日の丸には名前だったり、漢字4文字が記されていたり。
そのほかに、模造紙に政治に対する意見とかも墨で書かれていました。
おじいさんが一人で住んでいたのですが、
おじいさんはいつも何かに怒っていたのでした。
集金に行くと、
「オレはヨカレンだ。特攻隊の生き残りだ」
といつも言うのです。
おじいさんの話は、よくわかりませんでしたが、
ヨカレンというのは、どうやらゼロ戦とかに乗って戦う人が行く学校なのでは?
と思っていました。
けれどある時、「それじゃ、おじさんは飛行機乗れるんだ。すごいね」
というと、おじいさんは黙ってしまったのです。
その後、特攻は飛行機だけではないということを知りました。
おじいさんは、その後大病にかかってしまい
「娘さんのところに行くから、もう集金は来なくていい」
ということになりました。
俺のことは、こいつらが守ってくれているから。
俺は絶対に死んだりしない。
その時おじいさんは、もう80歳でした。
仲間はずっとおじいさんのことを守っていたに違いありません。
今日そのことを思い出しました。
もう10年以上前のことです。