大変なことになり、整理している私です。
そんな中、古い本が出てきて、案の定読んでしまいました…。
この本には、本当にいろいろな知恵が集まっている。
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背番号の消えた人生―栄光の名選手はいま…… (新潮文庫)
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栄光の名選手。
しかし、引退する日がやってきます。
その後どうするのか。
いろいろな名選手の引退後の生き方が取材されているのです。
その中で。
高給取りの彼は、それなりのお金も貯めていたのですから
なにか商売をしようと思ったのです。
「プロ野球選手で金をためるというのは命がけなんです。顔面に死球を食えば、その瞬間に終わりなんですから。そういう命がけで貯めた金をどう使うか考えたら、デッチ奉公して商売を覚えるの当然でしょう」
ある選手は、そう言って友人の会社に「デッチ奉公」に行き仕事を覚えたのだという。
功あり名を遂げた彼がなぜそうまでしたのか。
この考え方を著者の近藤唯之氏は「一匹のアリが大木をよじ登っていくような、発想法である」
「なぜ、こんな発想法を持ったのか。私は、そこらあたりを一番取材したいと思った」と書いている。
高校球児であった彼は大学に行きたかったのである。
もちろん六大学から「来ないか」と話があったのである。
行きたい大学があった。
しかし彼は行くことができなかった。
彼は父を早く亡くし、母は行商をやって兄弟四人を育てたのである。
それでも母は兄2人を大学に出したのだという。
やつれはてた母を見ると、この上自分も大学に行きたいと口が裂けても言えなかったのだという。
そしてプロ選手となった。
契約金250万円、月給6万円は安いのか、高いのか。
(昭和32年の話である。こういう話を聞くとき、すごいインフレの中を生きてきたんだな、と考えてしまう。)
プロ選手というのは、ずっとやれるわけではない。
大学を出たほうが、再就職もしやすかっただろう。
けれども彼は堅実に歩み続け、第二の人生も成功した。
今も大学に行く人は人口の50パーセントしかいない。
理由は様々であろう。
大学に行った人は大学に行かなかった人の力になろう。