ぬいぐるみのねこ「ニャンコ」がこねこを拾って。
というのが、
「いらないねこ」
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いらないねこ (MOEのえほん)
1,512円
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「ぼく おとうさんになったんです」
と。
けれども。
という話です。
色々な童話では、
ぬいぐるみは無条件に持ち主を愛してくれることになっていますが、
それは本当でしょうか。
もしかすると
「こいつ嫌い」と思いながらも、
持ち主にいいようにされざるを得ない運命なのでは。
「ニャンコ」はなぜ、「こねこ」と別れなければならなかったのでしょう。
(もしかすると「こねこ」が選んだ黒いワンピースには意味があるのかもしれません。)
「さあおれたちも家に帰ろう」といういじわるねこ
(ほんとうはいじわるではないが)
の言葉はなんだかなあ、と思う。
「おかあさん」が采配するその「家」は、なんだかかわいそう。
けれども「ニャンコ」も「いじわるねこ」もそこで生きていかざるを得ないのです。
「いじわるねこ」にとって、言葉も通じないその人が「おかあさん」。
「いじわるねこ」は「おかあさん」が嫌いではありません。
むしろ「大好き」なのでしょう。
けれども。
そして「ニャンコ」の涙の理由は、「ニャンコ」がぬいぐるみでしかないこと。
どんなに泣いても、それは持ち主には届きません。
そんな場所。それが「ニャンコ」の「家」です。
けれども実は、
わたしたちも「ニャンコ」や「いじわるねこ」のように無力なのです。
少なくともこれからは、そうなっていく運命なのです。
この本の世界は、人類の未来。
そんな気がして恐ろしかった。