整理をしています。
かつて古本屋で購入した深沢七郎の本が出てきました。
「庶民列伝」です。400と鉛筆で書いてあるので
400円だったのでしょう。
そのあとがきは
「変な人のところには
変な人がたずねて来る記」
深沢七郎は、菖蒲町にラブ・ミー農場という農園を構え
ギターを弾いて暮らしていた作家です。
ある日町のタクシーが来て
深沢の元に風呂敷に包まれた重箱を置いていきました。
「タクシー代を払って、荷物をとどけて、依頼人は来ないのである」と。
重箱の中にはおはぎが入っているのでした。
「封筒が入っていて『食べてくれるよう』に書いてある。丁寧な文章だが差出人の住所も名前もない。よく読み返すと、『彼岸なので仏壇に供げてくれ』と書いてある」
深沢がタクシーの運ちゃんにどんな人かきくと
40か50くらいの女の人だというのです。
それにしても
全然知らない人で、住所も名前もない、それに食べもの。
深沢はおはぎを捨ててしまいます。
しかし、おはぎはお盆にもとどいたのです。
長くなったので続きは次回。