だいぶ時間が経ってしまった。が、2月中ボクはオーストラリアのシドニーにいた。初海外だ。

経緯は前のブログを読んで欲しい。色々あった。まじで色々あった。けど無事行ってきた。



英語は喋れないし土地勘ももちろんあるわけない。未知の場所。まだ知らない場所。そこに行った。


3週間ホームステイ。毎朝8時から語学学校で授業。13時に終わる。そんな日々だった。


ステイ先、当たり外れがあった。食事は1人で部屋でとれって言われ、ホームステイの醍醐味であるコミュニケーションを取らず、部屋に引きこもってた人。食事を済ませたあと、部屋に入ってなさいと言われ、監禁されてた人。語学学校まで通学2時間くらいかかってた人。色んな人がいた。



ボクのステイ先。69歳のおばあちゃんと45歳の息子の2人暮らし。

結果から言うと大当たりだった。基本的に息子さんのラモンが面倒を見てくれてたんだけど、初っ端から歓迎してくれ、ご飯を振舞ってくれた。更に同じ日本人の留学生もステイしていて、英語が話せないボクのサポートをしてくれた。(めちゃくちゃ仲良くなって日本に帰ってきてから改めて会って一緒にご飯食べに行った。)



そして、その家にはピアノが置いてあった。音楽が好きなファミリーだったらしい。

「Do you play the piano?」

普段ピアノを弾くのか聞いてみた。どうやら上手くは無いけど弾くの好きらしい。ギターも置いてあって、それも好きで時々弾くらしい。妹の結婚式に練習してピアノ弾いたりしたらしい。


妹さんの結婚式で弾いたピアノを聴かせてもらった。バラード調の綺麗な曲で、大柄なラモンの大きな手から優しい音楽が奏でられていて素敵だった。音楽は演奏するその人らしさが出る。ラモンの優しい演奏はその人柄を表してるんだと思った。


「Let me hear your piano」


ラモンに言われ、年季の入った茶色いアップライトピアノの前に腰掛ける。ラモンはソファ後ろで立ってじっとボクのことを見ている。少し遠くには同じ日本人の留学生が見ている。ボクらは20分前に出会ったばっかりだった。



手を動かし、深呼吸をする。そして鍵盤の上に指を置く。


弾くのはショパンの夜想曲第2番 変ホ長調 op.9-2

1番自信のある1曲だ。


演奏が始まると、ラモンがカメラを構え出したのがわかった。


異国の地で、言語も何もかもが分からず、不安で満ち溢れていた。そんな中での演奏。緊張して手が震え、足が震えていた。



何とか弾き終えた。自分の演奏に集中しすぎて何が何だか分からなかったが、家の中では2人の大きな拍手が響いた。


「wonderful!」


ボクの演奏がバラバラだった心をひとつにした。不安だった気持ちが一気に晴れた。嬉しかった。



その後、ラモンは外へ行った。どこへ行ったのか分からないままボクはここを使って!と言われた部屋に入り、荷解きをしていると、5人くらい引き連れて帰ってきた。どうやら近所の人を連れてきたらしい。


「Zen! Play the piano!」


みんなに聴かせたいと言うことであった。近所の人たちはソワソワしながら待っている。ボクは再度ピアノの前に腰を掛けた。



もう一度ショパンを弾く。


ピアノの発表会inシドニーだ。


緊張からミスタッチが目立ちながらも上手いこと誤魔化し、何とか弾ききるとさっきよりも大きな拍手が家中鳴り響いた。


近所の人たちがカゴいっぱいに入ったフルーツをボクとルームメイトにくれた。



周囲には国籍も言語も生まれ育った街も違う人たち。正直何言ってるかも分からない。そんな人たちがボクの奏でる音楽でひとつになっていた。それが何より嬉しく、感動した。







街の商業施設にはストリートピアノが置いてあった、大きなグランドピアノで通行人も沢山いる。



ボクはそのグランドピアノの前にも腰掛けた。ゴミで埋もれた部屋で練習したショパンの演奏が綺麗で煌びやかで大きな商業施設のグランドピアノから奏でられる。



通行人は足を止め、ボクの演奏に耳を傾ける。中には動画を撮る人もいた。




感動した。言語が無くても音楽で心が通じあえた気がした。演奏が終わると大きな拍手に包まれた。ボクは猫背で首に手を当て、「センキュー、センキュー、、、!」

夢みたいな瞬間で、嘘みたいに心が繋がった。街も言語も何もかもが分からなくてもそこに音楽だけはあった。存在していた。






ホームステイ先には、途中から中国人家族も来た。スポーツの指導者をしてるおっさんとその息子(ムシ)、あとは教え子の高校生の子2人がいた。


おっさんは日本語がしゃべれる人で仲良くなった。もちろんほかの3人とも英語で会話をし、仲良くなった。その中でも7歳のムシ。その子が超可愛い。ラブリーボーイだった。



だが、その家族は1週間のみの滞在だったため、先に帰ってしまった。



最終日の夜、夕食を済ませたあとラモンがボクに言った。


「別れの曲をピアノで弾いて!!」(英語で)



ボクは散々迷った挙句、いつも通りショパンを。そしてキングダムハーツのゲームミュージック、スタンドバイミーを弾いた。



でもこれだけじゃ面白くないなと思った。ショパンは毎日弾いてる。(ラモンから毎晩「リラックスできるようにピアノ弾いて!」と言われていた。)


考えに考え、ピンと来た。コードさえ分かれば弾き語りとか出来んじゃん。



スマホをポケットから取りだし、調べた。


「Japanese famous song」


そう言って弾き語りしたのはTHE BLUE HEARTSの「夕暮れ」



🎶ハッキリさせなくてもいいあやふやなまんまでいい。僕達は何となく幸せになるんだ。何年経ってもいい。遠く離れてもいい。ひとりぼっちじゃないぜ。ウィンクするぜ。



歌詞が歌ってても心に響いて涙が出そうになって声が震えた。そんな感じで弾き語っていると後ろから手拍子が聴こえた。言語も曲も分からないハズなのにみんな聴き入ってくれていた。



最高の夜だった。








3週間が経過した。ラモンと別れる最終日の夜、「上を向いて歩こう」をボクのコード弾きでルームメイトと2人で歌った。

ラモンもノリノリで楽しそうだった。



最高のホームステイ先だった。



こうしてボクのシドニー(音楽)研修が終わった。(まだまだ書くべきことがあるけどこの3週間で何より感じたのは音楽は最強だってことでした。)(あとエロと鳥山明先生も最強でした。語学学校でアラビア人の親友が出来て、きっかけがエロとドラゴンボールでした。#ごちゃごちゃうるさい)