すみだ北斎美術館が2016年11月22日に開館。
比較的近いので行って来ました。
この近く。(ここには何度も来ました)
日当たりのいい公園の線路ぎわに美術館がたちました。
もともとは公園に隣接してテニスコートが二面あったところですね。
テニスコートに代わって美術館が建ったたことで総武線が見えなくなって
公園の明るさが増したのではないかと思います。
大きな遊具で子供達が楽しそうに遊んでいました。
建築の力ですね。
設計は妹島和世さんのSANAA.
中からは東京スカイツリーも見えます。
見とれて振り向くと斜め壁に頭がゴツんですから気をつけましょう。
近代建築は危険がいっぱい。
四方から中心にアプローチできる凱旋門形式の一階平面。
万華鏡効果が篭り感と開放感の両方を実現しています。
フランク・ゲーリー建築のような、金属感と動物感の両面構成。
妹島さんの作品の中では比較的好感が持てました。
しかし、このどうしようもない電線と高架の景色は
テニスコートだった時代には公園側から見えていて
多分落ち着きのない児童公園だったと思いますが、
美術館が立ったことによって見えないようにしてくれています。
親切な計画に思いました。
まあしかし、日本の景色を台無しにしているのはこの電線ですね。
2020年東京オリンピックまでに地中埋設に本当にできるんでしょうか?
できたらいいな。
北斎さんはこの近くで一生を過ごしたそうです。
隅田川のほとりでいいところですね。
建築の一階平面計画です。
用途ごとに4つの象の足になっています。
各部屋への案内が実物建築では分かりにくいのと
スリットの中の通路で混雑時は人が集中しますね。
この辺りが妹島建築の甘いところです。
真っ青な空に江戸のいぶし銀が映えるいい建築ではありました。
さて、美術館の中の話ですが、
ここの様子は当然ながら写真撮影禁止なので、美術館公式HPに
よりますが、北斎美術館といっても冨嶽三十六景の本当に刷ったものが
36枚展示されているわけでもなく。
北斎さんの人生の歩みとともに代表的な作品が展示してあるコンセプトで
私としてはちょっと物足りなかったな。
常設+企画展が1200円、常設展示が400円でしたが、
初めてなので企画展も見ましたが、リピートは?
建築的に気になる点は美術館入り口がショップに近すぎて
人が大勢固まってしまって混雑する動線になっているのはバツでした。
また、非常階段を除くとエレベーターでしか展示室へ行けないのは
不便です。エレベーターの収容人数も不足していました。
メイントイレ、ロッカー、授乳室が地下になっていますがこれも
動線が悪いと思いました。
最下段のロッカーは使いにくくてしょうがないですね。
コインロッカーなら上下合わせて縦長一段にしてあります。
こういうところにも設計の甘さが出ています。
まさに細部に神が宿るのですよ。
どこの美術館でも階段下をオープンにするとこういう風に
立ち入り禁止ポールが並んでみっともなくなります。
建築雑誌の写真撮影時のみの格好良さしかありません。
建築家はもう少し考えて実用段階での建築を設計してくださいね。
3階、4階が展示室ですが、一階部分の美術館用のスペースが
ワンフロアの4分の1程度の計画になったのでバランスが悪いのだと思います。
平日はまったく問題ないと思いますが企画展の賑わう時には
大変混雑すると思います。
展示の方法も牛歩戦術で混雑する典型的な一列回遊方式です。
今後の改善が必要ですね。