去年9月初版発行から気になっていた本


アンデシュハンセンというというスゥエーデンの精神科医の著作「運動脳」を読んだ


生物の進化は数万年単位、現代人の脳は原始人からほとんど進化していない


平均寿命が飛躍的に伸びても、人工知能だの量子コンピュータの発明開発があっても人の脳はほぼ原始人と同じだ


ところで古典的な研究でも回り車をこいだネズミがこがないネズミより老化が遅いことが証明されている


何より、同じ動作を繰り返すことで上手になるのは何故か


スポーツでも仕事でも芸術でもすべて当てはまる


実は脳は身体を動かすことで威力を発揮する臓器らしいと言われる


言いかえると脳に最大の影響を及ぼす方法とは身体を動かすことになる


歩く習慣で認知機能が改善するのは明確


逆に言えば、動けないと認知症が悪化することを意味する


植物に脳が無いようにそもそも移動する生物だけに脳がある


最もよく活動し移動した者が豊富な食料を調達して絶滅から逃れた


人は身体活動で知性を獲得したとも言われる


これは動作だけでなく視覚、聴覚、触覚など脳内連携が進すむとのこと


動作プログラムが脳内の機能ネットワークに加わり協調、制御され脳はアップデートされることになる


現代人が原始人と明確に違う点は人の生き様、生活習慣の激変の中にいる現実だ


自分の身体を使って作業、活動する頻度と程度が激減し続けている


悩ましいのは、できれば動かずに楽したいのは人の本能


蓄えられるのは富や知識だけでなく身体にもエネルギー(脂肪)を溜め込む


一方知恵、知能のオオモトになる記憶力は老化によって悪化する


立って会議したり仕事すると効率性や創造性に良い影響がある


哲学者が歩きながら思索にふけったり、受験生が歩きながら暗記したりする


茶の間テレビの内容より、歩きながら見聞きしたものの方が記憶が定着しやすいのにはちゃんと理由があった訳だ


走る作家、村上春樹の本にもあるように、速歩きやスローランニングの効用がよーく分かる一冊、おすすめです

2023/7/27
酷暑続きの日本列島