映画「PERFECT DAYS」を一人でも多くの人に観て欲しいと考える私、この映画について言及している又吉直樹さんの動画を発見しましたので観てみました。
芥川賞を受賞した方がどのような観点から映画を観て、どのように感じたのか非常に興味深かったからです。
役所広司主演『PERFECT DAYS』について!淡々とした編集、無理な伏線回収をしない…ストロングスタイルが又吉に刺さりまくり!【夜の公園#64】
まずもって又吉さんの言語化力、説明力がとてつもなく凄かったです。
感じたことをここまで詳細に話せる能力は凄い!
あとは私が場面毎に感じたことを見事に代弁してくれました。
(隅田川沿いでの場面のことも言及して欲しかったな~。)
殆どに於いて私が感じたことと全くの同意見。
たとえば家の目の前にある自動販売機にて、主人公の平山は毎朝出勤前に缶コーヒーを買うのですが、その缶コーヒーが売り切れになって他のドリンクを購入する場面が来るのではないか、と思っていたこととか。
さすがに休日に一人で訪れる居酒屋がオレンジ色の照明で茶色い壁という詳細な設定までは考えませんでしたが、休日に訪れるルーティーンの居酒屋としては、他のお客さんとも絡みがあるような、いくら音楽が好きだからといって女将の歌を聴くために足しげく通うには違和感がありましたし。
やはり女将に心を寄せているからだろうと私は感情を紐づけました。
私の考え方は割と一般的なのではないでしょうかね。
特に年単位のスパンで誰かに心を寄せた経験のある人ならば尚の事そう思うのではないでしょうか。
そうであればその後の映画の展開も納得出来ますし一つの仮定として成立します。
いつものようにその女将の居酒屋に訪れたときに、他の男とイイ感じになっているところに出くわしてしまい、いわば見てはいけない場面を見てしまったというシーンがあります。
そのときの動揺たるや何年も密かに心を寄せていて精神的支柱ですらもあったのに、自分に気があるかまではさて置いたとしてもまさか他に男がいたなんて、如何ばかりのショックだったかと思います。
淡い期待が一瞬で崩れ去る。
そりゃあ気が動転するわな。
これを私自身に置き換えたならば、
遊佐さんが旦那さんと今でもラブラブだとかであれば(決してその事実を聞きたくはないが)まだ頭では理解出来るのですが、
仮に実は他に10年来の男がいたとかであれば、その事実を知った瞬間に何もかもを放り投げて即刻コンビニにサントリーの角ハイボール缶を買いに行って、同時にタバコ(ピースのライト)とライターも買うでしょうね。
事務所のすぐそばにそれこそ隅田川が流れていますから、隅田川沿いでハイボール缶を片手に数十年ぶりのタバコを吸うのです。
身体が覚えているので昔のように深くタバコの煙を吸うのですが、あまりにも久し振りなものですから身体がついてこられずに思わず咳き込んで咽ぶのです。
まさに映画のシーンそのものになると思います。
自棄になるというか、もうどうにでもなれというか、今までは何だったのか馬鹿馬鹿しくなる、というような感じ。
それくらいにショック。
そのような心理を絶妙な加減で表現するとは、如何にこの映画が素晴らしいか。
ショックに陥ってそのままではなくて、直後にどんでん返しが起きて希望の光が差し込む場面がこれまた秀逸で、監督やその周囲の誰かが同じような経験をしたことがあるのかなー。
田中泯さんもご出演されているのですがセリフが全く無くて踊りや動きだけ。
それなのに凄い存在感。
動きだけで何かを語る演技力、見事としか言いようがない。
これは田中さんじゃないと無理だ。
しかしその演技力を有する田中さんをも脇役としてしまうくらいに凄いのが主役の役所広司さんの演技力だ。
とてつもない演技力を有する役所さんが主役だからこそ田中さんも出演出来る。
どれだけ凄い映画なのか。
『PERFECT DAYS』平山という生き方_田中泯<ロングver>
この映画は答えが無いのが素晴らしい。
場面毎の捉え方を強要してこないのです。
自発的な、自らの人生観に応じた見方が出来ると思います。
だから刺さる場面が人によって違う。
是非とも一人でも多くの方にこの映画を観ていただきたいです。
ここで熱く語って一人でも多くの人の心に響かせないと、今響かない人はきっと一生この映画を観ないと思うのですね。
それは人生の損失だと私は思っています。
それくらいに素晴らしい映画だと私は言い切ります。
このように映画に想像力を働かせるわけですが、私は普段の仕事でも同レベルでお客様のことも想像しています。
発言の真意を汲み取る努力をしています。
合ってるか間違ってるかは別ですよ。
勿論、普段お会いすることのない遊佐さんにもまた想像力を働かせているわけです。
今、何を欲しているか。
どうすれば喜んでくれるか。
旦那さんとは違って直ぐそばにいるわけではありませんが、物理的にそばにいなくても心の機微は感じることが出来る。
誰にも負けたくない。
本日もお疲れ様でした。
皆様、良い週末をお過ごしください。