スタートアップ起業家や公認会計士・税理士にとって、数字やデータは欠かせない要素ですが、脳科学的には「無意味な数字」は記憶に残りにくいことが分かっています。

 

人間のワーキングメモリは7±2チャンク程度の情報しか保持できず、意味や関連性のない数字は短期記憶のまま消えやすいのです。

脳の海馬は「生存や目的達成に有用か」という基準で記憶を選別するため、文脈のない数値は優先度が低くなります。

 

一方、ストーリーや文脈のある情報は、脳の複数領域を同時に刺激します。

物語は登場人物・原因・結果・感情など多様な要素を含み、意味的ネットワークが活性化します。

 

また扁桃体(たとえば感動した瞬間をよく覚えているのは、扁桃体が海馬に「これは重要だ、忘れないで」と信号を送るからです。扁桃体は、感情を通じて記憶の優先度を決めるスイッチのような存在)が感情を伴った情報に反応することで、海馬での記憶固定が促進されます。さらに「次はどうなるか」という予測が報酬系を刺激し、注意と記憶が強化されます。

 

この特性は事業やサービスの認知拡大にも応用できます。市場シェアや売上成長率といった数値のみを提示するより、「創業者が抱えた痛みや不便を解決するために立ち上げ、地域の5人に1人が使うサービスになった」というように、数字を文脈と結びつけることで記憶定着率が高まります。

 

“顧客や投資家の既存の経験・課題と関連付ける”ことで意味的エンコーディングが促進され、ブランドが想起されやすくなります。

つまり、数字は軽視すべきではありませんが、それを活かすためには文脈・ナラティブが不可欠です。

感情や共感を伴うストーリーは、脳科学的にも記憶に残りやすく、事業の浸透や資金調達において大きな武器となります。

 

スタートアップ支援税理士

株価算定 ストックオプション 石割公認会計士事務所