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1.はじめに

現在、ビジネス上の取引から発生する証憑等は書面であることが多く、多くの人が書面のまま保存する必要があると考えています。

これらの書類を保存するためのコストやファイリング等を行うための手間が、生産性を下げる要因となっているといえます。

しかし、「電子帳簿保存法」に基づく申請を行えば、電子保存が可能となっており、電子保存を行うことにより企業の生産性を向上させるができます。

今回は、この「電子帳簿保存法」について簡単にご紹介させて頂きます。

2.制度の概要

「電子帳簿保存法」は、平成10年度税制改正によって、納税者等の帳簿保存に係る負担軽減を図る等の観点から創設されました。

この法律が、最近大きく変わりました。
主な改正点は、下記のとおりとなります。

(1)平成27年度税制改正
スキャナ保存制度の要件が緩和され、領収書等の3万円の金額基準が廃止されました。
その結果、帳簿・決算関係書類以外は、すべてスキャナ保存が可能となりました。

(2)平成28年度税制改正
スマホ・デジカメで、領収書や請求書の撮影保存が可能となりました。
ただし、撮影した書類の原本は、ある一定期間の保存が必要であるため注意が必要です。
保存期間は、大企業と中小企業で異なります。

・大企業の場合
定期検査終了後に廃棄可能です。

・中小企業の場合
税務代理人(税理士等)による検

査終了後に廃棄可能です。


経済産業省「平成28年度経済産業関係税制改正について」
http://www.meti.go.jp/main/yosan/yosan_fy2016/pdf/zeisei2.pdf

また、スマホ・デジカメで撮影した画像には、認定事業者が発行する「タイムスタンプ」が必要となります。

電子データの場合、比較的容易にデータの改ざんが可能であるため、それを防ぐために認定事業者が発行する「タイムスタンプ」が必要となっています。

スマホやデジカメ撮影の電子帳簿保存を行えるのは、平成29年1月以降からになります。

さらに、電子帳簿保存をするには、「国税関係帳簿の電磁的記録等による保存等の承認申請書」を利用を開始する3ヶ月前に提出し、承認を受ける必要があります。

国税庁HP:「国税関係帳簿の電磁的記録等による保存等の承認申請書」
https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/pdf/6001.pdf

3.スキャナ保存・スマホ撮影保存のメリットについて

下記に、書面保存からスキャナ保存・スマホ撮影保存に変更することのメリットを挙げました。

・電子データを使用することによる業務の質の向上
・環境に優しい
・経理等のチェック後に原本を破棄できる

スキャナ保存・スマホ撮影保存を行うことにより、紙やインクの使用量を減らすことになります。

また、電子データであれば検索が可能であるため、書類を1枚1枚めくって探すという作業を無くし、業務を効率化させ、生産性を向上させます。

4.おわりに

上記で、スキャナ保存・スマホ撮影保存のメリットについて触れさせて頂きましたが、反対にスキャナ保存・スマホ撮影保存にはデメリットもあります。

この制度は、必ずタイムスタンプを利用する必要があります。
タイムスタンプを使用するには専用のシステムを導入し認定事業者となるか、認定事業者に対して料金を払ってタイムスタンプを発行してもらう形になります。

そのため、スキャナ保存・スマホ撮影保存の導入をするには、手間もコストもかかります。

平成28年度税制改正後の現状においては、スキャナ保存・スマホ撮影保存は、まだまだ使い勝手が良いものとはいえないでしょう。

ただし、今後まだまだ改正の余地がありますので、今後の動向に注目すべきです。