平成28年度の税制改正で雇用促進税制の延長が平成30年3月31日まで延長になったのは嬉しいことですが、制度の対象となる雇用者の範囲が狭まり、要件を満たす法人が制限されることになってしまいました。
そこで今回のブログでは、雇用促進税制の改正点について触れていきたいと思います。
■雇用促進税制とは
適用年度中に雇用者数を5人以上(中小企業等は2人以上)かつ10%以上増加させるなど、一定の要件を満たした事業主が、法人税(個人事業主の場合は所得税)の税額控除の適用が受けられる制度です。
※対象となる雇用者数の増加1人あたり40万円の税額控除が受けられます
平成28年3月31日が適用期限となっていましたが、適用対象となる事業所の地域と雇用者の範囲を限定した上で、適用期限を延長する旨の改正が盛り込まれました。
■改正前と改正後の大きな違い
それでは、具体的に改正前と改正後で何が変わるのか、
平成28年度以降に適用年度が開始する場合を見ながら確認しましょう。
①判定対象事業所
【改正前】全事業所
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【改正後】同意雇用開発促進地域※に存ずる事業所(28道府県102地域)
②増加雇用者の判定
【改正前】役員の親族などを除く雇用保険の一般被保険者
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【改正後】無期雇用かつフルタイムの雇用者に限る
③税額控除額
【改正前】上記②の【改正前】に該当する増加雇用者×40万円
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【改正後】上記②の【改正後】に該当する増加雇用者×40万円
③所得拡大税制との併用
【改正前】不可
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【改正後】一定の調整措置が講じられたうえで可能
※同意雇用開発促進地域とは...職者数に比べて雇用機会が著しく不足している、「地域雇用開発促進法」第7条に規定する地域をいいます。
■総括
上に挙げた通り、増加雇用者の適用対象となる事業所が全事業所から有効求人倍率の低い地域に存ずる事業所のみとなりました。
そのため、東京や神奈川、大阪、愛知などの都市部でのみ事業所を構える事業者については適用が受けられなくなってしまいました。
また、対象となる雇用者は、これまで雇用保険の一般被保険者に該当すればパートやアルバイトも対象となりましたが、改正後は無期雇用かつフルタイムの雇用者で新規雇用に限定されます。
その一方で、所得拡大税制との併用が可能となり税制措置としては拡大された形になりました。
所得拡大税制との併用は、調整計算の方法や適用要件の判定など制度が複雑になっていますので、あらかじめ雇用計画を立てたうえハローワーク又は専門家に相談することをお勧めいたします。