役員報酬と議事録 | アークス総合会計事務所のブログ

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1.議事録とは

 

議事録というものは議会の内容を記録し、周知共有するという認識が一般的だと思われます。
しかし、税務調査においてはとても効力のある重要な資料でもあり、議事録ひとつで大きな痛手となることもあるのです。

今回はそんな議事録の重要性について、役員報酬を例にとってお話します。

 

 

2.役員報酬の決定(改定)と議事録

 

役員報酬額を決定(改定)するためには、定款に当該事項を定めていない時は株主総会を開かなければなりません。(会社法361条1項)
そして、株主総会で決定された事項を議事録として必ず作成しなければなりません。(会社法318条1項)
議事録を作成しないことによる罰則はありませんが、取締役の任務懈怠として株主による代表訴訟を提起される可能性があることに留意してください。

議事録の作成内容については、会社法72条で定められています。

 

会社法施行規則第72条
https://ja.wikibooks.org/wiki/%E4%BC%9A%E7%A4%BE%E6%B3%95%E6%96%BD%E8%A1%8C%E8%A6%8F%E5%89%87%E7%AC%AC72%E6%9D%A1

 


3.税務調査と議事録


税務調査の際に、税務官は必ず支給された役員報酬が過大か否かを調査します。
その際に求められる資料のひとつが株主総会の議事録です。
議事録は大きな効力を持ち、決定事項として記載された役員報酬額と実際に支給した役員報酬額に相違があればそれは物的証拠となり、損金として認められません。
損金として認められないという事は所得を少なく申告したものとされ、新たに納める税金のほかに過少申告税がかかってしまうのです。
また、議事録を作成しなければ株主総会が不存在であると認定されたり、議事録に記載されていない決議が「なかった」と認定されることがあり得るので注意が必要です。


以下2つは実際に裁決の証拠として議事録が大きく関わった事例です。
どちらも原処分庁の主張を裏付ける理由として「議事録」がキーワードとなっています。


 ■過大な役員報酬として一部が損金の額に算入できなかった事例 
   裁決事例集 No.45 - 213頁より引用 
http://www.kfs.go.jp/service/JP/45/17/index.html


 ■役員退職金について記載された議事録が真正に作成されたと認められず、全額損金の額に算入できなかった事例
   (裁決事例集 No.22 - 133頁より) 
http://www.kfs.go.jp/service/MP/03/0204070500.html

 

 

4.おわりに

 

株主総会についての議事録の作成・保管は会社法として義務付けられており、税務調査時の確かな証拠としても大きな力を持っています。
社内の議事録が形式的なものでなく、事実に基づいた確かなものとなっているか、今一度確認してみましょう。