インボイス方式について | アークス総合会計事務所のブログ

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今回は4/18に投稿した『軽減税率について』に引き続き、
消費税の軽減税率に伴い義務化されるインボイス方式について
触れていこうと思います。

なお平成29年4月からは
暫定的に簡易方式等による経理方式が移行措置として導入され、
平成33年4月から本格的にインボイス方式が摘要されます。


1.インボイス制度の目的
そもそもインボイスとは日本語で言うと税額票、請求書を指します。
インボイス制度は1年を通じた売上高が1千万以上の事業者に課される制度です。
つまり消費税を納めなければならない課税事業者に適用されます。


現在の請求書の中には左のような計算で消費税を算出し、
請求している事業者もいるかと思われます。

しかし、平成29年4月から軽減税率が摘要されると、
右のように各品目ごとに計算しなければ正しい消費税は算出できなくなります。
取引をした両者が請求書を保存することが義務付けられており、
両者が取引に係る消費税を正しく把握できるようにします。

つまり、軽減税率によって消費税の納税に混乱や不正がおきないよう
義務付けられるのがインボイス方式です。

またインボイス方式は免税事業者の消費税の益税問題を
解決する役割を果たすと言われています。

消費税は原則として売上と仕入に係った消費税の差額から計上します。
売上に係った消費税は支払わなければならない負債となり、
逆に仕入に係った消費税(仕入税額控除)は資産となります。

課税事業者は売上に係った消費税が仕入に係った消費税を上回った場合、
納税義務が発生しますが、
免税事業者は納税義務がないので益税として蓄積していきます。

それ以外にも益税が発生するケースがありますが、
現在の日本で発生している消費税の益税は
数千億と言われており、問題となっています。


しかし、インボイス方式が導入されるとインボイスを発行できるのは
課税事業者のみという規則が設けられます。
また仕入税額控除を受ける要件としてインボイスの保管が必要となる為、
免税事業者から仕入をしても仕入税額控除を受けられなくなります。

その為、益税の発生が抑えられ、より正確な消費税が国に納められる結果となります。



2.インボイス方式への移行措置と施行後

平成29年4月から平成33年3月までの間は、
移行措置として簡易方式と現行の簡易課税制度(みなし課税)が認められます。


(1)簡易方式

簡易方式とは軽減税率の対象となる品目に印等をつけることにより、
8%対象の品目が購入者にわかるよう請求書の発行をします。


請求書



現在の請求書と違うのは、

消費税に係る金額をそれぞれ記載する事と

事業者番号が記載をするということです。

事業者とは課税事業者それぞれに割り振られる番号です。
印でなくても購入側が把握できればいいので、食料品(8%)と記載するなど
記載の仕方は事業者の自由です。

簡易方式が認められる平成33年3月までは、
免税事業者からの仕入も仕入税額控除の対象となります。


(2)簡易課税制度

簡易課税制度とは、
年間の課税売上高が5000万円以下の事業者が選択できる
仕入税額控除の計算方法です。

売上の合計から、各事業ごとにみなし仕入率を乗ずることによって
仕入税額控除を求めます。

詳しくは下記をご参照下さい。
(国税庁HP:https://www.nta.go.jp/taxanswer/shohi/6505.htm)

なお簡易課税制度も平成33年3月まで適用が可能です。
そして4月からはインボイス方式が絶対となるので、
例え12月決算の簡易課税制度を選択している事業者でも
1月から3月までは簡易課税制度による計算をして、
4月から12月までは正確に消費税を計算しなければいけなくなります。


また簡易課税制度も益税が発生する理由の一つになっています。

実際に係った消費税より多い額の仕入税額控除を算出することにより、
差額の部分が益税となります。

まだ先のこととはいえ、簡易課税制度が撤廃の方向へ進んでることは間違いないでしょう。


3.まとめ
今回はインボイス方式についてご説明致しました。
詳しい内容は国税庁のリーフレットをご覧下さい。
(国税庁HP: https://www.nta.go.jp/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/02.pdf)

インボイス方式によって、現在の日本の消費税制度は大きく変わると思われます。

免税事業者から仕入をしても仕入税額控除を受けられない為、
課税事業者が嫌って課税事業者同士で取引するようになるでしょう。

その為、免税事業者は取引が減らないよう課税事業者選択届を提出し、
課税事業者になる事業者が多くなります。

そして課税事業者となった事業者は、消費税を新たに払うようになり、
事務的な負担も増えてしまいます。

あらかじめ消費税について検討をして、対策することをお勧め致します。