大企業にくらべ信用力の劣る中小企業が無担保で金融機関からお金を借りるのは、なかなか難しいものです。
金融機関との取引が浅い中小企業・小規模事業者の方が融資を受けようとすると、「信用保証協会」の保証を求められることもあります。
そこで今回のブログでは保証協会について触れていこうと思います。
1.概要
・プロパー融資
一般的に、金融機関が事業融資を行う場合において、信用保証協会の保証等がなく直接自身の責任100%で実行するもののことを「プロパー融資」と呼んでいます。
起業段階ではプロパー融資を受けることは難しいのが実情です。銀行は融資をする以上キャッシュフローを考えます。
必ず債権を回収できるよう努めるため、起業したばかりの企業に対するプロパー融資を行なうのを拒否する傾向が見られます。
慎重な銀行は直近三期分の決算報告を見てからプロパー融資の判断を行なう場合さえあるほどです。
・保証協会付融資
中小起業の借入の保証を行う公の機関。
担保や保証人のない中小企業に対して、一定額の保証料を支払って金融機関から融資を受けられるようにすることを目的に、
設立された各都道府県と政令指定都市に一箇所ずつある特別法上の法人。
「保証付融資」では保証の対価として所定の信用保証料が徴収され、
万が一、借主の返済が滞った場合に、借主に代わって信用保証協会が金融機関に「立て替え払い」を行います。
あくまでも立替を行うだけであり、借入金がなくなるわけではありません。
保証協会、銀行、中小企業の三者の関係は下記の図の用になります。
2.保証協会のメリットとデメリット
・メリット
(ⅰ)日本政策金融公庫よりも融資の種類が多く、様々なニーズに対応している。
(ⅱ)長期かつ低利で高額な資金需要に対応している。(無担保無保証枠8,000万円まで)
(ⅲ)特定の制度では、利息や保証料の補助を行っているものもある。
(ⅳ)普段自分が利用している金融機関を窓口とすることができる。
(ⅴ)ほぼすべての金融機関からの融資に利用できる。
・デメリット
(ⅰ)通常の金利以外に、一定の保証料を負担しなければならない。
(ⅱ)日本政策金融公庫と比較した場合、保証料の分だけ負担が大きくなりやすい。
(ⅲ)各地域によって、制度融資の内容や条件が異なる。
(ⅳ)会社または個人の営業所がある都道府県等のものしか利用できない。
3.審査ポイント
(ⅰ)保証資格
保証協会では保証先の事業について制限があります。
例 農林水産業、金融業、不動産業(賃貸を除く)、娯楽業等
下記URLが対象外先になります。
http://www.cgc-tokyo.or.jp/pdf/cgc_taishougai-list.pdf
(ⅱ)資金使途とその効果
プロパーでも保証協会付でも資金使途は明確にしなければなりません。
設備資金であれば、購入時の領収書や見積書のコピーなどを添付しましょう。
運転資金の場合は事業計画書を作成しておくと若干ですが審査に通りやすくなります。
(ⅲ)返済能力
利益による返済ができ、債務償還年数が10年以内か否か。
借入の審査時に見られるポイントは「償還債務年数」と「流動比率」が大体です。
償還債務年数とは借入金の額を当期利益と減価償却費の和で割ったものです。
各銀行により基準は多少異なりますが、概ね下記のように分類されます。
もう一つの指標の流動比率とは企業の1年以内の収支倍率を表す数値です。
計算式は「流動資産」÷「流動負債」です。
こちらも各銀行により基準は多少異なりますが、概ね下記のように分類されます。
4.まとめ
保証協会は全国にあり各協会によって商品の内容や上記の判断基準も協会により異なるため、
銀行員が提案してくる商品が最善のものとは限りません。
全国52ヵ所にある各信用保証協会の所在地、それぞれの詳しい取組みについては、「全国信用保証協会連合会」のホームページから閲覧できますので、
提案を鵜呑みにせず事業所のある保証制度を調べてみてはいかがでしょうか。、