複数の収入がある場合のふるさと納税の計算式① | アークス総合会計事務所のブログ

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翌年3月の確定申告でふるさと納税での節税を考えている方が多くいらっしゃると思います。
また、12月末までに払込が完了すれば、翌年の確定申告にてこの制度を利用することができます。

一般的なふるさと納税の紹介サイトでは給与所得のみの場合での限度額の紹介をしています。
そこで、今回から2回に分けて複数の収入がある場合のふるさと納税の計算式についてお伝えいたします。

1.ふるさと納税について

ふるさと納税とは、都道府県・市区町村に対してふるさと納税をすると、ふるさと納税額のうち2,000円を超える部分について、
一定の上限まで、原則として所得税・個人住民税から全額が控除される制度です。

所得税と住民税の両方とも税額から控除されるイメージを持たれている方がいると思いますが、その取扱は少し違います。
所得税の計算ではふるさと納税は「寄付金控除」に該当し、住民税の計算では住民税額の「税額控除」となります。

所得税 … 「寄付金控除」に該当(税額計算前の所得額から控除)
住民税 … 「税額控除」に該当 (税額計算後の税額から控除)

(1)所得税の計算における寄付金控除について

寄付金控除は所得税法上の所得控除に該当します。
給与所得の方は収入額から給与所得控除の額を引いた後の金額から、この控除を差し引きます。
それ以外の方はその所得額から差し引きます。

また、寄付金の種類によっては税額控除を選択することができる場合もありますが
ふるさと納税の場合は寄付金控除のみとなります。

【寄付金控除の計算式】
その年中に支出した特定寄附金の額の合計額 - 2千円 = 寄附金控除額

ただし、特定寄附金の額の合計額は所得金額の40%相当額が限度となります。

(2)住民税の計算における税額控除について

ふるさと納税をした場合における、住民税の税額控除は下記の2点から成り立っています。

基本分 … (ふるさと納税額-2,000円)×10%を税額控除
特例分 … (ふるさと納税額-2,000円)×(100%-10%(基本分)-所得税率)

特例分については、所得税の寄付金控除と住民税の基本分で控除できなかった額を
ここで全額控除するイメージとなります。(個人住民税所得割額の2割が限度となります)

結果として、ふるさと納税をした場合の控除額のイメージは下図のとおりとなります。


2.複数収入がある場合の所得税法上の取扱いについて

所得税法上においては所得の種類に応じてそれぞれ分類されています。
大きく分けると「総合課税」に該当するものと「分離課税」に該当するものがあります。

総合課税とはすべての所得を合算して総所得金額を計算し、そこから所得控除を引いた額に
税率をかけて所得税額を計算します。

分離課税とはそれぞれの所得単体から所得控除を引いた額に税率をかけて所得税額を計算します。

総合課税と分離課税がある場合にはそれぞれの金額の合計値がその時の所得税額となります。

※1について

所得控除には順番があり、まず総所得金額から差引きます。引き切れない場合は、分離短期譲渡所得金額、分離長期譲渡所得金額、分離課税の配当所得金額、株式等に係る譲渡所得等の金額、先物取引に係る雑所得等の金額、山林所得金額、退職所得金額から順次差引くことになります。


今回は、所得税及び住民税におけるふるさと納税の取扱いと複数収入がある場合の所得税法上の取扱いについて
ご紹介いたしました。次回は、今回お伝えした内容をベースに複数の収入がある場合の計算方法の具体例をお伝えいたします。