普段から馴染みのある預金口座は普通預金口座だと思いますが、
今回のブログでは当座預金の性質について触れていこうと思います。
1.当座預金とは
主に企業や個人事業主が業務上(営業資金等)の支払いに利用する無利息の預金で、現金の代わりに「小切手」や「手形」で支払いをする際に活用します。
しかし、誰でも開設できるわけではなく、口座開設の際に金融機関ごとの所定の審査があり、当座勘定取引契約を結ぶことで口座が開設されます。
2.審査について
当座預金は、小切手や手形による信用決済取引のため口座開設後に不渡りが出ると大きな問題となります。そのため金融機関の支店で所定の審査があります(支店長決裁)。
その審査内容は、金融機関によってそれぞれ異なりますが、一般的には下記のようなことがチェックされることが多いです。
なお、口座開設後は、小切手についてはすぐに発行できますが、手形についてはある程度取引実績を積まないと発行できないこともあります。
・会社の実態(登記簿謄本、印鑑証明書等)
・過去の預金取引等の実績
・過去の不渡り事故の有無
・事業内容や事業状況
・会社決算(売上、利益など)・手形取引の必要性
・代表者の経歴や信用力(中小企業の場合)
3.当座預金のメリット
ATMでの引出・振込もできなく、預金利息もつかないデメリットもありますが、下記のメリットがあるため当座預金は利用されています。
(ⅰ)金融機関破綻時預金のが全額保護される当座預金は預金保険法が定める「無利息」、「要求払い(随時払い戻しができること)」、決済サービス(口座振替等)が提供可能なこと」という3要件を満たすため、「決済用預金」の一つに該当し、預金保険で全額保護の対象となります。
(ⅱ)引出限度額がない普通預金は個人であれば一日100万円、法人であっても1,000万円までとされていますが、当座預金は一日に利用できる金額に制限がありません。
「B to B」の場合、取引金額が多額で1,000万円を超えることがあるかと思います。普通預金だと1,000万円をその日に振込、翌日に差額分の振込を行うといった二度手間になりますが、当座預金であれば当日に振込を完了させることが可能となります。
(ⅲ)当座借越ができる当座借越とは設定金融機関が取引先の当座預金残高を超過して振出す小切手を一定限度 (当座貸越極度額) まで金融機関の資金で支払いをする貸付業務の一つです。金融機関は当座貸越契約を締結するに際して通常は根担保 (有価証券,定期預金,不動産) の提供を求めます。
・一般当座借越
当座預金口座に貸越限度額を設け、その範囲内でいつでも貸越しできるもの。 当座預金残高が不足した場合に、自動的に貸越となります。
融機関が当座預金取引先と締結した「当座勘定貸越約定書」に基づくもので、契約者にとっては、当座預金の一時的な資金不足に対応できるメリットがあります。
(例)当座借越の限度額が100万円 口座残高 100万円 支払額 200万円この例の場合200万円の支払に対し残高が100万円不足しています。
しかし100万円の貸越限度額を設定しているため100万円までの借越が自動的に行われます。 そのため200万円までの決済が行えることになります。
・専用当座借越
融資先に対して融資極度額(借入限度額)を設定し、その範囲内での反復した借入・返済を可能にした融資の形態です。
通常、当座預金口座や普通預金口座とは別に当座貸越枠勘定(貸出専用口座)を設け、そこから払出伝票または金融機関によりますがキャッシュカードにより、融資を受けるものです。
金融機関は、融資先と「当座貸越契約証書」を締結し、融資の実行の際には、融資先から限度額内での借入金額を記載した「専用当座貸越請求書」を徴求します。短期資金の融資に用いられ、当座預金だけでなく普通預金でも極度枠の設定が可能となっています。
4.まとめ
当座預金は普通預金に比べてATMが使えない等のデメリットはありますが、小切手や手形で支払うことができるため、多額の現金を持つ必要がなく、その場で支払が必要となった時に即座に支払うことが可能です。また、一般当座借越を行うことにより、一時的に資金ショートに陥りかけても枠内であれば銀行に融資の申し込みをしなくてもよくなります。
専用当座借越の場合は銀行への申し込みが必要となりますが、即日融資を受けることができます。一般、専用共に一時的な資金需要を満たすために使用するものですが、手形の不渡りや与信枠いっぱいの借入には注意が必要です。
しかし、短期資金の調達の方法としてはとても便利なものですので、当座預金口座を開設していない法人や個人事業主の方は取引銀行の預金担当の方に相談して一度開設を考えてみてはいかがでしょうか。