売上高をいつ計上するかということは会社の損益に大きな影響を与えますので、注意する必要があります。
さらに、損益計算によって算出される利益を基に税金(法人税や所得税等)の計算を行いますので、税額にも影響します。
そこで今回のブログでは「売上計上基準の選定」について取り上げたいと思います。
1. どうして節税になるのか
売上を認識するタイミングを見直すことにより、結果としてその期の売上が減少する場合があるためです。
この売上を認識するタイミングをいつにするのかというのを「売上計上基準」といいます。
例えば、次のようなケースの場合には売上を認識する時期が期をまたぐため、売上額が減少します。
・会計期間 … 4月1日から3月31日
・業種 … 卸売
・状況 … 3月30日に商品10万円を得意先に出荷し、4月1日に
得意先が検収を行った。
(1)出荷ベースで売上を認識する場合
3月30日に売上を認識するため10万円は「今期の売上」となります。
(2)検収ベースで売上を認識する場合
4月1日に売上を認識するため10万円は「翌期の売上」となります。
このような場合には、売上認識のタイミング次第でその期の売上高が変動します。
(2)の方法を選択した場合、その期の売上高が10万円減りますのでその分税額も少なくなります。
2. 売上計上基準について
売上を計上する時期とは「お金をもらったとき」と考えがちですが、基本的に税務署は入金時に売上計上することを認めていません。
税法上いつの時点で売上を認識するかということを「売上の計上基準」といいます。
計上基準は一つだけではなく、合理的で自分の会社の取引事情に合った基準を採用することができます。
売上計上基準は下記の種類に分けられますが、合理的な理由なしに現在適用している基準を変更できず、変更した場合継続適用しなければなりません。
(1)原則として一度採用した基準を継続適用しなければなりません。
利益が少ないときは出荷基準、利益が多いときは検収基準にして売上を翌期に繰り延べようといったように売上計上基準はむやみに変更してはいけません。
(2)事業の実態に合致しているかどうか。
会社の収益(売上)基準は大変重要で、株式公開や税務調査の際に今まで継続適用していた基準に問題があったことが判明し、事業計画の見直しなどにもつながるケースもあります。
また、不確定な売上を計上しないで済む場合があります。税金の問題やその期の本来の売上を把握するためにも売上の計上基準は合理的なものにしましょう。
(3)税務調査への対応
合理的な理屈がつく範囲内で計上日や変更した根拠を明文化しておきましょう。。
合理的な理由なしに変更をしてしまうと、当期に計上すべき売上げを翌期の売上としていたため税務調査において指摘を受け、追徴課税が課される可能性があります。
また、不確定な売上を計上しないで済む場合があります。税金の問題やその期の本来の売上を把握するためにも取引のどの段階で帳簿に売上げを計上するか合理的な基準を選択して継続的な適用を行ってください。
・出荷基準であれば、送り状・納品書の日付
・検収基準であれば、検収日・検収通知書の日付が記載されている
書類を用意しておきましょう。
4.まとめ
売上計上基準の変更は弊社ホームページにて掲載されている支出無しで一時的に減税に該当します。
冒頭に述べたように売上の一部を繰り越すことで今期の売上を低く抑え、節税します。
しかし、税金を抑えるとこが出来る反面、銀行からの借入が困難になったり、借入ができたとしても金利が少し高くなってしまうことも考えられます。
逆に計上日を早くすることで、税金は高くなりますが売上を高くすることも可能となりますので一度売上認識のタイミングについて見直してみてはいかがでしょうか。