前回のブログで国外事業者からの電気通信役務の提供について消費税の内外判定基準が下記のように見直されることを説明させて頂きました。
【現行】役務提供者の事務所等の所在地 → 【見直し後】役務提供を受ける者の住所地等
この見直しに伴い、平成27年10月1日以後の国外事業者からの電気通信役務の提供につき新たな消費税の納税方式が導入される見込みです。
今回はその納税方式について簡単に説明させて頂きます。
1.導入の概要
現行の消費税の納税方式は消費税から支払った消費税を控除した差額を納付する方式を採用しています。
この方式の納税義務者は常に事業者である役務を提供する側となります。
売上10,000円に係る消費税800円
仕入7,000円に係る消費税560円
納税額800円-560円=240円
しかし、今回の見直しにより、国外事業者からの電気通信役務の提供については下記の役務の提供を受ける側の区分により消費税の納税義務者が変わります。
2.役務の提供を受ける側が事業者であることが明らかな場合(B to B)
(1)納税義務者
役務提供を受ける側である国内事業者
役務提供を受ける側である国内事業者
(2)具体例
役務の対価が税抜き10,000円、税込みで10,800円を例にとって考えてみます。
対価の支払10,000円 … 役務提供を受ける国内事業者
消費税の納付 800円 … 役務提供を受ける国内事業者
役務提供を受ける国内事業者が国外事業者に対価10,000円支払うと共に日本の税務署に消費税800円を納税することになります。
このように消費税の納税義務を役務の提供者から受け手に転換する方式をリバースチャージ方式といいます。
役務の提供を受ける側が事業者であることが明らかな場合とは主に広告配信などが該当します。
3.役務提供を受ける側が一般の消費者の場合(B to C)
(1)納税義務者
役務提供をする側である国外事業者
役務提供をする側である国外事業者
(2)具体例
役務の対価が税抜き10,000円、税込みで10,800円を例にとって考えてみます。
対価の支払10,000円 … 役務提供を受ける国内事業者
消費税の納付 800円 … 役務提供をする国外事業者
役務提供を受ける国内事業者が国外事業者に対価10,800円を支払い、日本の消費税分を受け取った国外事業者が日本の税務署に消費税800円を納税することになります。
このように日本の消費税の納税義務者を国内事業者から国外事業者に転換する方式を国外事業者申告納税方式といいます。
通常、電子書籍の購入や音楽配信などは事業者ではなく一般の消費者と想定されますのこの方式が採用されたと考えられます。
(3)経過措置
国外事業者申告納税方式では、税務署からすると海外の企業がわざわざ日本の税務署に納税をするかというリスクが存在します。
そのため、国外事業者から受けた消費者向けの電気通信役務の提供に係る課税仕入については仕入税額控除は原則適用できません。
ただし、「登録国外事業者」からの消費者向けの電気通信役務の提供については適用が認められます。
4.最後に
このように、平成27年10月1日以後はアマゾンなどの海外の企業から電子書籍の購入など電気通信役務の提供をうけると日本の消費税が課税されることになります。
そのため、この見直し適用後は電子書籍などの購入金額が消費税分増加するので注意して頂ければと思います。