通勤手当の非課税限度額の引き上げについて | アークス総合会計事務所のブログ

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平成26年10月17日に所得税法施行令の一部を改正する政令(平成26年政令第338号)が公布され、通勤のため自動車などの交通用具を使用している給与所得者に支給する通勤手当の非課税限度額が引き上げられました。

1.改正内容

(1)改正後の非課税枠の適用

改正後の非課税規定は、平成26年4月1日以後に支払われる通勤手当について適用されます。

次に掲げる通勤手当については、改正後の非課税規定は適用されません。

1) 平成26年3月31日以前に支払われた通勤手当
2) 平成26年3月31日以前に支払われるべき通勤手当で4月1日以後に支払われるもの
3) (1)又(2)の通勤手当の差額として追加支給されるもの

改正後の1ヶ月当たりの非課税限度額は、以下の通りです。

(2)課税済みの通勤手当の精算

改正後の非課税規定を適用した場合に過納となる税額は、年末調整の際に精算できます。

その際における源泉徴収簿の記載例が国税庁HPにて紹介されています。

「年末調整で精算する際の源泉徴収簿の記載例」
http://www.nta.go.jp/gensen/tsukin/pdf/02.pdf

2.具体例

自動車で通勤している従業員に給料300,000円、通勤手当26,000円を支給している場合
(通勤距離が片道50キロメートル)

(1)平成26年1月から10月の所得税が課税される金額は改正前の非課税限度額24,500円が適用されます。

1)課税される通勤手当の計算 … 26,000円 - 24,500円 =1,500円

2)課税所得の計算 … 300,000円(給料)+ 1,500円(課税される通勤手当)= 301,500円

よって、平成26年1月から10月の各月の所得税が課税される金額は 301,500円となります。

(2)平成26年11月から12月の所得税が課税される金額は改正前の非課税限度額28,000円が適用されます。

1)課税される通勤手当の計算 … 26,000円 - 28,000円 =0円

2)課税所得の計算 … 300,000円(給料)+ 0円(課税される通勤手当)= 300,000円

よって、平成26年11月から12月の各月の所得税が課税される金額は 300,000円となります

(3)年末調整での精算

このケースでは、
平成26年 1月から10月:3,015,000円(各月301,500円)
平成26年11月から12月:  600,000円(各月300,000円)
年間で3,615,000円となります。

平成26年4月以後支払われるべき通勤手当の非課税限度額が引き上げられたことから、26年4月から10月までの7ヶ月の間に、課税扱いとしていた通勤手当10,500円(1,500円×7月)が非課税となります。

年末調整で、課税扱いとしていた通勤手当10,500円が精算できます。

3,615,000円(平成26年1月から12月までの合計金額)-10,500円(非課税となる通勤手当)=3,604,500円(平成26年度の給料・手当等)

よって年末調整での精算の結果、所得税が課税される金額が10,500円少なくなった3,604,500円となります。

3.改正による影響

自動車による通勤距離が長く、ガソリン価格の上昇により通勤費用に悩んでいた方には、影響は大きいと思います。
あくまで平成26年度の年末調整の際に精算することになりますのでご注意下さい。

参考

通勤手当の非課税限度額の引上げについて
http://www.nta.go.jp/gensen/tsukin/