6月から開始される定額減税。

パートやアルバイトの定額減税と扶養者の定額減税の関係を事例をもって考えてみる。

 

①前提

給与所得者のAさん(本人)には、妻Bと長男(大学生)Cの扶養親族がいる。

 

【Aさんの場合】

Aさんの会社は、Aさんの月次減税額を本人1+同一生計配偶者1+扶養親族1として30,000×3=90,000円と設定した。

 

【妻Bさんの場合】

Bは、パートに出ていたが、毎年103万円以内の収入に抑えていた。Bはパート先に「扶養親族等申告書」を提出している。

1月から5月までは月に80,000円のパート収入だった、6月からパート先での仕事量が増えて、月に95,000円のパート収入になってしまい、源泉税を490円引かれる状況となった。

パート先では、Bさんに対して月次減税額を本人1として30,000×1=30,000円と設定した。

6月の支給給与総額 95,000円 源泉税490円 定額減税△490円 手取り額 95,000円

7月以降も6月と同じ状況だったとする。

1月~5月の給与総額 80,000×5=400,000

6月~12月の給与総額 95,000×7=665,000 

年間の給与総額が1,065,000円となり微妙に103万円を超えてしまった。

 

【大学生Cさんの場合】

大学生のCさんは、近くの飲食店でアルバイトしている。アルバイト先には「扶養親族等申告書」を提出している。通常は月に3万円程度の稼ぎだったが、夏休みに入ってアルバイト先で勤める時間が長くなり、8月にはバイト先から12万円の給与が支給されることとなった。

アルバイト先では、大学生Cさんに対して月次減税額を本人1として30,000×1=30,000円と設定した。

8月の支給給与総額 120,000円 源泉税1,750円 定額減税△1,750円 手取り額120,000円

9月以降は月に30,000円に戻った。

年間の給与総額は、450,000円であった。

 

②年末調整と定額減税(年調減税額)

上記の前提の場合、年末調整と定額減税は・・

 

【本人Aさんの場合】

当初同一生計配偶者としていた妻Bさんの給与総額が103万円を超えてしまったため、定額減税額を30,000円×2=60,000円(年調減税額)として年末調整を行うことになる。

 

【妻Bさんの場合】

年間給与総額1,065,000円 源泉税額は月々の定額減税により0円 であった。

妻Bさんのパート先で年末調整を行います。

給与所得控除額550,000円を控除した給与所得は、1,065,000-550,000=515,000円 

妻Bさんの基礎控除額 480,000円

妻Bさんの課税所得金額=515,000-480,000=35,000円

 ※生命保険料控除等の他の所得控除はなかったとします。

 年調所得税35,000円×5%=1,700円(百円未満切捨て)

 年調減税額 30,000円

 年調減税額控除後の年調所得税額 1,700-30,000=△28,300円⇒0円

 年調減税額で引ききれなかった金額(控除外額) 28,300円⇒後日還付。

 

【大学生Cさんの場合】

年間給与総額 450,000円 源泉税額は月々の定額減税により0円 であった。

大学生Cさんのアルバイト先で年末調整をおこないますが、給与所得控除額(55万円)を控除すると給与所得額は0円(基礎控除以下)となり、定額減税額は扶養者の本人Aさんから控除することになります。

 

6月からの月次処理と年末調整事務を考えると、3万円給付にすれば良かったのに・・

国税庁HP 令和6年分所得税の定額減税のしかた