「くーん、くーん。」
「くーん、くーん。」
「あん、あん。」
「くーん、くーん。」
「あん、あん。」
「あん、あん。」
・・・
・・・
・・・
・・・
貴様ら、いい加減にしろ!
どんだけ吾輩を待たせれば気が済むんだ
出すもの、さっさと出さんかい
吾輩の名は、ロッキー(仮)である。
ラブラドールレトリバーとコッカー・スパニエルのハーフである。
血統書付きである。
ロッキーと名付けられてしまった被害犬である。
やがていつかのシュナイダーである。
部下共の帰宅が遅いと、吾輩のディナーも遅れてしまう。
まあ、奴らも遊んでいるわけではないだろう。
働かざる者食うべからず。
その格言の通り、たとえ吾輩であっても働かなければ飯にありつけない。
いや、むしろトップである吾輩こそが働かなければ、本来は部下もついて来ないであろう。
しかしながら、この身は収監された身である。
今の吾輩は、この狭いケージの中こそが世界の中心である。
そんな吾輩であるが、それでも部下は吾輩についてくる。
なぜって?
教えてやろう。
『信頼』で結びついているからである。
吾輩と似たような境遇にあるイタリアのギャング団の幹部は次のように述べた。
「人が人を選ぶにあたって、一番大切なことは何だと思うね。」
「人が人を選ぶにあたって、もっとも大切なのは『信頼』なんだ。」
「それに比べたら、頭がいいとか才能があるなんて事は、このクラッカーの歯クソほどのこともないんだ・・・。」
まさしく、その通りである。
吾輩もわざわざ外に出る必要がない。
もしかしたら、反乱分子に襲撃されるかもしれない。
下手に娑婆の空気を吸おうものならば、やつらに命を狙われるおそれがある。
耐えろ!吾輩!!ワクチンを打たれるその日まで!!!
もう一度、言う。
チャンスをやろう・・・・・。
向かうべき『二つの道』を・・・・・!!
一つは、『吾輩に大人しく餌を寄越す道』。
もう一つは!!
さもなくば、『吾輩の糞の始末をする道』。
部下A「『お座り』するまでは絶対に餌をやらんからな。」
吾輩を『侮辱』したな!?
以上