こんにちは、税理士の高橋健悟です。
先日、クライアントと打合せをした老舗の喫茶店でクリームソーダを注文したら美味しかったので、スーパーで明治屋のメロンシロップ、炭酸水、バニラアイスを購入し、作ってみたら、とても美味しくできました。簡単でお勧めです(笑)!
さて、最近私のクライアントで、合同会社の設立が増えております。
あの“カカクヤス”で有名なスーパー 西友や、アップルの日本法人である Apple Japanも合同会社です。
合同会社とは、平成18年5月の会社法により新しく設けられた会社形態です。まずは合同会社がどのような会社かというところから説明しましょう。
会社は大きく分けて、2つに分かれます。
「株式会社」と「持分会社」です。
株式会社は、株主≠経営者(取締役)です。これを「所有と経営の分離」と言います。
これに対して、持分会社は、出資者=経営者です。これを「所有と経営の一致」と言います。
この持分会社はさらに、合名会社、合資会社、合同会社と、3つに分かれます。この中で、有限責任社員のみからなる会社が、合同会社です。
では、株式会社と比較して、どのようなメリットがあるのか、みていきましょう。
(1)会社設立費用が安い!
具体的には、下記の通りです。
|
合同会社 |
株式会社 |
登録免許税 |
6万円 |
15万円 |
定款の印紙税(※) |
4万円 |
4万円 |
定款認証料 |
不要 |
5万円 |
合計 |
10万円 |
24万円 |
※司法書士に電子定款による設立手続きを依頼すれば、印紙税は無料となる。(代わりに司法書士報酬が請求される)
(2)ランニングコストがあまりかからない
株式会社のような取締役の重任による登記費用はかかりません。
また決算公告もないので、決算広告費用もかかりません。
(3)出資比率と異なる割合で配当可能
定款に記載することにより、貢献度を考慮して、社員の出資比率と異なる分配割合を自由に決められます。
自由に設定できるものの、この分配割合の設定が合理的に説明可能でない場合は、税務上、寄付金または贈与の認定がされる可能性があります。
(4)法人を業務執行社員とすることも可能
株式会社と比較して、合同会社は機関設計が自由です。また株式会社は法人を取締役にすることはできませんが、合同会社は法人を業務執行社員にすることが可能です。
このように会社設立コスト・ランニングコストが安く、運営も自由というメリットだらけの合同会社ですが、デメリットもあります。
(5)知名度が低い
合同会社は知名度が低く、従業員を採用する際、株式会社が有利になると思われます。
(6)意思決定に対立が生じると、収拾が困難
社員が複数いる合同会社について、次のようなトラブルが想定されます。
何かを決めるとき、株式会社であれば出資割合で決まりますが、合同会社の場合は、出資割合ではなく社員1名=1票の議決権で物事を決めるため、社員の意見の一致が求められます。また配当割合を巡って、対立する可能性があります。
以上より、合同会社はまだまだ知名度が低く、経営の意思判断で争いが起きないようにするため、社員が沢山いる会社より、少人数で経営する小規模な会社が向いていると思われます。
この他に注意しなければならない点で、合同会社の株価=Valuationがあります。
加入時、退社時において、Valuationを考慮しなければなりません。
合同会社は、株式会社に比較して設立費用が安く、良いことばかりにみえます。ただし税務的には株式会社に比べて、未確立な部分も多く、特に加入・退社時の株式の評価や、利益の分配が出資割合と異なるときは、慎重な判断が必要になりますので、ご注意ください。